ワインリストに戻る


ENOTECATrepesci2ロゴ
エノテカ トレペッシィ

ネッビオーロ種のブドウから造られる
バローロについて


*大まかな流れ
 1850年代にマルケーゼ ディ バローロ社が呼んだフランス人
醸造家により、今まで微発泡性の甘口ワインを現在のような辛口に
作り変え評判になりました。 (これには諸説あり)
 しかし、名声は2つの世界大戦の頃に質を低下させ、評価を下げて
行きます。戦後は補助金がアダとなり大量生産の魅力のないワイン
になっていきます。しかし、1970年以後に始まる改革は80年に
入ると広く認識されるようになります。
 ところが、90年前半は不作が続きます。しかし、不作の年でも取り
組みしだいで、よりよいワインを作り出す生産者に後押をしされる
ように急速に改革は進展してきました。
 戦後の混乱の中でも従来の作り方で真剣にネッビオーロに取り
組んだ生産者と新しい可能性を模索していく生産者が相まって、
それぞれの生産者が個性的で独自性のある、より美味しいワインを
生み出すようになり、その数も増えています。


*場所の特定
トリノとジェノバを結ぶほぼ中心にランゲ地方があります。
タナーロ川右岸のアルバ市を中心に北東にバルバレスコ、
南西にバローロの産地があります。左岸はロエーロの産地です。
トリノとマッジョレー湖を結ぶ湖よりにガッティナーラ、その東側に
ゲンメの産地があります。
ミラノの北西方向にスイス国境が半島のように突き出している少し
西側がヴァルテリーナの産地になります。
地図をもとに参考にしてください。


*ネッビオーロから造られるワインの仲間
 バローロ(Barolo)は11ヵ所のコムーネがあります。
     ・ヴェルデューノ (Verduno)
     ・ロッディ (Roddi)
     ・ケラスコ (Cherasco)
     ・グリンザーネ カヴール (Grinzane Cavour)
     ・ラ モッラ (la Morra)
     ・ディアーノ ダルバ (Dinano d'Alba)
     ・セッラルンガ ダルバ (Serralunga d'Alba)
     ・バローロ (Barolo)
     ・モンフォルテ ダルバ (Monforte d'Alba)
     ・ノヴェッロ (Novello)

     バローロ クリュ地図Mappa_Barolo_ufficiale.pdf へのリンク
     (アルバ ランゲ協会から参照)

 気候は、北に行くほど温暖、南へ行くほど冷涼、
土壌は白っぽくローミーで石灰質を含むアルカリ性泥灰土壌です。
・ミネラルの成分が大きく違う二つの地区に分類されます。

     *鉄分を多く含むセッラルンガ渓谷
     *マグネシュームを多く含むバローロ丘陵

・砂、シルト、粘土の土壌粒子の割合から5つの特徴のある土壌群に
分けられます。

     ・セッラルンガ土壌   ・カスティリオーレ ファッレット土壌
     ・バローロ土壌    ・ラ モッラ土壌    ・ノヴェーロ土壌

  (中間的な土壌や畑の上部と下部で違う特質を有するところもあります。)


  バルバレスコ(Barbaresco)は4ヵ所のコムーネがあります。
      ・バルバレスコ(Barbaresco)    ・ネイヴェ(Neive)
     ・トレイゾ(Treiso)           ・サンロッコ(San Rocco)

     バルバレスコのクリュ地図Barbaresco_mappa_ufficiale.pdf へのリンク
     (アルバ ランゲ協会から参照)

・概ねトレイゾは砂を多く含む粘土の少ない石灰岩質土壌、
他は、重い石灰岩質粘土土壌です。



 ロエーロ(Roero)は19ヵ所のコムーネがあります。
     ・カナーレ(Canale)など
・粗砂質の泥灰土壌です。

 ネッビオーロのクローンはミケランピアが主に使われ、多産のボーラは
主な畑では栽培されず、色の薄いロゼも栽培が減る傾向にあります。
 これらワインの呼称は、コムーネ以外に収穫してもよい重量や搾汁率、
熟成期間など細かな決め事があり、その規定から外れると、これらの
名前が使えません。ランゲ(Langhe)〇〇かブドウ品種のネッビオーロ
(Nebbiolo)をラベルに表記しますが。しかし、圏外のコムーネから
も高品質なワインを生産している業者もいます。また、あえて独自
で高品質なワインを造るために呼称を表記しない場合もあります。

この他の、ネッビオーロのクローンには、スパンナ、ピクトゥネール、
キアヴェンナスカ
というブドウがあります。

 ノヴァーラ県には粘土質主体のモレーン土壌のゲンメ(Ghemme)があり、
近隣にはボーカ(Boca)、シッツァーノ(Sizzano)、ファーラ(Fara)、取り囲む
ようにコッリーネ ノヴァレージ(Colline Novaresi)の産地があります。
川を挟んで西隣のヴェルチェッリ県には、斑岩が豊富な火山性モレーン土壌の
ガッティナーラ(Gattinara)があり、近隣にはブラマテッラ(Bramaterra)、
レッソーナ(Lessona)、東側から取り囲むようにコステ デッラ セジア
(Coste della Sesia)の産地があります。ここのネッビオーロはスパンナと
呼ばれています。

トリノの北部に位置するモレーン土壌のカレーマ(Carema)があり、ドーラ
バルテア川を上りヴァッレ ダオスタ州に入るとドンナス(Donnas)の
産地があります。ここのネッビオーロはピクトゥネールと呼ばれています。

さらにピエモンテ州の隣、ロンバルディーア州の北部、砂質の泥灰土壌
のソンドリオ付近で、キアヴェンナスカ種からヴァルテッリーナ(Valtellina)
が造られています。
  *コムーネとは日本の市町村にあたる基礎自冶体。

*バローロの
土壌組成の違いによる、大まかな味わいの特徴
土 壌 タイプ 特 徴
バローロ シルキーで華やか
ラ モッラ シルキーで可憐
カステリョーネ ファッレット ヴェルヴェッティーでリッチ
モンフォルテ ダルバ 重厚でリッチ
セッラルンガ ダルバ 重厚で柔らかい
・地域の北東に位置するグリンザーネ カヴール地区のカンペ畑と
セッラルンガ地区のラ ローザ畑はバローロ土壌の延長線上にあり
ますが。ディアーノ砂岩と呼ばれる茶黄色の土壌がバローロ土壌と
セッラルンガ土壌の性格が調和したワインになっています。
セッラルンガ地区の中央に位置するラッツアリート畑はパワフルで
重厚、南に位置するフランチャ畑は緻密で重厚、同じセッラルンガ
土壌でもミクロクリマの影響がワインの性格を左右します。
・ラ モッラ土壌であるラ モッラ地区の南に位置するチェレクィオ畑
〜アルボリーナ畑〜ヴェルディノーロ地区のリーヴァ畑の順に北へ
向かうにしたがい味わいの柔らかさのニュアンスが変化します。
・カステリョーネ ファッレット土壌のヴィッレーロ畑はバローロ土壌と
中間的な性格、カステリョーネ ファッレット地区のブリコ ボスキス畑と
モンフォルテ ダルバ地区のジネストラ畑は醸造の違いもありますが、
味わいの質感のニュアンスが異なります。
・バローロ地区は香り、タンニン、酸のバランスが良いワインいわれ、
その中央に位置するカンヌービ畑はバローロ土壌の中で条件が最も
整っていると考えらています。その南に位置するレ コステ畑は痩せた
土地に石灰質が強いノヴェッロ土壌の影響があり、性格がたっぷり
した華やかさがあります。

 ブドウの育成方法と管理、搾汁と発酵の道具と手法、熟成のため
のバリック(225Lの小樽)、スフト(700Lの樽)、大樽の選択など。
考え方やスタンスの違いが、出来上がったワインに独自の個性が
与えられていると思っています。