以前のブログ

イタリアワインかぶれの料理人のブログへ
▲戻 る


2009年1月17日、1本700円の大根。
  • コミック漫画の「神の雫」がテレビドラマ化され、放映され
    ています。第一話から話にだけ聞いているワインが、無残に
    壜は大地に砕け散り、リシュブールは地の底に吸いこまれて
    いく。冒頭から派手なことをしてくれると思いながら、見て
    いると後半は殻ばかり大きな貧疎な牡蠣が出てくる。細部に
    もう少し神経を使って欲しかったと思いました。
    北海道の有機野菜を台湾で試験販売、大根が700円で販売
    するも即完売する。このニュースを知り、高く売れることは
    いいことだと思いながら、複雑な心境になりました。思い出
    したことは、魯山人味道という本の中に、大根は料理をする
    直前に掘り出してから皮付きのまま炊くとあります。この
    ことは素材の美味しさを見極めることが料理を美味しくする
    コツだと私は理解をしています。そこに位置する食材の値付
    けは、基準が実に難しいと思います。ブランドの力を押し
    出す価格の商品にするのか。技術力をアピールした生活力の
    ある価格の商品なのか。大量販売を目的に均質化と低価格
    のバランスを取りながら、需要と供給のバランスをマーケット
    に委ね、価格の決定権を流通に任せるのか。様々に流通して
    いる食材の商品力と技術力、それが真に価値ある食材なら
    問題ないが。技術の伴わない商品に余計な対価を支払わない
    ためには、経験に裏打ちされた目利きが大事であると思いま
    す。それにしても、素人芸に不要な価格が付いているのには、
    ある意味において滑稽であると感じています。芸人の関根
    勉が以前に使っていた「バカバカしいのは、解っているが、
    やってる本人、大真面目」と言うのがありました。芸の伴った
    芸人と勢いだけの芸人、どちらでもよいが。媚びたことだけ
    は頂けないような気がします。
    ファレスコ社のモンティアーノ1997はそろそろ飲み頃を
    迎えたと思い抜栓をする。期待していたアロマティックな強
    い香りやスモーキーな香りはすっかり鳴りを潜め。真綿に包
    まれたスパイス、森の黒い果実の香りの成熟した上品さは
    挑むでもなく、立ち向かうでもなく、存在するそれ自体に品格
    が感じられ。味わいも奥の深い洗練された上品さがあります。
    いい香りと味わいは、あれこれ表現することが不必要に思わ
    れるほど心地よく、幸福感に満たされます。余韻は長くはな
    いが、とても充実感があります。マシュマローのような柔ら
    かな酸に滑るようにシルキーなタンニンはわずかに、もう少
    し酸が柔らかく抜けていると申し分ないと思いました。
    もう1本は、グレコ ディ トゥーフォ “クティッツィ” 2006
    は全体がバラケタ感じで、はっきりしない印象が最初にあり
    ましたが。飲み進めていくと、次第にフルーティな香りが
    開けてくると、ふっくらした香りが現れオレンジのピールや
    洋ナシの香りにアフターにミントのようなハーブの香りがあ
    ります。構成のしっかりしたバランスの良い豊潤な味わいは
    とても美味しいと感じるのだが。ファーストインプレション
    の悪さが最後まで引きずり、抜栓されたことが機嫌を損ねた
    ようで、そのことをワインが私に文句を言っているようでし
    た。

12月16日、倶知安町の菓子屋さん。
  • ここ最近は食品に関する話題が大きく取り上げられることも
    なく、ミシュランの星に関する話題が少しあるだけでした。
    わずかに、揚げ足を取るとすれば、セラミックのオーブン
    ウエアをテラコッタと堂々とテレビで紹介するシェフがいま
    した。土を焼いた入れ物という意味では、間違いはないが。
    製造の工程が違うので、素焼きの容器(テラコッタ)と分類
    されるか、陶器(セラミック)の容器に区別されているはず
    ですから。正確に表現するならば違うのではないかと思いま
    す。もしかして、画面の中で、手にとって見せていたのが
    ホーローの容器だとしたら、無知を笑うしかないと思いました。
    もう1件はカーラジオから聞こえてくるオーガニック 牛乳に
    ついて説明をするD.Jの語りの一部では、「農薬は最小限に
    抑えられ、健康な牧草」と言っていたが、ここ北海道では
    オーガニックは最小限の農薬は認めているらしい。ビオや
    オーガニックといった言葉だけは知っているが、実態の知識
    なり経験が伴っていないために、原稿を読んでいるだけにな
    っていると思われます。原産地呼称の大切さは、ヨーロッパ
    の農産物や農産加工品に接している私は、その重要性につ
    いて知ってはいるつもりです。ここ北海道にも、原産地呼称が
    いかに有意義であるかについて早く気が付いてほしいと考え
    ています。
    先日、ニセコ方面にドライブに行った先の、倶知安町で小腹
    を満たすおやつを探していると、ウインドウのディスプレー
    に焼き立てパイ、焼き立てシュークリームの文字に店内へ。
    注文を頂いた後、クリームを詰めますのでお待ちくださいと
    言われてから。奥から出てきた、お店のお嬢さんらしい若い
    女性が作業をそそくさとしている合間に、リーフレットを見
    つけました。目をやると、地元の素材を使用した旨のことが
    書かれたあり。地域に根差したお菓子屋を目指していること
    をうかがい知ることができました。お味のほうは、甘さだけ
    が目立つようなことはなく、素直な味わいがほのぼのと伝わ
    ってきます。おいしいと思いました。次回も食べに寄るつも
    りです。店舗名と住所は最後に書いておきます。
    今回のワインは、ルイジーノ ジュスティ社のラクリマ ディ
    モッロー ダルバ “ルイジーノ”2004です。ステンレス
    タンクでの熟成が多数派のラクリマの中で、樽熟成された少
    数派のワインです。数年前のこと展示会でエージェント本人
    と話をすることができました。そこで、10年、20年後に
    変化を楽しめることができるのか聞いたところ、「現時点で
    酸やタンニンが硬いわけではないので、今から楽しめます。
    それと、現地でも長期間保存されたワインを見かけたことが
    ない。」このように返答がありました。確かに、その通りだと
    思います。しかし、年月を重ねることで化けることを期待し、
    取り敢えず半ダースを保存することにしたのが去年の3月の
    ことです。今回、テイスティングをした印象は展示会の時と
    大きく変わることはありませんでしたが。味わいの構成が密
    で、バランスがよく安定感が増していたような気がしました。
    果実味が個性的でたくましさがあり、純朴な上品さがありま
    す。非常に覚えやすいワインであると思いました。


       藤井菓子舗
    倶知安町北一条西3丁目4(駅前通り)
    TEL 0136-22-0050
    URL http://sweets-fujii.com

11月18日、海外でワイン造りに挑む日本人。
  • 先日、岩田醸造の試飲会で思わぬワインに出会いました。
    浅野秀樹さんがドイツでワイン造りに挑む「HIDE-WINE」
    です。STRUBワイナリーの協力の元、1級畑「ヒッピング」
    をほぼ1ヘクタールほどリースして、2005年から念願の
    オリジナルワイン造りを開始したバックヤード・ワイナリー
    です。海外で活躍している、日本人のワイン醸造家がいるこ
    とは何とも嬉しい気がします。ワインの印象は締め付けられ
    るようなタイトさがなく、構成はしっかりしているが、重々
    しさがありません。例えて言うならば丁寧に仕立てられた、
    着心地のいい服を着ているような感じです。味わいは繊細で
    奥深さがあり、余韻は長いが桜の花の散り際のような潔さが
    あります。かなり気に入っています。
    ゆっくり向き合いたいワインがまだあります。以前に数誌の
    雑誌に取り上げていたトスカーナ州のスヴェレートで日本人
    がワイン造りをしているBulichella(ブリケッラ)のワイン
    です。エノロゴは雇い入れているようであるが。ここの
    ワインも非常に気になっています。
    国内で訪ねたいのが原茂ワイナリーです。断片的な記憶な
    のですが、ピエモンテ州 ロエロのモンキエーロ カルボーネで
    仕事を習い、現在も精力的にイタリア品種の取り入れを試み
    ているようです。イタリアでの肌身にしみ込んだワイン造り
    の環境を基にした、日本の国情に合わせたワインへの取組
    の成果を、その現場をぜひ見学をしたいと思っています。
    非常に残念だったのが、先日テレビで紹介されていた地元
    のワイナリーです。画面の枠の中にはしっかりと映っている
    グラニュー糖の大袋。これは写してはいけないと思います。
    必要なアルコール度数にするための補糖は個々の問題なの
    でいいとしても、堂々と出来る作業ではないと思います。食品
    のコンプライアンスが問われているこの時期に、まさしく
    デリカシーの部分が欠けていると思わずにはいられませんで
    した。
    先回のカピテル クローチェに続き、今回、抜栓したのが。
    ピエロパン社のソアーヴェ クラッシコ“カルヴァリーノ”
    2005です。カルヴァリーノはソアーヴェ特有のほろ苦さ
    をほとんど感じない、加えてエニシダや潅木といった要素が
    私には感じられませんでした。思い浮かんだことは、カンパ
    ーニア州のフィアーノとブラインド テイスティングで並べ
    られると、とんでもなく迷うだろうし、適切な判断は相当に
    難しいと思いました。たぶん、言い当てることは無理です。
    そのようなことが頭の中を過っていきました。無理なほめ方
    をしなければいけなかった、ソアーヴェやヴェルディッキオ
    のほろ苦さは21世紀に入ってから、素直に心地よいほろ
    苦さと言えるようになったと思います。テイスティングが早
    すぎた、レ ビーネ2006は来年には硬さが取れるだろう、
    そのときの味わいを想像するだけでわくわくしてきます。
    もう一本セラーでエイジングしているドゥ ロト2005も
    5年後の抜栓が待ちきれないでいます。

10月20日、P.C.を更新しました。
  • 長年、愛用していたノートパソコンは遅いながらも作動して
    いたのですが、至る所に疲れが見え始め、操作に不便を感じ
    ながら使用していたのですが。ISDNを光回線に切り替えと
    同時に買い替えることにしました。今手元にあるP.C.はOS
    がVistaなのですが、使い勝手に戸惑いながら悪戦苦闘して
    います。特に、理解に苦しんでいるのが、webのコンテンツ
    をスタイルシートに切り替える作業とJAVAのプログラム
    です。
    今回はブドウ品種が風変わりなインクローチョ マンゾーニ
    6.0.13。ベッレンダ社のマンツォーニ ビアンコ2007
    年です。これはリースリングとピノ ビアンコの交配品種から
    造られる白ワインです。ワインショップでは、2000円く
    らいで売られていると思います。到着してから1カ月ほど、
    セラーで休ませたのですが。酸が硬くテイスティングをする
    が早かったような気がしました。趣のある構成のしっかりし
    た果実味と酸のバランスが良いと思いました。今後、酸が柔
    らかくなると同時にほろ苦さが出てこなければ、私が想像し
    た展開をしてくれると期待しています。
    カピテル クローチェ2004年はガルガネガ100%から
    造られソアーヴェを名乗らず、I.G.P.の規格で出荷される白
    ワインです。ソアーヴェを連想される基本的な香りである、
    白桃とニワトコ、アーモンドの香りというより、バルサミコ
    や潅木とエキゾチィクなフルーツ、ドライ フルーツの輪郭の
    しっかりした香りと、押しの強さがなく、ゆったりして構成
    の良い果実味に心地よいほろ苦さがさがあります。存在感を
    誇示しながら、しかし、味わいがとても透明感があります。
    そこに、あえてソアーヴェを名乗らない理由があるのかもし
    れません。

  • スプマンテの中で、独特なストーロー香が個人的に好きで
    はなかった。トレント“マキシアム フェッラーリ”だったので
    すが。今回、2年ほどセラーで休ませていたフェッラーリを
    抜栓する機会に恵まれました。個人的に好ましくないと感じ
    ていたアフターテイストが、ほんわかした酵母や焼き立ての
    パンの心地よく伸びの良いアフターテイストに変化をしてい
    ました。個体差によるものなのかは、現時点では判断を下せ
    ませんが。このスプマンテに新しい一面を見出すことができ
    ました。

9月14日、デザートワイン。
  • 塩野 七生さんの新刊「ルネサンスとは何であったか」を読ん
    でいるうちに、以前に読んだ「海の都の物語(ヴェネツィア
    共和国の1千年)」を読み返しています。その中に交易品とし
    て出てくるワインが現在はギリシャのペロポネソス半島産の
    マルヴァジーアで造られる甘口ワインです。このマルヴァジーア
    種のブドウは古代ローマ帝国が滅亡した後に、ビザンチン帝
    国支配下のシチリアに苗が持ち込まれ、以後はヴェネツィア
    共和国の商人によりイタリア国内に持ち込まれ、変異を繰り
    返しながら広まった、と考えられています。この甘口ワイン
    が、当時の高級品としてヨーロッパに流通していた、交易品
    と書かれてあると、興味を抱かない訳にはいきませんでした。
    イタリア ワインの味わいの歴史を見ても、辛口のワインは
    19世紀の中頃、以後にその多くが誕生しています。それま
    で続いていた甘口ワインの歴史のほうが、現代の主流の辛口
    ワインより圧倒的に、その歴史が長いことを知ることができ
    ます。
    こうなると頭の四隅にへばり付いている記憶を拾い、わずか
    に手元に捨てられずに残っていた数年前の資料を調べるこ
    とから始める。しかし、歴史となると以外になく、記述があっ
    ても、その多くは「であったらしい。」程度のことが残ってい
    るのが現状でした。それにしても、意外と各地にたくさんの
    種類が現在も生産され、モスカートローザやヴェスパイオーラ
    のように限られた地域で生産されているワインを含め、現在
    に至るまで甘口ワインの文化が伝承されています。
    自分が好きな赤ワインは賞味するまでに10年以上の歳月が
    必要であるが。白ワインにスパークリングワインなら数ヶ月
    のエージングで楽しむことができる。納得のいく赤ワインが
    高価になり過ぎ、時を同じくしてボデイのしっかした白ワイン
    に美味しさを感じ始めると、揺り返されるように甘口ワイン
    の良さに目覚めさせられています。心境の変化とそれを後
    押しする一冊の本の再会は、ここ数カ月に及び、沢山の楽し
    い思いをさせてもらいました。
    それにしても、古代ローマが地中海の覇者になる以前より、
    ギリシャ人にフェニキア人がワインの生産適地を求め地中海
    に船を滑らせ植民都市を築き、ワインを醸造し商材として確
    立した時代から、近代に至るまで主流であった甘口ワイン。
    現在は食中酒としては不向きであると思われていますが。近
    代までのように水や海水で割って、アルコール度数を下げて
    からの飲用の方法を用いたらどうでしょう。巷では、冷凍庫
    で温度を下げて味わうと聞いたことがあるのですが。これだ
    と酸が潰れ、香りが閉じこもってしまうような気がします。
    これからも、テイスティングを続けながら、ここの部分を追
    求したいと思います。
    アドバイスがありましたら、是非、メールをお願いします。

8月18日、タカラ牧場の好青年。
  • 大滝にある日帰り温泉に行く途中で見知っていた。虻田郡に
    あるタカラ牧場へ、先日、二度目の訪問をしました。場所は
    千歳から支笏湖を通りニセコに貫ける276号線沿いに在り、
    看板に「幸せな牛のミルク」と書かれてあります。以前はこ
    の看板の文言に懐いていた、第1印象は牛が幸福か不幸か
    解る、のぼせた牛飼いが能天気なことを言っていると思ってい
    ました。それが、去年の冬にチーズの一文字を見つけ、何気
    なく牧場に入ると、対応に出て来た青年がとても好印象で、
    暫しの歓談をすることになりました。その中に、放牧飼育、
    牧草の管理、牧場の環境などの話しを聞いていると参考にな
    ることばかりでした。自然な循環の中で当たり前にしなけれ
    ばいけないことを当然の様にする。この当たり前が難しい、
    言葉だけのロハスやスロー フード、スロー ライフを唱え
    るのは容易だが。理想にしている仕事の向かう先が、結果と
    してオーガニックやビオである場合は、自然が相手であるか
    ら、自然のサイクルの中に自身も入り込んで生業にしなけれ
    ばいけない。割り切って利益を優先させる仕事が無駄な考え
    をしなくて良いのだが。どうもこの青年は人と牛、大地の
    関係を一体化させて物事を考えているようです。恵みを享受
    する幸福感をどのような形態で達成するか。生業が牛乳を売
    ることではあるが、得る物が金銭ありきではないような気が
    します。立ち話の中で受ける、肩肘の張らない話し方は。
    牛と大地、そして自然と素直に向き合っているような印象を
    受けます。しかしながら、ニコニコと笑顔での受け答えには
    裏打ちされた、理想とする信条が感じられます。最近の出来
    事ならば、トルネードと呼ばれた投法で時代を切り開いた
    投手の引退の理由、K&Kコンビの友情、「ギャグの神様」の
    葬儀に白紙の弔辞を読む「アドリブの達人」タモリに見るこ
    とが出来る、同じような価値観や生き様の凄みが伝わってく
    るような気がしました。
    最近、テイスティングしたキアンティ クラッシコについて,
    2000年のビンテージから、押し並べて言えることは酸の
    存在が、骨格がしっかりしているのに、柔らかくなっている
    ような印象が残っています。先日、抜栓されたサンジョヴェ
    ーゼ100%で造られる、2000年のラ セルヴァネッラと
    ロッカ グィッチャルダは柔らかい酸、果実味、タンニンの順
    番にきます。前者はチョコレートやアイリスのニュアンスが
    まだはっきりと残っていますが。タンニンは共にビロードの
    ような滑らかさがあります。思い返すと最近のキアンティの
    テイスティングでの印象も、80年代90年代のテイストと
    は、随分と変わっているような気がします。私なりに感じて
    いることは、小春日和の陽だまりの中で自然に寄せ合わされ
    たような様子が、整ったバランス感覚に、さらっと自己主張
    をする奥ゆかしさがあるような印象を感じています。もう一
    つはビンテージが1年違う、2001年のドン トマッゾです。
    前者とはセパージュが異なり、メルローが15%含まれてい
    ますが。このワインもメルローがサンジョヴェーゼの味わい
    の骨格を補強しています。以前の伝統的なカナイオーロを含
    めたキアンティに比べ、和らげるために加えるのではなく。
    異質な果実味と酸、タンニンを組み合わせ、今までにはない
    テロワールに合った表現をすることにあるような気がします。
    それにしても、03年のドン トマッゾは頑固に硬い。

7月15日、初のモンラッシェ。
  • 最近気に入っているお店があります。甘千院というそば屋さ
    んです。外食の揚げ物は胃がもたれるので、めったに食べな
    いのですが。胡麻の香りに誘われて、ついつい天婦羅蕎麦を
    注文してしまいました。ちょっとパリパリした触感が気にな
    りましたが、油切れの良いカラット揚がっている天婦羅に満
    足、蕎麦もなかなかでした。もう一軒は余市町にある又キ屋
    という蕎麦屋さんです。このお店も手打ち手切りの蕎麦なの
    ですが。盛りが大きく、札幌ではお目にかかれないお店だと
    思います。なにより、私が気になるのが他のお客さんの食べ
    る音、このお店には何度か来ているのですが。私にヤレヤレ
    と思わすような音(鼻濁音の塊のような音)をたてて食べる
    人に合ったことがありません。偶然かもしれないが、毎回、
    気持ち良く食べられます。それともう一つは、道具を大切に
    扱っているところです。グラスを良く見るとコスリ傷のため
    に白く濁っています。このことから、長期にわたり繰り返し
    スポンジで擦り洗われているためです。物を丁寧に扱うこと
    は気配りも出来ていると、私は考えているからです。
    数年前にお預かりをしていた。ピュリニー ・モンラッシェ
    グランクリュー マルキ・ド・ラギッシュのマグナム1995年
    がようやく抜栓されることになりました。世界中でもっとも
    奥の深いワインとも言われている。こう聞くと期待せずに
    はいられない。さすがに世界最高峰と呼ばれているモンラッ
    シェ、おそらく誰が味わっても、一様に同じような感想を言
    うと思います。今の段階でもまだフレッシュ、〜らしいとか、
    〜のようなという表現が使えないくらい、構成をしている一
    つ一つの要素は輪郭がくっきりしていて、それとすぐわかる。
    見せかけのない無垢な美しさは、裏打ちされた品格の磨か
    れ具合の高さをうかがい知ることが出来ると思います。
    そういえば、二週間前に持ち込みがあった、サン ミケーレ社
    のA.A. シャルドネ"サンクト ヴァレンティン"2000年
    と比較をしてはいけないと思うが。至らない若々しさが2年
    ほどで落着けば、モンラッシェほどではないにしろ、将来を
    楽しませてくれそうでした。このワインは当日、まだ酸が堅
    く、そのことを除けば、ローストしたナッツ、アプリコット
    やパパイアなどのフレッシュなフルーツ、蜂蜜の香りは申し
    分なく優雅で樽熟成をさせた痕跡を見事にワインの一部に取
    りこんでいます。味わいは上品でバランスも良く複雑に構成
    されています。後口に存在感を充分に感じさせ、心地よいゆ
    ったりと長い余韻があります。もう1本、語っておくべきワ
    インがあります。それは、、マシャレッリ社のトレッビアーノ
    ダブルッツォ "マリーナ ツヴェティッチ"2001年です。
    このワインは2年ほど前に味わったことがあります。その時
    は樽熟成の影響でわずかにタンニンが感じられ、その印象が
    とても良かったように記憶しています。今回はこのタンニン
    の影響がなりを潜め、華やかな酸が以前にもましてボリーム
    が大きくなっているのに、そのことで全体のバランスがさら
    に良くなっていました。これならば、気になるビンテージが
    あれば10年以上の保管に耐えられるような期待が持てると
    思いました。

6月14日、思わぬ再会。
  • 最近の1ヶ月間は懐かしい人達の来店が相次ぎ、嬉しい気持
    ちで一杯になっています。思い出の中の場所やお店、人達は
    過ぎ去った出来事になって、そのままになっている場合もあ
    れば、現在進行形で進んでいる場合もあります。いずれにし
    ても多くの人や物に関わりながら、暮らしていけることは実
    に楽しいことであると思っています。廃業した、船場吉兆の
    料理の使い回しも、料理と接客がお客とコミュニケーション
    をするツールであると考えていたならば、あのようにならず
    に済まされたのではないかと思います。食材と料理人、お客
    の縁を大事にした仕事をしなければいけないと考えさせられ
    ました。
    先日、3社のインポータのテイスティングがあり、イタリア
    以外のワインも比較とチェックをする目的で会場に出かけま
    した。その中で、ラックの扱っているブルゴーニュのワイン
    は全体的に、華麗な酸と柔らかなタンニンは微妙な濃淡の
    グラデーションに、果実味と絶妙な拵えのバランスが巧みな
    構成に感心させられました。その、表現の豊かさと奥深さを
    十分に感じながら、テイスティングの最中に思い浮かんだこ
    とがあります。それはキアンティです。果実味を舞台に花畑
    を背景にして、奥ゆかしく静かに微笑を湛えようなタンニン
    と酸が蘇ってきました。必ずしも、向かう先が同じとは言い
    たくはないが、しかし、美味しいものは、美味しいを素直に
    喜べばいいと思いました。
    その他にも、美味しいと思ったのが普段は自腹を切って買う
    ことをためらうような価格帯の、フランスの白ワインです。
    比較をするのはおこまがしい気がしますが。最近、買い込ん
    でいる数点の樽熟成をした白ワインがあります。ソアーヴェ
    “デゥ ロ” とグレーコ “クティッツィ” です。価格は3分の1で、
    私だけの思い込みかもしれないが、迫る勢いだけは十二分
    にあると考えています。5年後そして、10年後を楽しみに
    瓶熟を重ねています。
    この日も、このようなワインもあれば、以前の記憶から外れ
    ているワインが会ったりと、何時もながらの光景がそこにあ
    りました。その中で、アメリカのジンファンデルは、今まで
    の印象にある一杯目は濃厚で美味しいが、後が続かないを、
    払拭させられたような感じがしました。軽快な酸と果実味の
    バランスがとても良かったからです。呑み飽きのしないだろ
    う味わいは、いつかゆっく1本を味わいたいと思いました。
    この日以外の会場での、テイスティングで思わず気に入って
    発注をしてしまったのが。リースリングとピノ ビアンコの交
    配種のインクローチョ マンゾーニ6.0.13から造られた
    "マンッツォーニ ビアンコ"です。これはステンレスタンク
    で熟成された白ワインですが。5年ほど瓶熟を重ねることで、
    違った一面を見せてくれるのではと期待をしたからです。
    ひょっとすると10年後に全く違った味わいに変化してくれ
    ることを楽しみにしています。

5月17日、10キロの減量。
  • 我が家のニャンコ娘が永眠について、1年が過ぎようとして
    います。最初よろよろした足取りになり、そのうちに食事を
    しなくなりました。無理やりスポイトで流し込んだ食事や水
    も拒むようになり、最期は悟ったかのように静かに長い眠り
    につきました。その穏やかに痩せ細った姿が目に焼き付き、
    まさかのペットなんとかに掛かり食事が出来なくなる。なん
    とか食べられる野菜を中心にした食事に切り替える、しかし、
    食べている最中に胸がつかえて進まなくなったり、作ってい
    る最中に胸が一杯になり中止したりを繰り返しているうちに。
    おかげ様で1年かけて体重がほぼ10キロ減り、若かりし頃の
    体型に戻る。願ってダイエットをしたわけではないのだが。
    結果から察すると、寝酒の量を半分以下にしたこと、野菜の
    割合を増やしたことが、主な原因であると思います。
    何故食べるのか。吉兆のいき過ぎた「モッタイナイ」は論外
    にしても、味覚とは違う味の刺激を求めること、無駄に胃袋
    を脹らませることは、個人の問題だから良いのだが。極端に
    デフォルメされた音楽やその他の創作された作品に触れるこ
    とは、個人的な楽しみや好みのなので、「へー」で済まされる。
    しかし、食べるという感性をいたずらに満足させる行為は、
    二次的な効果として、ポッチャリに、そして不感症はガリに。
    胃袋を満たすだけの食事を反省しながら、かみ締めるように
    味わうを、食事の度にもっと意識をしなければいけないと思
    っています。
    5年ほど前から、その良さの再認識をしなければと考えてい
    るのが、バルベーラとドルチェットのワインです。飲み頃の
    ヴィンテージのワインが見つからない、イタリア ワインの常
    として自身で集め、状態を整え、資料を整理しなければなら
    ない。このことは、未知な領域に踏み込む楽しさはあるが、
    同時に本質を踏み外している自分に気が付かない場合があり
    ます。辻褄の合わない矛盾が生まれ整合性に疑問を感じるよ
    うになる、こうなると悩みが悩みになり、深みのスパイラル
    に入り抜け出すことに苦労をします。今回も資料の少なさに
    アスティー、アルバ、モンフェッラートの各地区の地域特性
    を明確に整理が出来ないままにテイスティングを繰り返して
    います。結果は造りに手間をかけ、低収量で熟成に高価な道
    具を使用した、時間をかけたワインがより美味しく感じられ
    ました。高価なワインがイコール旨いでは、芸がなさすぎの
    ような気がします。今のところ、整理をしている最中ですが。
    従来から扱っているバルベーラ ダルバ"パパゲーナ"から
    "ピアーニ"への変更を中止し両方のワインをオンリストす
    ることにしました。"パパゲーナ"は97年からウォチィング
    をしていましたが。どうしても気に入らない酸があったから
    です。しかし、04年をテイスティングすると秀逸な年であ
    る関係か、酸の輪郭が完成された柔らかさがあり、タンニン
    と果実味のバランスが良い。おそらく10年くらいは現状を
    楽しませてくれると考えています。どこかで変化してくれれ
    ば、嬉しさは倍増するがこればかりは時間が過ぎて見なけれ
    ば解りません。ラインにもう一つ加えたいのが六千円前後で
    枯れて、尚且つ魅力に溢れているバルベーラを見つけ出すこ
    とです。ドルチェットは核心に少しづつ近づいている最中で
    す。

4月19日、バルベーラ。
  • トスカーナ州の銘醸ワインと言われているブルネッロ ディ
    モンタルチーノはサンジョヴェーゼ グロッソ100%で造
    られますが。この度、他品種混入による、原産地呼称の詐称
    を4社が疑われています。最大手の2社が入っていたのには
    驚かされました。03年の猛暑はかなりブドウにストレスを
    与えていたと思われます。以前に触れたように、頑なに口を
    閉じて打ち解けてくれない味わいは飲み進むに従い、疲れを
    感じます。サンジョヴェーゼ ディ ロマーニャ"プルーノ"、
    ロッソ コーネロ"クマロ"、2年が過ぎてようやく酸が和ら
    ぎ始めたボルゲリ"カンポ アル マーレ"つかみ所のない味
    わいのヴァルポリチェッラ"セッコ ベルターニ"、イガイガ
    した酸とタンニンが通りの悪い"トッリオーネ"など、03
    年のワインを買い込んでありますが。しかし、完全な保証が
    ある訳ではなく、時間がすべてを解決してくれるであろうと、
    想像してエージングをしています。多少の不安はあるが、私
    が思っていたとおりに仕上がってくれる日を心待ちにしてい
    ます。
    2003年の事情をインポーターに聞くとよい結果を出した
    ワイナリーは収量を落とし、完熟を待たずに糖度から収穫の
    時期を判断したそうです。南イタリアはアフリカの高気圧が
    例年どおりに張り出し、悪い影響がなかったそうです。天候
    というどうにも介在できない問題は、静かに運命を受け入れ
    るしかないように思われるが。人の英知が生み出す、類まれ
    な想像力と努力は、一時、空間から金品を取りだし、言葉が
    金銭を引き寄せる。マジシャンはショーで木戸銭を頂いても、
    マジックで利益は生み出すことは出来ないはず。体と頭を使
    って、「さあ、飯を食って働くぞ」。
    4月2日付けの北海道新聞の朝刊に、崩食豊食‐衰える舌‐
    の記事があり冒頭に「食べ物と情報があふれかえる中、五感
    で味と安全性を確かめる能力が減退してきている。」とある。
    味覚が何故あるのか。どうして食べるのか。本来の理由を諭
    す人がいない、というより漠然と解っているが。その必要性
    が理解されていないような気がする。腐敗した食べ物と発酵
    した食品の違い、毒の苦さと薬の苦さの違い。味覚がなぜ
    必要なのか、美味しいの本来の意味するところは。明確に
    答えてくれる人も場所も、今の私には思い当たらないのが
    現状ですが。学問なり定義をしっかり指し示してくれる日が
    早く来ることを願っています。
    フォンタナフレッダ社のバルベーラ ダルバ"パパゲーナ"は
    ペリッセロ社のバルベーラ ダルバ"ピアーニ"へ切り替えよ
    うと考えていました。価格が4000円のラインから外れた
    ためです。しかし、2000年以降、試飲するたびに後ろ髪
    引かれる思いでいました。それは、年々私好みに変化いてい
    たからです。今回2004を試飲する場があり、その感想は
    とりあえず、酸があり次に果実味を感じ、全体のバランスの
    とりかたを見る。どうしても、酸のこなれ具合に注意がいく
    のだが。バルベーラの特徴的な酸が全体のバランスの中に溶
    け込んでいる。バルベーラは本来の性格は繊細なブドウなの
    だろう、おそらくアプローチ仕方を変えたのだろうと思われ
    る。緻密でしっとりした酸に繊細でほっそりしたタンニン、
    ふっくらした果実味は余韻が上品です。高額なバルベーラな
    らわかるが5000円以下で、この味わいはお得なワインで
    ある。そうなると気になるのが、同じランゲ地方の中から、
    ミクロクリマの違いから来る個性が、どのように表現されて
    いるかです。調べる楽しさが増えるのは嬉しいが、在庫が?

3月15日、米から麺とパンは出来る。
  • 小麦製品の大幅な値上げに、ユーロに対する為替の円安が続
    いているために輸入食材の相次ぐ値上げは、当店にはさほど
    深刻な問題にはなっていないのだが。身近な食材、肉と魚介
    がジワジワと上がり始めています。特に料理屋さんが扱う一
    部の魚が価格の上がり方が激しく、そして、札幌の中央市場
    には入荷量が少ないような気がします。色々と工夫をしてい
    るのだが、さすがに耐えきれず、ベースになるコース料理を
    4,300円に値上げしました。今までの固定されたメニューの
    単品料理の価格は据え置きにしています。良心的に低価格
    で料理を提供しているレストランほど収益が下がるのではな
    いかと思われます。しかし、ラーメン屋さんを例にしても、
    輸送用の燃料が50%、小麦粉の引渡し価格が40%アップ
    したところで、料理の原価が50円以上も上昇するとは到底
    考えられない。むしろ、便乗値上げを企んでいる人達に注意
    をする必要があるように思えます。
    先日テレビを見ているとお米でパンを焼いている店があり。
    小麦粉の値上がりで米粉との価格差が縮まり、割高感が消え
    たために売上が伸びていることが取り上げられていました。
    以前より思っていたことは、身の回りにある食材に目を向け
    ずに、どうして、小麦のことが話題になるのか、不思議でな
    りません。お米の粉から麺もパンも出来ます。ましてや転作
    作物の小麦がどれくらい自然状況に適合しているのかは定か
    ではないのですが。この日本の環境が必ずしも好適地である
    とは思えません。食糧需給率や耕作放棄された農地の話題は
    簡単に片付けられる問題ではないが。「食べる」という意識を
    身の回りから見直す時期に来ているのではないかと思ってい
    ます。
    2003年のイタリアは猛暑の年でした。情報としては酸の
    少ない、ゴツイ果実味のワインに仕上がっていると伝えられ
    ていましたが。以前にも書いたように、すべてがそうである
    と考えなくてもよいと思います。ウマニ ロンキ社の03と
    04年のヴェルディッキオ"プレーニオ"は先日、抜栓した
    04が4ヶ月間、静置しただけで完璧な状態にも関わらず、
    2ヶ月前に抜栓した03はまだほろ苦さが堅く閉ざされてい
    るような状態でした。ビンテージチャートでは03は平均的
    な年、04は秀逸な年になっています。この03の平均的な
    は、天候が「可もなし不可もなし」ではなく、夏季の暑さが
    マイナス ポイントになってしまったために、良好から平均的
    に格下げにされたと思われます。03は夏の猛暑で夜に温度
    が下がらず、酸がフラットであると言われていますが。この
    ほろ苦さが数年のエージングをするこで和らぎ、尚且つ、酸
    の輪郭が生き生きとしていたとしたら。ひょっとしたら骨格
    のしっかりしたスケールの大きい香りと味わいに変化してく
    れるのではないかと期待しています。03のように夏が猛暑
    の年なりの特徴的な表現してくれるのは、ワインの楽しみが
    一つ増えるのだから嬉しくなります。なにより、天候に一喜
    一憂せずに、作り手の技術革新からもたらされる、心がとき
    めくようなワインが増えることは楽しさが同じように脹れ上
    がることであると思います。

2月16日、ライトボデイは、デリケート。
  • 中国で製造された冷凍食品に農薬が混入されていた事件は、
    新聞やテレビで賑わっているようだが。安くて美味しいとい
    う課題の矛盾をさらけ出しているような気がします。事件と
    は別に、違った見方をすれば月給1万5000円の労働者の
    手作り餃子を、長距離を運ぶためにCO2を多めに排出し、
    料理の提供を時給800円で請け負う従業員が運んでくる店
    で食べる。誰が、誰のために、何を食べてもらいたいのか。
    なぜ食べるのか。私にはきれいに包装された食品としか捕ら
    えていませんが。餃子の裏側に見えてくる、何も説明の無い
    無機質ではあるが。しかし、この餃子は"ホッペが落ちるほ
    どに美味しい"から困るのです。このテンコ盛り状態の美味
    しいは、少しづつ着実にその高さを増していきながら増殖し
    ています。食べるという、日々繰り返される些細な行為に、
    素材を頂くという心構えと食事への感謝の気持ちを忘れずに
    持ち続けたいと思います。
    グラス ワイン用にしている2種類の白ワインは、料理を選ば
    ないライトボデイのワインを用意しています。このワインは
    注文をまとめてから輸入をされるために、多少価格が安めに
    設定されています。しかし、まとめ買いのために場所を取ら
    れるのがデメリットでもあります。価格の安さとそれなりの
    味わいは、以前のマグナムボトル入りの価格だけを優先した
    ワインより喉をスムーズに通っていきます。個性は無いかも
    しれないが、邪魔にならない「このワイン、美味しいね。」と
    言ってもらえるワインであると自負はしています。
    これらのワインは、旅疲れを癒されること無く、入荷してくる
    ので、チクチクした印象の香りと味わいがあります。去年、
    1年かけて、チェックして気づいたことは、ライト ボデイで
    あるが故に、外的要因に影響されやすい。だから、繊細に扱
    ってやらなければいけない。とかく、低価格が常のワインで
    あるために、軽く扱われている。本来、構成ががっしりしてい
    ない虚弱体質なのだから、優しい扱いをしなくてはいけない。
    そうです、粗雑にすると壊れます。
    今回、抜栓したワインはニーノ ネグリ社のヴァルティリーナ
    スフルサート“チンクエ ステッレ”1999です。結論から
    先に言うと、まだ早かった。リリースされてから5年が経ち、
    そろそろ抜栓してもいい時期に来ていると判断したが残念で
    した。1997年はすでに香りも味わいも、いい塩梅になっ
    ているのを確認をしていただけに、この2年早い抜栓を悔や
    んでいます。しかし、リリースされた直後の猛々しい、香り
    と味わいはすっかり形を潜め。色の濃いワインであると印象
    が記憶にありましたが。色の濃さに深みと透明感が加わり、
    上品で圧迫感がない香り、調和がよく柔らかく押し広がる味
    わいがあります。このワインも、とにかく酔い心地がいい、
    後2年ほど待てば、もっと美味しく飲めたのにと思いながら
    “ムニャムニャの世界”に入り込んでいました。

2008年1月18日、理性的な決断。
  • 昨年の暮れにテレビを見ていると、芸能人格付けチェックと
    いう番組がありました。毎年、恒例のように目にするような
    番組です。その中に、料理の食材を言い当てる場面があり。
    松坂牛を知り尽くすほどに食べているような、二人の俳優が
    580円(100g)の牛肉を松坂牛と答えていたのには、思わず
    冷たい視線を浴びせてしまいました。昨年に発覚した沢山の
    長年にわたり偽装された食品の問題も、素材を蔑ろにし
    技術を重視したことが招いた結果なのかもしれないと思い
    ました。しかし、作り上げられた情報を頼りに食べる程度の
    客ならば料理を作る方も、心血を注ぐことに段々と馬鹿らし
    くなり、やがては甘い言葉だけで繕い、利益のみを得ること
    ができるのだから。ある意味これほど楽なことはないような
    気がします。欺くようなことは決して良くはない。今読んで
    いる最中の三島由紀夫の小説「美しい星」の296ページに
    このような件があります。「人間の理性にはもう決断の能力
    はないのだよ。釦を押す能力があるだけだ。確信を以って、
    冷静に、そして白痴のように。」この箇所を前後の文章を含め、
    噛み砕いて説明をすることが、私の能力では出来かねるので
    しませんが。私なりに感じているのは、作る側も、食べる側
    にも、この文章が端的に、いい当たっているような気がして
    います。
    年末年始に味見をしたワインについて触れます。現在ハウス
    ワインにしているサンジョヴェーゼとモンテプルチアーノ
    ダブルッツォ(3品)はワインショプで1000円前後で売
    られているワインですが。このクラスで棚に並んでいる状態
    にある、ワインの中には抜栓をした直後は美味しさが解らず、
    冷蔵庫で冷やしてようやく飲めるような状態になるといわれ
    ていたことが。ようやく、理解することが出来ました。価格
    の安い高いが、セラーで休ませる条件にはならないことへの
    再認識と。私は喩え話に「アイスクリームをチルド室に入れ
    ないでしょう」を言いつづけていますが。やはり、セラーで
    1週間でもいいから休ませることが。良好なコンデションを
    作り出せることを実感させられました。
    では、セラーがない場合はどうすればよいか。冷蔵庫に入れ
    て下さい。出来ることならば、低価格のワインでも10日間
    前後の休息を与えてください。高い確率で息を吹き返してく
    れます。しかし、長期間に渡り25℃以上の場所に放置され、
    すでに過熟になっているワインは、その可能性が小さくなり
    ます。抜栓して飲む5〜6時間前に室温に慣らしておくのが
    ベストです。
    その他に試飲したワインは、タメッリーニ社のソアーヴェ 
    クラッシコ"レ ビーネ デェ コスティオーラ"2006です。
    抜栓を後悔させられたワインで、将来を何も予測が出来ずに、
    酒石酸のキラキラを楽しむだけの情けない結果になりました。
    少々期待ハズレだったのが、リブランディ社のチロ ロッソ
    リゼルヴァ"ドゥーカ サンフェリーチェ"です。リコリスや
    ジュニパー ベリーなどのスパイシーなニュアンスが際だっ
    たバランスと自己主張を楽しみにしていたのですが。決め手
    が欠けているような曖昧な印象が残念でした。個体差もある
    ので今回は結論を先送りし、じっくりと見守ることにする。
    しかし、2000円強のワインに多くのことを期待するのは、
    強引過ぎるのかもしれません。
    とても良かったのは、リジーニ社の1997ブルネッロ ディ
    モンタルチーノです。香りと味わいの調和の良さは格別に
    心地よく、突出した部分がなく、張りと潤いがある。まさに
    円熟した味わい。グラスを重ねるごとに、その酔いかげんの
    心地よさは、ゆりカゴの酩酊船。

2007年12月15日、ミシュランがいよいよ上陸。
  • ミシュラン東京が出版され、意外な結果は小規模な鮨屋さん
    が2軒も3星に輝いていたことです。残念なことはイタリア
    料理店が数店しか掲載されていなかったこと。それにしても、
    日本人の美味しい御飯があれば、御飯で御飯を食べる。この
    ような味覚センスは大事なことであると同時に、特有な文化
    であると思っています。私に料理を教えてくれた人達が共通
    して言っていたのは「素材7分に、技3分」素材のことを十
    二分に理解し、それを生かす工夫をすればよい。同じような
    ことは、辻 嘉一氏や、北大路 魯山人氏の著書を読んでも、
    テクニカルな面に触れず、料理の心得や素材の扱い方に重き
    を置いて書かれていたと記憶しています。そうは言っても、
    食べに来てくれるお客様があって、店は成り立たっているが。
    ここ最近の巷に増えている、胃袋が締め付けられるような濃
    い味付け、頭がキーンと痛くなるほど塩辛い料理に、顎が外
    れるほどに甘いだけのデザートには、素材と料理に造型の深
    い品格のある人達により、線引きを明確にして、しっかりと
    ジャッジがなされてもよいと思います。話題になっているこの
    本への、一つの期待は評価の基準が情緒的に左右されずに、
    客観的な事実に基づいた評価がされているからだと思われて
    いるからです。だからこそ、本国で長く出版を重ね、さらに
    他国にまで進出できるのではないかと思います。しかし、
    疑問なことは、調査員の採用基準と教育マニュアルです。
    それと、ミシュランのタイヤを履いていないまでも、車で
    これら東京のレストランまで料理を食べに足を運ぶ人が、
    どのくらい居るものなのでしょうか。
    数年前から白ワインに対する考え方が代わっています。まず
    は、10℃のセラーから取り出し、抜栓の後に冷やさない。
    一部分の白ワインは赤ワインのセラーにコンディショニング
    をしてあります。これは、温度が低いと、酸と果実味がつぶ
    れているような気がするからです。もう一つは、温度が上が
    るにつれて、浮かび上がってくるニュアンスを、充分に楽し
    むためにです。その他に、後年の変化を期待してエイジング
    をしたいと欲望に駆られる白ワインがあるからです。先回、
    取り上げたヴェルティッキオ クラッシコ"プレーニオ"は、
    普通のヴェルディッキオをイメージしても、おそらくはその
    通りに行かないと思います。それとソアーヴェにも同じこと
    が当てはまると思っています。原産地呼称をあえて名乗らな
    い"カピテル クローチェ"や。D.O.C.からD.O.C.G.に変更
    される際に、当該地域を拡張したことに対して、本来の地域
    特性を主張するために、抗議をする意思表示でD.O.C.のまま
    でいる、ワイナリーを含めて。ワイン造りの変化と取り組み
    方の変更に、何時もアンテナを高くして置かないと、誤った
    判断をしかねません。このような理由で、ヴェルディッキオ
    とソアーヴェは頭にある記憶の、シートは忙しく書き換えら
    れ、そして、新しいテイスティグ ノートを作り上げていると
    ころです。このことは大変だあるが。しかし、後年の楽しみ
    を同時に考えられることは実に楽しいことでもあります。

11月16日、不安させられる2つのワイン。
  • 終息したかなと思いきや、次から次に出てくる食品の不祥事
    は消費者の無知に付け込んだ悪質な行為ではあるが。知的な
    食生活に、もう少し目を向けことで身を守れるのではないか、
    と思います。味覚のセンスは先天的な要素はあっても、訓練
    する事で一定のレベルに磨き上げることは出来ます。ようは
    意識の問題である思っています。それにしても、食材の本質
    を正確に、伝えていないために起きている。例えば、比内鶏
    の偽装にしても、E.U. の原産地呼称の考え方が定着をしてい
    れば、悪いことをする人達の抑止になるではないでしょうか。
    数ヶ月前に、手打ちのパスタがまとまらずポソポソの状態で
    失敗、原因が解らずにいました。今は、卵麺を打つ時は仕上
    がり150gに対して卵が1個、その全体の卵の重量に対し
    て定率のタイプ00の小麦粉かデュラムセモリナを配合して
    います。その間にも、図書館や本屋さんに失敗の原因を探し
    に麺に関わる資料を探していました。しかし、どの本を見て
    も、分量と作業の行程を解説しているだけで、小麦粉の特性
    や水と塩の関係に触れた項目はありません。まして、日本
    製粉のカタログを見ると用途別にたくさんの種類の小麦粉が
    あり。その中から目指している方向性をすぐに見つけ出すこ
    とは出来ませんでした。その時に、以前、この失敗談をF氏
    に話をしたことがありました。そこから「参考になるかもと
    言われ。」頂いたのが財団法人製粉振興会が発行している
    [小麦・小麦粉の化学と商品知識]です。業界団体の広報誌
    だと思います。著者は長尾 精一氏、長く製粉業に関わってい
    る農学博士です。題名通りの内容は専門家らしく、情緒的な
    表現は一切ありません。少し突き詰め過ぎてはいるが。なぜ、
    どうしてにあらゆるな角度からまとめられています。読み進
    んでいくと、疑問にも思わなかったことに気付かされた箇所
    があったり、私にでも理解が出来るように解りやすい言葉で
    書かれてあります。
    走行距離ほぼ18万キロになる、妻の愛車R33は雪が解け
    始めの時期にアテーサが壊れFRになり、ドア下がりがして
    のギーギーにあちらこちらからのギシギシと不快な音が出て
    います。しかし、気に入った車がないままにGT-Rは予算を
    かなりオーバーしているので断念をしたのですが。雪道の
    不安に四輪駆動は手放せない。候補は2台、しかし、それで
    も予算オーバーをしているのですが。とうとう無理をして買っ
    ちゃいました。赤のブレラを。機能がない便利なだけの車は
    選択肢がたくさんあるのに、運転をウキウキさせるような車、
    性能のよい車がわずかにしかありません。ラリー車を前提に
    した派生車両はあるのだが。妻はサーキットを走っている車
    に好感を持っているらしく、この車に決めたようです。車も
    家電製品化している言われるが、しかし、冷蔵庫や洗濯機は
    機能が進化している。それなのに、機能していない車高に、
    座席の数、無駄なスペース、だから車重が重くなりガソリン
    を余計に消費し環境が悪化する。便利に見えるだけで無駄な
    スペックの車と偽装された食品は、必然が摩り替えられて、
    しだいに失語症におちいり、辻褄の合わないことに気が付か
    ないでいると思っているのは、私だけでしょうか。もっと
    何が食べたいのか、何を飲みたいのか、何を持ちたいのか、
    自ら言えるといいですね。
    これから美味しさの本質をどのように表現してくれるのか、
    不安になるワインが2つあります。カレーマとボーカです。
    1999年のビンテージはそろそろ飲み頃になっていても、
    いい時期に来ているのだが。カレーマはボデイの腰の部分が、
    コンニャクのように安定感がなく、味わいに落着きがありま
    せん。このままフニィフニィの状態が続き、ザワザワした酸
    ととぼけたようなタンニンが、私が想像していた爽やかな酸
    と花びらが綻びるように滑らかなタンニンになってくれるこ
    とを期待するしかありません。もう一つのボーカは酸が頑固
    に口を閉ざして、春の陽だまりで心がゆるむような、なごや
    かさに欠けています。この2つのネッビオーロから造られる
    ワインは納入価格も安価であるが。それと引き換えの長い
    瓶熟が必要ならば、それでよいのだが。それにしても、本来
    の素性を表現してくれるのが、ビンテージより10年なのか、
    リリースより10年なのかは、先行きを見守るしかなさそう
    です。

10月17日、珈琲一杯の薬理学の本から。
  • 本屋さんの棚のチェックは何時もならば、ワインと料理に
    関するコーナや健康に関するコーナーを一通り見るのだが。
    今回はちょっと違う雰囲気の棚から引っ張り出した本があり
    ます。医薬経済社発行、岡 希太郎著書[珈琲一杯の薬理学]
    です。著者は薬化学と臨床薬理学を専攻にしている薬学博士
    だそうです。著者の言葉を借りれば、「長い歴史の中で珈琲は
    実際に薬として使われていたことがあるし、近年の疫学の質
    と量を見ても、コーヒーほどきちんと調査された食品は他に
    ない。それでも何故かコーヒーは健康食品とか機能食品と呼
    ばれたことはない」。確かに、生活の中に定着していながら、
    感情に訴える言葉があっても、健康な社会づくりにコーヒー
    パワーの有用性は聞いたことがないように思えます。
    データーの捏造がばれて途中で終了したテレビ番組を見てい
    ても、5〜10人程度の結果ですべての結論を導き出すこと
    に、どれだけの正当性があるか。サンプリングやピッキング
    の仕方に妥当性があれば問題はないが。特定保健用食品の
    謳い文句にしても、きっぱりとした表現をしてはいない。私の
    理解力が未熟なため、曖昧に見えているのかもしれないが。
    著書の中にもあるが、新薬にしても臨床試験はあくまで試験
    であって本番ではないと書かれてある。薬に関わる人達で
    さえ、このような認識である。普段の生活にも自ら結論を
    下す判断力、五感と知識を駆使した思考力を養うことが大切
    であり。そこに豊かで平穏な日常があると思っています。
    先回も触れた食育にしても、以前は当たり前のことが、今は
    一つ一つ説明をしなくてはいけない。健康食品、機能食品、
    保健食品(トクホ)、サプリメントなどの神秘的な効きめを、
    表示してある食品が氾濫しているの中から。著者が提唱する
    一杯のコーヒーが創り出す、明るい健康的な社会の活用の
    仕方が。学術論文に書かれた疫学調査と実験調査に基づいて
    コーヒーの効きめが述べられている。ジャーナリストが食品
    を警告した本はたくさんありますが。薬理の専門家が用語を
    羅列しただけの堅苦しい本ではなく。私でも理解をすること
    が出来る言葉で書かれてあります。そこには、肩の力を抜い
    て、偽物を見抜くのではなく、本物に吸い寄せられるような
    環境で生活しようよと、呼び掛けられているような気にさせ
    られました。
    ガンベロ ロッソ2007年度のトレ ビッキエーリにつられ
    て買い込んだ、ウマニ ロンキ社、03年のヴェルディッキオ
    "プレーニオ"。30%の果汁は新樽のフレンチ バリックで
    発酵され、翌年の3月にタンクで発酵されたモストと合わさ
    れ、その後に、コンクリートタンクで12ヶ月間の熟成と、
    瓶内熟成を6ヶ月間されます。古典的な考えにモダンな造り
    方を、取り入れたような醸造方法はコストを押さえながら、
    豊かで凝縮感のある味わいに仕上げられています。アンズ、
    完熟したパイナッパルの爽やかで豊かな香りに、ヴァニラと
    白桃の圧倒されるような香りがします。滑らかな酸、調和の
    取れた豊かで柔らかな味わいは、口蓋に大きなゴム毬を抱き
    かかえたような弾力と充実感があります。粘度のあるトロリ
    とした甘露な口当たり、スパイシーで豊かな果実味の後口に、
    潔く切れ長な余韻が心地よく続きます。4ヶ月間のセラーで
    のコンディショニングにより、大きな容器でゆっくりと育ま
    れたワインは目の前の雑念に煩うことなく悠然とした姿を現
    します。それは、私が想像していた以上の変化をしていまし
    た。一部に樽熟を入れ込み12ヶ月間のコンクリートタンク
    での熟成は、現代的な要素を古い器で醸成されていると私は
    受け止めています。それは、余計なニュアンスを付けずに、
    ブドウ本来の素質をワインに生かす醸造の方法はイタリア
    らしい手法であると思っています。

9月14日、真夏のシビの味。
  • 北海道では次から次へと食品の不始末が発覚しています。今
    のところは落着きを取り戻しているようですが。利だけを求
    め過ぎると、どうしてもグレー ゾーンに手を突っ込んでしま
    うようです。先回、更新をした後に放送されていたテレビ番組
    の中に、北海道の特集がありました。その中に一軒の鮨屋
    さんを紹介した場面のナレーターでは、大間産のマグロはい
    いとしても、最高級の北海道〇〇産のウニは頂けないような
    気がしました。かつて叔父さん(バァちゃんの妹のご主人だ
    から正確には、叔父さんではない)が産地の仲買をしていた
    時期があり、夏は利尻島で極東水産の屋号でウニの買いつけ、
    秋から冬にかけて羅臼町で小川商店の屋号で鮭とスケトウ鱈
    の加工場を経営していたので。多少の知識は小川さんから聞
    く機会があり、やはり8月の北海道産の最高級ウニは利尻産
    であると思います。
    ニュース番組や新聞のコラムにたまに目にする食育について、
    ちょっと気になるのは、はたして、出汁の取り方や料理を教
    えることが食育と関係があるとは、いささか疑問に思えます。
    私が考えるには、自己本能である子供の時期に身につけてい
    た。腐敗した食べ物は酸っぱい、苦い食べ物は毒であるとい
    う認識を変えるためであると考えています。酸っぱいは発酵
    した食べ物の豊かな香気と食材に別格な風味と旨味を与えま
    す。苦いは毒であり薬です。春の山菜やゴーヤなどわずかに
    感じるエグ味は体が季節と共に補するものであると思ってい
    ます。大人になると段々と日常の毎日が平凡になっていく、
    せめて3食の食事くらいは季節感と味わいの変化があっても
    よい事だと思います。それに、子供の味覚から大人へ変化し
    ていく段階で、ファーストフードにコンビニのお惣菜の味が
    子供心に記憶された味わいだったりすると。味の思い出話を
    した時、さほど違わない共通した記憶を共有することになり、
    地域差のない退屈な話題になるだろうし。メタボな〇〇にな
    らないように気をつけなくてはならない。このようなことを
    書いていると、思い出したように書棚から引っ張り出して読
    み返している本があります。中央公論社から出版されていた
    「魯山人味道」です。218ページからの料理に対する心構
    えは、今でも通じると思います。
    2ヶ月ほど前にウマニ ロンキ社のセミナーがあり、ロッソ
    コーネロの新製品の発表とヴェルティッキオの熟成に関する
    近況の報告が主なセミナーの内容でした。ヴェルディッキオ
    クラシッコに関しては2000年から、発酵、熟成から瓶詰
    に至る、ワインを移動させる際に、空気に触れさせないよう
    にするために。窒素ガスの充填やワインの移動を真空ポンプ
    による方法に設備の更新を済ませ。そうする事で気になる
    苦味を解消することが出来たそうです。そういえば1年ほど
    前に白ワインのコメントを全面的に改定を行ったのも、特に
    ソアーヴェ、ヴェルディッキオ、フラスカーティが記憶にあ
    る印象と随分と違っていることに気付かされたためでした。
    このイガイガしいゴワゴワした苦味はゴルゴンゾーラのよう
    なピリリとしたチーズの組み合わせが、如何にも頂けない
    印象でしたが。しかし、最近はこれらのワインとの相性は
    違和感がないように感じています。そのせいか、この時に
    一緒に出品されたバック ビンテージのヴェルディッキオ
    "カサル ディ セッラ" 1997年は以前ならば、早飲み
    するワインという位置付けであったが。10年が経過して、
    その熟成感を味わうことが出来るのだから、たいしたワイン
    であると感心させらましたが。この古いタイプの気になる
    苦味がチーズとの相性を私の中でどうしても見つけられませ
    んでした。

8月15日、ワインづくりの本。
  • 今回は2冊のワインに関する本を紹介します。まず、最初の
    一冊は、技報堂出版社の「はなしシリーズ」から出版されて
    いる関根 彰著、「ワイン造りのはなし」[栽培と醸造]です。
    メルシャン勝沼ワイナリー工場長を経て 技術アドバイザー
    に就任しているほどであるから。ワインメーカーとして一線
    で活躍していたことが伺える。次のワイン造りを目論んでい
    る私にとって、継ぎ接ぎだらけの聞きかじりの知識で何とか
    なるほど物作りは甘くない事ぐらいは解っているので。この
    ように、ブドウ栽培のポイント、ワイン醸造のポイントを私
    でもわかる言葉で理論の解説してくれる本があると、心強い
    見方を手に入れたようでもあります。しかし、ワイン造りの
    技術がフランス流のためなのか。ブドウ品種の摘要の中で
    トレッビアーノの同義語の中にグレーコが入っている。何を
    参考文献にしたのか解らないが。こうゆう時に頼りになるの
    が、中川原まゆみ著書の「土着品種で知るイタリアワイン」
    です。ここには、トレッビアーノとグレーコは同意語である
    とされていません。
    もう一冊は、自家製ワイン醸造の手引書のような本です。
    農山漁村文化協会から出版される、永田 十蔵著「誰でも
    出来る手づくりのワイン」[仕込み2時間2か月で飲みごろ]。
    タイトルどおりの、ワインを台所で造る方法が書かれていま
    す。説明が簡素でおそらく万人が理解をすることが出来ると
    思われる内容になっています。この中の一項目に「ペットボ
    トルを使ったシャンパン」というのがあり。「こだわりの手づ
    くりワイン」は、プライミング(発泡)用の補糖しかしてい
    ない。「正しい」シャンパン(スパークリングワイン)と言え
    る。とある。前段に日本産のスパークリングワインは本物で
    なく、模造スパークリングワインであると書いていながらで
    ある。おそらく原産地呼称の概念が曖昧な日本特有な考え方
    が、シャンパーニュという産地呼称とスパークリングワイン
    を含めて発泡性 ワインであるシャンパンを単純に名称とし
    て扱っている理由によると思われます。この原産地呼称の
    考え方が日本では、生産地としての認識しかなく、その生産
    方法にまで及んでいるヨーロッパのワインは規定を設ける
    ことでワインにブランド力を付加しています。製造規定の
    ない日本では補糖、補酸、香料、原料ブドウのブレンドにつ
    いて日本製ワインには、SO2の使用量くらいしか規定がない
    と記憶しています。消費者の趣向を旨く捕らえた日本製の
    ワインは確かに安全であるかもしれないが。その中身に疑問
    を感じることは、私と著者は同じ考えであると思います。
    去年造った山ブドウのアルコール飲料の感想を聞きたかった
    Iさんに、ようやく来店していただく。都合よく、イベント
    の懇親会を当店でして頂けることになり、そのついでに試飲
    をお願いする。折角なので他のお客様にも味見をして頂くこ
    とになりました。IさんはT氏と同じで欠点を指摘せずに、
    「こうゆうワインが在ってもいい」「美味しいよ」と感想を頂く。
    駄目ワインそうな感じを受けなかったので、まずは安心を
    しました。残りのワインを試飲すると。先回の試飲から
    3ヶ月間過ぎ酸が柔らかくなっていることと味わいの構成が
    スリムに野暮ったさがなくなっていました。ほっと安心する
    と一点の炎が心の中に、次のステップに進みたい、アア進み
    たい、進みたい。

7月18日、古代ローマの食卓。
  • 先月に、お客様のF氏が見つけてきてくれた本があります。
    東洋書林より発行のパトリック・ファース著、目羅 公和訳の
    「古代ローマの食卓」です。紹介文には「著者は国際的に著
    名な食物史研究家でありシェフ。」とあり。この時代の食卓の
    背景をカトーの農業論や、プリニウスの博物誌などの著書を
    参考資料にして、当時の食事の諸事情が書かれてあります。
    気にかかった箇所がいくつかあります。まず都市国家ローマ
    を建設したロムルスとレムスの逸話には、塩野 七生さんの
    「ローマ人物語」とはニュアンスに違いがあります。それに、
    ローマ以外の本国とその他の地区の表現を属州なのか植民地
    なのか、理解の仕方に微妙な違いが見られます。流通にして
    も、ローマ人の舌を満足さえるために運ばれるカッパドキア
    (トルコ)から運ばれるレタスがあり、当時の品種、価格と
    輸送日数にも触れて欲しい。そのことで、貪り喰うローマの
    当時の馬鹿げた食文化を紹介できるのではないかと思いまし
    た。それにしても、ラテン語やギリシャ語が読めない私に
    とって、当時の著書を解りやすくテーマの沿って書いてくれ
    るのは、当時を知る資料として、とても貴重な本です。
    去年、札幌ワイン工房の協力で造ることが出来た山ブドウの
    ワインは、テクニカルな面で指導していただいたT氏の評価
    を6月に聞くことが出来ました。当初より誉められることは
    期待していなかったのですが。ワインを本当に愛しているこ
    とに甚く感心させられたのが。とにかく、良い箇所を見つけ
    出しコメントを言ってくれたことです。何時のことであった
    か忘れましたが。ワインを「美味しい、美味しくない」この
    一言で片付けるのは、ワインの良さをわからない未熟な人で
    ある。ワインを人生の一部であると考える人は、ワインの
    美しさを見つけ出すことに楽しみがあり。より多くの美しさ
    を見出すことを出来る人が、ワインにより多くの幸せをも
    たらされる。このように教わったことを思い出しました。
    しかし、私はまだ、そこまで至ってはいませんが。ワインを
    愛する心を呼び覚まされた思いがしました。
    その時に、T氏が持参してくれたのがマオイ ワイナリーの
    「山ブドウワイン」です。二酸化硫黄の添加を極力控えた
    造りは、味わいが似たような仕上がりになっていました。
    原料は大野町産の山ブドウを買い入れての仕込みをしたと、
    裏書に記されてあり。補糖はしてあるが、かなり近い考え方
    に共感を覚え、後日会いに行こうと思いました。
    2週間後に、ワイナリーを訪れる。予約もせずに面会を申し
    込むと快く受け入れてくれました。T氏からこのワイナリー
    の存在を知ったこと、去年、山ブドウで自作のワインを造っ
    たことなどを矢継ぎ早に言い終えると。隣にはニコニコした
    向井さんが「なかを見せましょうか。」と言ってくれる。その
    一言に、何か一気に安心させられる心地にさせられました。
    向井さんから畑、今まで試したブドウ逸話などの話を色々と
    聞いている最中に、急に思いが駆け巡り、自作の山ブドウ
    ワインのその次が見たくなり。そこで、すうずうしい私は
    仕事を手伝わせて欲しい旨を向井さんに伝えると、すかさず
    「大変だよ。」の一言が返ってくる。承諾を得たわけではない
    のだが。現場に携わることが出来るチャンスとばかりに押し
    かけて行こうと心に決めた次第です。
    この場を借りて、向井さんよろしくお願いします。

6月18日、いい本を見つけました。
  • 以前より、資料としてブドウ品種の特徴と主だった栽培地域
    をまとめたガイドブックを捜していました。なぜならば、
    イタリアワインは地域に根差した土着品種を理解しなければ
    いけないからです。それから、ワインの呼称が、品種なのか
    地域なのか、もしくはエピソードである場合もあり、その
    由来を知っていれば、大まかな全体像は見えてくるからです。
    唯一に頭を悩まされるのが地域が変わると品種名が別の
    名前になっている事です。ワインが仮に隣同士の地域ならば、
    品種に違いはあるが似たような表現と、土地や微気候の違い
    による異なる表現している場合があり。そのアプローチの
    仕方や価値観の見つけ出し方が、全く違った理解の仕方にな
    るからです。この品種の多さこそがイタリアの特徴であり、
    多くの楽しさを与えてくれることだと思っています。間違っても、
    そのことがイタリアワインを難しくしているのではありません。

    新書案内の中に偶然に見つけたこの本は、産調出版が発行
    した、中川原まゆみ著書の「土着品種で見るイタリアワイン」
    です。解説には参考にした文献や歴史書など、資料の出所が
    しっかり書かれてあり、当たり前ではあるが信憑性がある。
    今後、新しい事実が明らかになったときに書き換えをどのよ
    うに行うのか楽しみである。
    この本には、ブドウ品種に関することに、別名や類似品種が
    記載しているのはとても参考になります。あえて不満を言え
    ば、重要な別名は見分けをはっきりさせる。巻末の品種の
    索引は重要性を3段階くらいに分けて本文中に出てくる品種
    をほぼ網羅する。産地マップに記載されている名称が都市な
    のか原産地呼称なのかがよく解らない。以上3点を私にも
    理解が出来ればと思いました。解りやすくして欲しい個所は
    いくつかありますが。開けば解る本が一つ増えました。
    猛暑といわれた2003年、果実味がゴツク、酸がないと言
    われているが。必ずしも、そうであるとは言えないような気
    がします。D.O.C.のネッビオーロ、キアンティ クラッシコ
    は広がるような果実味が感じられ、酸は柔らかく握られたよ
    うなまとまりがあります。今のところ私には、大きく欠点の
    ある年だとは思っていません。南部のワインは大いに期待を
    しているところでしたが。これはハズレのようでした。

5月17日、世界史年表を眺めて。
  • 先回に続き、「世界史年表・地図」の古代ヨーロッパの産業と
    交通を眺めている、と。マルセーユとリヨンの中間の地点に
    にぶどう酒と記されてあり、ストラボンのギリシャ・ローマ
    世界地誌に書かれているワインの銘酒の産地と唯一に一致
    しない場所です。ローマ帝国2世紀ごろの領土の範囲が記さ
    れているこの「古代ヨーロッパの産業と交通」の地図は、ここ
    に書かれてあるように2世紀の図ならば、ストラボンの後の
    時代であり、銘酒の産地であっても、不思議はない。
    以前にも触れたことであるが、某雑誌の中に「西暦92年、
    時のローマ皇帝ドミテアヌスがイタリア経済を圧迫するを
    理由にガリアの葡萄を引く抜く命令を出す。しかし、あまり
    守られなかった」とあるが。イタリアワインについて書かれ
    た本に柴田書房発行の塩田正志著「イタリアワインすべて」
    の初版本には「植民地からの輸入量が増大し、葡萄の栽培
    が盛んになり、小麦の栽培がそれにとって代わるのではな
    いかと、心配したドミテアヌス帝が栽培を制限するほどであ
    った。」とある。見解の相違であると理解するしかないが。
    「ギリシャ・ローマ世界地誌」を書いたストラボンの没後
    70年に優良産地が一つ誕生するほど恵まれた「ワインの
    約束の大地ガリア」。
    札幌市の中央図書館にあるフランス史に関わる本を見ると、
    ローマについて、よく書かれてある個所をほとんど見かけま
    せん。あらゆる文化をリードしているのがフランスであると
    いいたげであるが、それはそれでいい。ユリウス カエサルが
    書いた「ガリア戦記」はガリアでの蛮行を取り繕うために、
    書かれたものである、それもいい。ガリアにローマ軍が侵攻
    した時に、ブドウの苗を持ちこむ以前から、ガリアでワイン
    は造っていた、それもいい。しかし、後世の世代が現存する
    資料を参考に書き綴った。ギボンの「ローマ帝国衰亡史」、
    塩野七生さんの「ローマ人物語」とローマ時代の紀元前後に
    書かれたストラボンの「ギリシャ・ローマ 世界地誌」の著書
    を読む限り。ローマが略奪と搾取のために属州を増やして
    いった。そのように読み取る事は出来ませんでした。
    それにしても、古代ヨーロッパから現在に至るまでの政治の
    体制に触れた本はあるが。私の探し方が悪いために、行き着
    く事が出来ない本があります。それは交易なり貿易の実態に、
    生産地の特質、決済の実情に触れた本や。新たな支配者の
    出現による農業や生産品の変化していく様子に。帝国や王国
    から共和制、民主制へと政治の体制が変化していくに伴って
    特産物や特産品の行き来の変化について書かれた本です。
    市井の人達の生活が歴史の中でどのようにして移り変わり、
    変化していったのか。商品の価値観が時代と共に変化して
    行く様子を、ワインや料理を通して現在に至るまでの経緯に
    興味があるからです。なんといっても最初に知りたいのは、
    ブドウについてです。苗が変異を起こし分かれ、進化してい
    く過程や系譜図、苗が新天地に移植された際の新たな表現と
    定着した理由にとても興味があります。

4月18日、ローマ人物語が最終巻。
  • この巻で最終の塩野七生著「ローマ人の物語 15巻」を読み
    終えて。そもそもはお客様からこの本の事を教えられ、読み
    始めたのが塩野さんを知るきっかけでした。歴史小説は好き
    なジャンルであり、このシリーズは飽きることなく全巻を欠か
    さずに読み続けました。しかし、期待していたワインや食べ物
    の逸話がほとんどなく、ローマ時代の食事風景を窺い知る事
    ができなかったのが、少々残念でした。
    当時の食生活を、一連のローマ建国〜王政〜共和政〜帝政
    の中で、イタリア本国と属州といわれていた地方から生産さ
    れる農作物やその加工品が暮らしの中で、双方にどのように
    関わっていたのか。そして、私が最も興味のあるワインにつ
    いても、もっと知りたいことなど、たわいのない話を、お客さん
    のH氏にしている、と。後日、手渡されたのが飯尾 都人訳の
    地理学者 ストラボン (68B.C.〜19A.D.)により書かれた
    「ギリシャ・ローマ世界地誌」 です。このような本は内容を
    説明するのに困っていまうのですが。ストラボンが生きていた
    時代のヨーロッパ大陸と南側のアジア大陸、東はインドまで
    の、都市や種・部族に至る人の特徴や習慣と土地の状況の
    相互について書かれた本です。
    数ページを読み進んだ段階で、全部を読んで把握をするのは
    無理がある事に気付きました。その後は題目を読み農産物
    と特産品、ワインに関する事が書かれた箇所を拾い読みして
    いく事にする。しかし、流通と決済の方法が記されていない
    ために、商品の動きを十分に知ることはできませんでした。
    それにしてもどうして、このようなことを知りたいかは現在
    ある葡萄品種の、その起源と変異、枝分かれを体系立てて
    整理した本がないからです。それと、ワインの歴史も年表を
    抜き書きしただけではなく。参考にした資料の著書や文献な
    どの取材元が明らかな史実に基づいた本を資料として持ち
    たいと思うからです。このような知識を持っている事が、現在
    は何も役に立たないかもしれないが。成功と失敗、その歴史
    に語り継がれたエピソードを知ることによって、いっそう、
    その味わいが深くなると思っています。
    もう一冊は吉川弘文館の「世界史年表・地図」です。その中
    の、世界史対象年表は見開き2ページに紀元前3000年の
    エジプト王朝から20世紀に至るまでの国の起こりと変節を
    横棒の図表にしてあり、見るだけで国の範囲と興亡盛衰が
    解るようになっています。それに、合わせて「世界史地図」
    を見ていくと、なぜ、マケドニアのアレクサンドル大王が
    未開の地である西ヨーロッパや北ヨーロッパに領土を広げな
    っかたのか。なぜ、ギリシア人が地中海に植民都市を広範囲
    に展開しながら、通商をしていたのに覇権国家にならなかっ
    たのか。この2点が疑問に感じたこと。それと、ローマの
    建国から現代に至るまでの、ヨーロッパと西アジアの民族の
    移動と国の興亡盛衰は、フムフムと見ているだけでしたが。
    塩野さんの「ローマ人物語」が頭の中に正確にインプット
    されていたのなら。様々な物語が地図の上で展開するであろ
    うに、細切れの記憶がどうしてもつながらず、何か頭の中が
    モヤモヤして、すっきりしない。

3月18日、昆布出汁の取り方。
  • 先日の朝、テレビの特集番組に出ていた、Mシェフ。味覚と
    スローフードの事について小学生相手に(後方にはズラリと
    母親が見学)含蓄のある話はさすがに一流シェフ。私の知る
    限り、昆布出汁の取り方は、ここ数年前から60度の温度で
    30分間煮出す方法に変わっています。しかし、家庭でとる
    昆布出汁にヌメリが出ても色が付いても、さしあたり問題は
    ないと思うが。昆布にハサミで切れ込みを入れるのは如何と
    思う。できる事であるならば、出汁を取り終えたカツオ節と
    昆布の、再利用の方法も添えて欲しかった。無駄にしない事
    ならば、その後に、司会者がコメントの中で煮干の入った
    みそ汁に関わる話題をした時に「煮干は食べる物と教えられ
    て育った」の一言は多少なりに救われる思いがしました。
    バアちゃん子の私も、煮干は具の1品だと思わされていまし
    たし。そして、いまだに信じているバアちゃんの一言は
    「マンマ残せば目がつぶれる」である。
    某社の展示会で試飲した、リヴェラ社のネロ ディ トロイア
    "プエリ アプリエ"は以前より気になっていたワインです。
    南イタリアのプーリア州でネロ ディ トロイア種100%で
    造られ、同じブドウ品種でステンレス タンクで熟成された
    "ヴィオランテ"を去年、初めて試飲する機会があったから
    です。ブドウ由来らしい酸とタンニンに好感が持てた事と、
    清楚な香りとこじんまりした純真で無垢な味わいは他には
    ない個性であると感じたからです。味わいの構成は端正で、
    長距離ランナーのような持続性の長い、筋肉質が感じられ。
    パーツの一つ一つにスケールが大きいというより、奥深さを
    感じました。同じ思いがあるワインがもう一つあります。
    モリーゼ州のティンティリアというブドウ品種から造られた
    ワインです。このワインもステンレス タンクで熟成された
    ワインを試飲した経験があり。これも、木樽で熟成された
    ワインに将来を楽しみにしたいと思わせる一品でした。最近
    リストに加えられた中部から南イタリアのワインは、甘さを
    感じる爆発的な果実味ではなく、わずかに軽く滑らかな
    タンニンとはっきりとした酸の存在感に、果実味の輪郭が
    ぼやけていないところも好いと思っています。
    "プエリ アプリエ"と同時期に発注したワインにジュスティ
    ピエルジョヴァンニ社のラクリマ ディ モッロ ダルバ
    "ルイジーノ"2004があります。ヴェロネッリ2007
    でソーレに選ばれていて、おもわず買ってしまったのですが。
    このワインも以前の試飲する機会があり、その時に居合せた
    輸入の担当者に樽で熟成されたワインをエイジングした時の、
    変化について聞いてみたが。ビン熟の年数経過はようやく
    出来るような環境が整い、これから見守っていくところで
    ある、との返答が返ってくる。その事を思いだし、それなら、
    今回のビンテージはお祝いの意味もあり購入した次第です。

3月9日、やまぶどうワイン、その2。
  • 先回、告知した山葡萄を原料にしたアルコール飲料はたくさ
    んの人に味わい寸評を頂きたかったのですが。何せ出来あが
    りが360mlビン4本と300mlビン1本にしかならず。
    3本はワイン造りに協力して頂いた方々に配り。残りは酷評
    を覚悟であえて、挨拶をする程度の間柄であるにも関わらず、
    ワインに深く関わっている方々に、無理に受け取らせ評価を
    打診しました。手元に残ったのはドロドロの搾り滓とわずか
    な上澄み液だけです。
    この素人の初回作品、その香りと味わいは、タンニンのない
    複雑性に欠けたモンテファルコ サグランティーノを背景に、
    酸の際だったランブルスコを思い浮かべました。誉めると
    すればこのように書くのだが。ガマズミやコケモモの素朴で
    野性的な香りに、灌木の樹皮の香りは単調で質素。香りから
    連想される味わいは荒削りで野性的です。ワインとしてなら
    ば、商品になるどうかは、甚だ疑問であるが。初期の目的で
    ある補糖せずに自然酵母の力だけでアルコール飲料に変化さ
    せる事には成功したので、目標は達成したと考えています。
    収穫したブドウは軽く日干しにして水分を飛ばし糖度を上げ
    る。糖度は屈指計で測定すると18度でした。単純に計算し
    て糖度の半分がアルコール度数になるので9度になるはずが。
    2次発酵を終える間際の計測では8度でした。ブドウの採取
    場所は栗山町美流渡です。ブドウは除梗し果実のみ6000
    グラムを手で破砕し28℃の温度で7日間のマセラシオンを
    ステンレスポットで1日2回(1回でも良いのだが少量の
    ため)のパンチングダウンを行う。その後にザルに乗せ、
    軽く重石をかけて2000mlを搾汁する。2次発酵はガラス
    ビンを用いて20℃の温度で90日間の熟成をさせました。
    最初はフリーラン ジュースで熟成をするつもりでしたが。
    ザルから落ちる果汁はポタポタと滴る程度のわずかな量に、
    さすがにモッタイナイと思い、皿をひっくり返し乗せ、軽く
    体重をかけて搾りました。
    概要は以上のとおりです。今年は造るつもりはありません。
    もし、協力できる仲間が集まれば、次の手段は考えています。
    自然に任せた状態でブドウを収穫して醸造していたのでは、
    品質が一定しません。やはり、山から下ろし、畑の中で栽培
    品種に定着させる手段を考えなければいけません。垣根方式
    に裁植して極限まで株密度を上げ、木へのストレスを観察す
    る事から始めます。理想の植樹本数は(畝の間隔は1.5m、
    株と株の間隔は40cm)16500本/haを考えてい
    ます。オアジ・デリ・アンジェリ社のクルニがこの環境で
    植樹されています。将来は22,000本/ヘクタールを目指
    しているようです。この密植の目的は株と株の感覚を狭める
    事で隣の木同士が養分を取り合わない様に根が横に伸びずに
    真下に行くため、地中深くの色々な土壌の成分を葡萄が得ら
    れる事にあるようです。山葡萄はバラ房になっていて、日本
    の多湿な環境に適合していると考えています。そのために
    一房の重量がとても軽く、この事を克服する方法であると
    考えています。さらに、1本の木からの収穫量を1000g
    以下にした場合の糖度と酸度の変化もデーターに記録をしな
    ければいけません。蜜植えに収量制限する事で、とにかく、
    木がストレスを感じているようであれば、次の段階で理想と
    する糖度の設定を25度にする事が不可能であるからです。
    さらにできる事ならば、優秀なクローンの選択をしなければ
    いけません。イタリア流に自然な状態で、ブドウの木が育ち、
    実が成り、搾ればワインになる。この単純な営みに人が意図
    的な介在を極力避けるようにする。天の恵みに感謝する気持
    ちと、ワインの出来、不出来に一喜一憂せずに、ありのまま
    を受け入れる。この事が大切であると思っています。
    木にストレスもなく、25度前後の糖度があれば。次に発酵
    と熟成を迎える事ができます。タンクの素材や形状、発酵の
    温度に期間、熟成の方法にいくつかの選択肢があり。その間
    に間違った方向に行かないように見守り手助けする、この事
    が唯一人の手を加えて良い作業だと思っています。どの方法
    が良いのかは、思考錯誤を繰り返し検証を重ねるしかありま
    せん。楽しい事は問題を沢山抱えた"お宝の山"にいっぱい
    眠っていると思っています。

2月20日、山葡萄のワイン。
  • 当店はイタリアワインを専門にしています。しかし、その他
    の国のワインにも美味しいと感じられるワインも多数ありま
    すが。収集癖のある私は、止めなく増える種類に歯止めをか
    けて置かなければならないので、イタリアワインのみの扱い
    をしています。と言っても、試飲会や展示会の案内があれば、
    なるべく出向きます。そこでは、チェックをすべきイタリア
    ワインは細部に到るまでの確認作業は当然として、その他に
    美味しいワインの情報があれば、参考までに色々と味を見る
    ようにはしています。それと北海道のワインをリストに乗せ
    たいと思う気持ちは、単純な動機ではありますが、いつも心
    の中に持ち合わせています。
    イタリアのワイン造りを見ていると、オーガニックやビオに
    対して自然体で接していると思っています。これは、特別な
    意識で作業をしていない事から見て取れると思います。たと
    えば、ブドウは黙っていても実を結ぶ、育成期間に雨が極端
    に少なく湿度が低い、積算日照時間を充分に確保できる。等
    などワインを造る環境に特別な手間が要らないのがイタリア
    です。ワイナリーからのテクニカルデータを見ても、大多数
    (当店の扱いに関して)がオーガニックを実践しています。
    私は、この自然体で、人為的でない、運命的な、無意識な、
    そこに心が引かれ、好きな理由があると思っています。
  • さて、北海道のワインなのですが、以前より疑問に感じてい
    る事があります。本来はワイン醸造に用いないコンコード種
    からのワイン造りと糖度の低い可食用のブドウからのワイン
    造りです。それに道内のどのメーカーもテクニカルデータを
    公表していないために、大まかでもワインの全体像が解り難
    くなっている事です。土壌解析、殺菌剤と農薬の実施理由と
    使用量、単位面積の収量と搾汁率、発酵過程での補糖と製品
    段階での補酸の有無や率など、原産地呼称の概念の無い地域
    でのワイン造りは基準がないために、裁量を造り手に任せて
    いるが現状です。より多くの手間をかけた美味しいワインな
    のか、大量生産される日常を楽しんで欲しい美味しいワイン
    なのかを、テクニカルな部分からある程度の内容を把握する
    事が出来ます。しかし、能力不足の私には判断をしかねる部
    分があると、その良さを見出せずに曖昧になり本質を見誤っ
    てしまう事があります。必ずしも、コストパフォーマンスの
    事ばかりを最優先に考えてはいません。それは、ワインの裏
    側にある造り手の思い入れに価値観を見出す人を無視する事
    が出来ないからです。それに、内容の優先順位や重要度は人
    其々違うのだから、枠にはめて画一的に考える事は出来ない
    と思っているからです。
    心の中に不満な事を沢山抱えながら、造っちゃいましたワイ
    ンを以下は箇条書きにします。
    地理的条件   *北海道とイタリア中部は共に北緯43度。
            但し、地中海気候と温帯気候の違いあり。
            *北海道は梅雨の影響がほとんど無い。
            但し、降雪の影響で気温上昇が遅い。
    ブドウ     *山葡萄には凍害の心配が要らない。
            *土壌が酸性、しかし、朝鮮山葡萄に由来
            する山葡萄はワイン用ブドウの仲間である。
            *記憶にあるバルベーラ種の味はとにかく
            酸っぱい、山葡萄でもいけそうな気がする。
            *過去に持ちこまれた山葡萄ワインは補糖
            はしてあるが、果皮に付着している自然
            酵母でワインなっている。
            *ワインのテクニカルシートを長年見て
            いると自分でも出来るような気がしてきた。
            *オーガニック、テロワールの表現、これ
            を酸性土壌に適合した山葡萄がすべての
            条件をクリアしていると勝手に解釈。
            *酸が強いため、酸化防止剤が不要と思う。
            と、なればビオディナミをおこなえる。
            
    「ワイン工房さっぽろ」有限会社マイクロワイナリー桜の
    原田博文さんには、場所の提供と醸造のお手伝いを頂き感謝
    をしています。製造のための免許や酒税をクリアーしなけれ
    ば、たとえ試験的であってもワインは造れないが。氏の快い
    理解で不法行為を選択せずに済みました。それとT氏(名前
    の公表に了解を得ていない。)には、ワイン造りの過去の
    問題点や注意しなければならない事をご指導頂き、とても
    感謝しております。詳細は次回へ

2007年1月17日、雪がなかなか積もらない。
  • 今年の冬は一月も中旬にも関わらず、積雪がほとんどありま
    せん。今のところは楽なのですが。帳尻を合わせるように忘
    れた頃にやって来るドカ雪が心配でもあります。
    タバコに関して喫煙の環境は年々厳しくなっていると思って
    いたのですが。去年に出されたワインに力を入れているお店
    を紹介しているガイドブック(当店の掲載はなし)には喫煙
    の有無の項目があり、禁煙と書かれている店は片手で数え
    られる程しかありませんでした。ここ札幌ではタバコとワイン
    がリンクしているらしく、とても残念な気持ちにさせられま
    した。もしも、料理やワインを楽しんでいる最中に、隣の席
    に、タバコのヤニの衣を着た人と全身の毛穴からニンニク臭
    を放つ人に、挟まれたとします。その状況を最悪と感じるの
    は私だけでしょうか。
    移転に伴いガスが天然ガスからプロパンガスに変更になり、
    その事が、コーヒー豆の焙煎を変えました。料理ならば道具
    の違い、煮炊きの違いで、食材の料理方法を最適に用いれば
    よいが。熱源の性格が及ぼす料理への影響が、ここまで変化
    する料理を今まで経験した事がなく。今でも思考錯誤の繰り
    返しは続いています。現在、取り組んでいる課題は、今はあ
    まり感じられなくなった酸の後口を穏やかに残す事です。
  • 外来品種に対してのアレルギーは相当消えているのですが。
    特に、ピノ ネロ(ピノ ノアール)への思いはかなり消えた
    とはいえ、忘れがたい思いもあります。歴史的な背景を考え
    ると、北イタリアにおいてハフスブルグ家やフランスと政治的、
    文化的に接点の在る、これら地域のピノ ネロを地場品種で
    あると考えても差し支えがないと考えています。このヴァッレ
    ダオスタ州やアルト アディージェ州、ロンバルディア州の
    オルトレポ パヴェーゼ地区は、その歴史の長さをこじつける
    訳ではないが。自然な存在として、ここに在ってもよいブドウ
    品種であると思っています。
    ピノ ネロのワインを面白がって増やしていた時期もありま
    したが。ここ3年ほどの間、イタリアワインに今までとは、
    違った側面に出会う事がしばしばありました。それまでの
    無い物ねだりをするように穴埋めをしていた見方は、ワイン
    の再認識や再発見に出会うたびに、多用な価値観を共有す
    る事が大事であり。幻想のように抱いている唯一な存在は、
    感情のコントロールを阻害している好ましからぬ行為だと思
    うようになったからです。とにかく、心と体がワインと共鳴を
    する、昂ぶる感情を押さえきれなくなるほどに楽しい事を
    素直に受け入れる事が大事であると思っています。このよう
    な理由でピノ ネロから造られるワインは生産地の絞込みを
    して、ラインナップを変えました。
    最近、抜栓したワインに、いい意味での期待はずれをさせら
    れたのが、サン グレゴーリオ社のタウラージ1997です。
    それは醸造方法が変更された直後の過渡期にあるワインで
    あると記憶をしていたのだが、当初予想していた味わいより
    酸が思ったより円熟していた事と果実味のバランスがよくな
    っていたからです。それともう一つの、モンテプルチアーノ
    ダブルッツォ “ヴィッラ ジェンマ” 1997はリリースされた
    当時の強いタンニンと酸は物足りないくらいに穏やかに感
    じられました。その他の、南イタリアのワインにも同じ事を
    感じるのは、その柔らかさの表現力にあると思っています。
    必ずしも、柔らかさは繊細からのみ生まれるではなく、強く
    大きいからも生じる事を教えられるような気がします。

12月18日、馬がリストラされる。
  • 私は賭け事の競馬に興味は無いが、ばんえい競馬(馬がソリ
    を引いて競う)が赤字のために廃止になるようである。地方
    の娯楽文化が地域の支持を失い、消えかけています。人間と
    馬の関わり、その歴史の一端を未来につなげて行く事を断ち
    切られようとしています。北海道遺産に登録されながら、
    その文化を伝える役目を終えようとしているばんえい競馬。
    ばん馬の気持ちを理解する事は出来ないが。馬体とほぼ同じ
    重さ(1トン)のソリを引く、その事だけに人間に従順で心を
    許している。人間の仕事を助け、収穫の喜びを天に感謝する
    お祭りの晴れ舞台を我先に駆けぬける。一番になったばん馬
    に、人々は拍手喝さいを送る、それにばん馬は無為の喜びを
    感じているのではないかと思っています。
    先人の思いは、ただ我を忘れるだけに集まるドンチャン騒ぎ
    のパレードにかき消され、忘れ去られる。「面白い、可笑しい」
    というただ単純な事に、いつも新鮮な驚きを感じたい、と思
    っています。それにしても札幌にも、その昔に馬車があり、
    春先の馬糞風が風物詩になっていた事を思い出されました。
  • 単純な事への驚きといえば、「一つ怯えのようにフルボデイの
    ワイン」より構成のしっかりしたミディアムボデイやライト
    ボデイのワインをきちっと評価し飲むべき、と最近は思って
    います。ミディアムやライトボデイのワインが最上では無い
    かもしれないが、香りや味わいの構成要素、その上下左右の
    中間を結んでいる部分がしっかりしていれば、ボデイの事を
    問題にしてはいけないと思っています。それより、価格と
    味わい(香りも含め)のバランスのよさを感じる事が大切で
    あり、ことさらに優越を競うべきではないと考えています。
    ミディアム、そしてライトボデイの良さは果実味の華やかさ
    とおっとりした酸に、良さを見出す事が出来ると思っていま
    す。特にイタリアは辛口の赤ワインが多く、バルドリーノ、
    ランブルスコ、スキアーヴァなどライトボデイを楽しむ事が
    出来るワインであると思っています。
  • 最近、出会えたH.Pにはドルチェットなど普段取り上げても
    らえないワイン、それも低価格なワインを含めて、あれこれ
    コメントが書き込まれいます。華やかな部分だけを取り上げ
    夢を見るのもいいが、現実の部分を見極めたワインの取り組
    みは好感が持てると同時に、その環境に羨ましい思いも抱か
    せます。なにより、イタリアワインを語り明かせる仲間が
    いる事、深夜に及ぶ試飲会に参加できる体力に嫉妬のような
    ものを感じます。
    今、買い置きをして胸をなで下ろしているのがボローリ社の
    バローロ ヴィッレーロ(BAROLO VILLERO)です。単一畑
    でカステリョーネ ファッレットとバローロ地区の中間的な
    性格が気に入り、買い置きをしていたのだが。これが何時ま
    でたっても舌に張り付く細かなタンニンが柔らかくならない。
    しかし、先月末に開けた98がようやくタンニンがこなれて
    いました。そして、現れた酸は見事にバランスよく円熟し、
    グミのような弾力を感じました。予想以上に時間を置かなけ
    ればいけないワインであったが。リストにあるコメントを
    修正する必要がなかった事に、とても気をよくしています。

11月17日、ネズミと目が。
  • 先日アンティノリ社の試飲会があり、ぷらぷらと歩いて会場
    まで行く途中の出来事である。鴨かも川に架かる橋の袂に、
    何やら動く物が視界に入ってきた。よく見るとネズミの尻尾
    である。岩陰を伝って行ってしまったと思いきや、引き返し
    て来た。どういう訳か知らないが私の前で急に立ち止まり、
    私を見上げるネズミと橋の欄干越しに目と目が合ってしまう。
    数秒間まじまじと見詰め合う一人と一匹、数秒後橋脚の下に
    消えて行ったが。初めて体験する空間と時間の不思議な間合
    いに言葉が詰まる。そして、また会場に向かい歩き始めると、
    不意にねずみの顔を思い起こす、雨垂れ型の目と丸い鼻が
    2つの感嘆符に見えてくる。その可笑しさが、たまらなく気持
    ちを楽しい思いにさせてくれました。
    さて、アンティノリ社のワインはボトムからフラグシップまで
    味わいに首尾一貫した姿勢を感じさせます。調和があり、
    バランスがいい、なによりも印象が美しい。これ以上あえて
    私がコメントをするまでもない。さすがにイタリア屈指の歴史
    と生産本数の会社である。
    ソライアを試飲しながら、ふと思い返したのがパレオである。
    カベルネ フラン100%で造られるこのワインは、ソライア
    とはブドウ品種の構成も違えば、畑の環境もまったく違う
    キアンティ クラッシコの北部(サン カッシャーノ イン ヴァル
    ディ ペーザ[記憶違いかもしれない])とボルゲリ。しかし、
    完成度の高いワインに共通する調和とバランスは同じレベル
    (価格はかなり開きがある)であると考えています。ソライア
    は持って生まれた身に染み込んだ上品さと優雅さをことなげ
    に振りまいている、その一方のパレオは思い詰めたように
    色々な要素を積み上げて一つのワインを完成させたような違
    いを感じます。どちらも美しいワインであり、必ずしも対極
    にあるワインとは考えていません。
    この2つのワインの美味しさを多少は感じ取れても、しかし、
    この非日常的な価格そして、この美しさを愛でる造詣の深さ
    を受け入れる力量を試されるとチョット辛い。もしも、願いが
    叶えられるのであれば、毎日こうゆうワインで酩酊したい。
    そう思うタダの酔っ払いでもあります。
    妻の乗っているR33も故障もなく16万キロを超えています。
    今まで欲しいと思う車が無かった事、不具合が無かった理由
    で買い替えを考えてもいなかったのですが。2年前に夏タイヤ
    のセンター キャップが無くなり、車体の所々に錆の浮が目立
    ち始めた時である。モーターショウのパンフレットに出ていた
    GT-Rコンセプトを見つけた妻は俄然買う気になる。R34の
    GT-Rの価格ならば何とか手が届きそうな気配であったが。
    プロトが発表させると予想価格は総額1000万円にも関わ
    らず目標はGT-R!そうなると気が大きくなり外車も範疇に
    なる。アルファーロメオのブレラ、アウディーのTTを見に
    行くが、条件は四輪駆動車で2ペダルのクーペタイプ。今の
    ところ条件に合うのはTTなのだが、ブレラに右ハンドルと
    2ペダルがあれば、GTにこの設定があればと脹らむ妄想。
    それにしても「アルファーロメオはいいな」と思いつつも、
    今月の20日に発表されるV36が待ちどうしい、その後、
    表われるクーペに期待をしているからである。それにしても、
    GT-Rは無理であろうが新車が出てくるのは、何歳になって
    もワクワクするものである。

10月18日、胃にこたえるソフト クリーム。
  • 日曜日のこと、ぶらりとドライブの途中に郊外のあるアイス
    クリーム屋さんでソフトクリームを買うために車を寄せる。
    以前にも何度か食べた事があり、印象が良いお店だったので
    躊躇せずに買うと。これがポストミックスのソフトクリーム、
    しかし、お店の入り口に置かれている看板には「近所の新鮮
    な牛乳を使用したアイスクリーム」と書かれてある。ソフト
    クリームとは書かれていないが、納得しがたい思いだけが
    残りました。ポストミックスから作られる、ソフトクリームは
    添加剤の関係で喉が乾きます。胃腸の弱い私は食べた後に、
    胃がしばらくグズグズの状態が続く。不快。
    気の滅入る話からワインの話題へ行きます。先月の試飲会で
    印象的だったのが。まず、ファルネーゼ社のトレッビアーノ
    ダブルッツォは1000円強の価格でありながら、果実味の
    しっかりした構成とおっとりした酸に価格以上の魅力を感じ
    ました。担当者に聞くと「設備の更新の際に、処理する事が
    出来ないブドウの劣化を防ぐために冷凍施設に一時的に保管
    し醸造をする方法に改めた。」と返事が返ってくる。完熟を待
    っての収穫は後がなく、追われる作業に対処するための設備
    投資を増やすより、全体の作業効率のバランスを考えての
    決断は正しい事だと思います。安価で質の向上も求めていく、
    なんとすばらしい。そして、期待はバリックでの熟成を視野
    に入れる事です。トレッビアーノは構造をしっかり作る事で
    樽に由来するタンニンと調和する事は、マシャレリのワイン
    造りを見れば一目瞭然であると思っているからです。必ずし
    も白ワインに赤ワインを装って欲しいのではなく、ボデイが
    厚くしっかりした白ワインがあれば、日本酒との飲み比べも
    お遊びとして面白いかなと思い浮かんだからです。
    数年前より年1回の講習会を開いているサン グレゴリオ社。
    社長の熱弁は留まる所を知らないほどに気合の入ったワイン
    の説明に、リーディングカンパニーとしての意気込みを何時
    も感じさせられます。しかし、今回は到着が遅かったので
    試飲だけに参加しました。私の印象はここ数年、毎年のよう
    に変化しているように感じられる事です。白ワインはグレコ、
    フィアーノ、ファランギーナは其々のキャラクターが明確に
    分けられています。ワインのラインナップも松竹梅に並と、
    評価本のハイスコアを狙ったフラグシップと水を漏らさぬ
    鉄壁の構成をしています。全体を見てもはずれのないワイン
    だと思っています。
    なによりもタウラージの変化は眼を見張る物があります。
    90年代半ばに栗からフレンチ オークの樽に切替えた時は
    個性的なイガライようなタンニンが消え、リリースされる毎
    に、果実味が完熟しきった猛烈な香りと味わいから砂糖菓子
    や完熟したに変化し、ニュアンスの輪郭がすっきりしたよう
    に思えます。それにしたがい、味わいの骨格が変わるなかで、
    酸はあまり変化していないような気がします。しかしながら、酸
    以外が変わった事で、酸の本来の良さが引き立ったように思
    えます。とにかく、バランスが良くなるときれいに感じる。
    そして、酩酊していく様が実に心地よい。ついでに来年には、
    タウラージ"セルヴァ ディ ルオーティ"がブドウの収穫年
    より10年目を迎えます。来秋が楽しみな1本です。

10月2日、コメントを変更しました。
  • 白ワインとスプマンテはすべてのコメントを書き換えました。
    赤ワインは加筆修正をその都度行っていたのですが。この度
    店のワインリストを大幅に改定する事になり、それに合わせ
    白ワインのコメント欄に文字数の制限が無くなり、すべての
    文章を乗せる事が出来るようになったためです。
    当店のワインの抜栓価格は、ワインショップへのメーカーが
    希望する小売価格に、プラス1000円でプライスタグが付
    けられているワインと2年以上のエイジングが必要なワイン
    は1.7倍プライスが付けられた2種類が混在していました。
    今回は、この2つの抜栓価格のリストを明確にするために、
    プラス1000円のリストを新たに作り。合わせてボデイ、
    飲み口、酸がリッチ系なのかエレガント系なのかを書き加え
    てあります。
    参考になれば嬉しいのですが。

9月19日、トウモロコシの話。
  • トウモロコシは子供の頃から、おやつのように食べていた
    身近な野菜。鮮度の落ちやすいスイートコーンから味落ちの
    緩やかなハニーバンタムが登場すると、市場には速いテンポ
    で次々に新品種が出てくる。この事は歯触りが柔らかく食味
    が悪くなり難い品種をマーケットが要求していると思われる。
    それに最近の品種は茹でる時間が5分くらいと従来の12分
    から大幅に短くなっているのが特徴のようです。
    除草剤や農薬に耐性のある遺伝子組換え作物(GM作物)に、
    在来種と共生できないブラックバスなどの厄介な外来生物。
    ファーストライフな形態にも関わらず、うわべだけのスロー
    フードな生活に、なかなかブームにならないロハスな生活。
    生産性の向上と情緒、勝ち組みと惻隠の情。刺激と快楽、
    そこから生まれる更なる刺激と快楽の連鎖。こんな事がふと
    思い浮かんで来ました。収穫の喜び、成しえた時の達成感や
    充実感、こうゆう感覚が大事だと思うのだが。
    なにやら、トウモロコシに求められている事を考えていると
    GM作物に行き着き。ふと目に入ってくる神社の秋祭りの賑
    わいを横目で見ながら考える事は。除草剤や農薬をたくさん
    散布して、手抜きをした農作業から得られる収穫にどんな
    喜びがあるのか考えさせられ。魚、野菜、肉など材料から
    組み立てられた料理と冷凍やレトルトされた料理がどこかで
    一緒にされている事が頭の中を過って行く。食べる事、そし
    てそれを作る事、この事を思案している最中にもカーラジオ
    から耳に流れてくる美味しい鮭の情報は。アナウンサーが
    レポート風にコメンテーターのような口ぶりで、この会社の
    鮭が美味しい理由をたっぷりな情感を込めた解説をしている
    のだが。その声音は、心ここに在らずにしか感じられない、
    原稿を綺麗に読み上げているだけのような感じがしました。
    本質は自ら見極めないと行けない、大地にしっかりと足を着
    けて、情緒のない刺激だけには振り回されたくはないと思い
    ました。
    モトックス社の展示会が8月末あり。数点チェックをしたい
    ワインが在ったので試飲のため出かける。イタリア以外にも、
    3千円位までの手頃な価格帯に美味しいワインが数多くあり、
    価格と品質のバランスのよさが感じられた。これからも流行
    に左右される事のなく美しいワインをより多く輸入して欲し
    いと思いました。それにしても最初の一瞬に美味しいと思わ
    せる造りの巧妙なワインが最近多いような気がする。ブスな
    ワインも化粧しだいで、何とかなるが。ゲスな性格のワイン
    はその本質を隠しきれずに、直ぐに正体がばれる。濃い甘い
    パワフルだけで無表情なワイン。美味しさの視点は人其々で
    よいのだが。濃い甘いパワフルだけのワインを私はどうして
    も好きになれない。
    この展示会に同行して商品の説明をしていたエージェントの
    人達へイタリアワインの質問をする。イタリアワインへの
    情熱が伝わってくる、その話の内容から流行で売れるワイン
    を積極的に扱うのではなく、コンセプトに基づいたセレクト
    をしている事に気付かされる。このような人達が居てくれる
    という事は、この先まっとうなイタリアワインを手にする事
    が出来る。私には嬉しく、そして、頼もしく感じました。

8月18日、美味しいリースリング。
  • リースリングのワインは国に関係なく、あれば口にするよ
    うにしている中で、1本をじっくりと味わいと思わせたのが
    マルセール ダイスのリースリング "サン イボット"です。
    某社の展示会の案内にダイス社のワインが出展リストにあっ
    たので"サン イボット"を中心に試飲するために出かける。
    他の6種類も美味いと思わせるワインであったが。リースリ
    ングの美味しさを知りたく、あれこれと味わっている最中で
    もあり、舌が釘漬けにされるような美味さを感じさせてくれ
    ました。しかし、札幌に在庫がなく、無理を言って1本納入
    させる確約を取り付け、ようやく手元に取り寄せる事が出来
    ました。
    蝋蜜、火打石、ネロリ油と甘夏柑の上品な香り。鮮やかな酸
    と砂糖漬けの梅干、ミネラルの味わいはグミのようなふくよ
    かさがあります。フランスのグランクリュー級の白ワインを
    味わった記憶がないので比較は出来ませんが。奥行きが深く
    噛み締める事が出来るような味わいに、キリリとした骨格は
    別格な印象を感じました。これからも、サン イボットに対峙
    が出来るようなイタリアのリースリングに巡り会える日を楽
    しみに捜し続ける事にします。
     1ヶ月ほど前になりますが。ビービー クラーツ社のカーザ
    マッタが某コミック誌に題材として取り上げられていました。
    以前に、このワインをオン リストする時に、頭を悩まされた
    のが、同じような価格帯のフォルムレの存在です。対象的な
    存在として位置付けリストアップした経緯を思い返し、この
    価格帯のワインでも現代の醸造技術を駆使する事で、ここま
    で濃いワインが出来る一例のつもりでした。必ずしも好感を
    持って採用したのではないのですが。美味しいと思う単純な
    気持ちを大事にすべきだと考えたからです。甘さを感じる
    濃いワインが最近の売れ筋である事は、お茶の飲料水の
    コマーシャルに「苦いコイより、甘いコイ。」のキャッチ
    コピーから見て取れるような気がします。
     今月、追加をしたワインに、カラブリア州でガリオッポ種
    から造られる"ドゥーカ サンフェリーチェ" チロ ロッソ
    リゼルヴァがあります。このワインは長い輸入の実績があり
    幾度か味わう機会がありながら、その良さを理解する事が
    出来なかったワインの一つです。リブランディ社の2回目の
    講習会でようやく、素直な果実味と酸味、穏やかなタンニン
    に直線的な伸びのある香りに、その良さがある事に気付か
    されました。講習会の説明では、このワインは熟成の過程に
    木樽からのニュアンスがブドウ本来の表現を妨げてしまう。
    だから、ステンレス タンクやコンクリート タンクでの熟成
    に向いている品種であり。色々な方法をトライした結果は
    ステンレス タンクの熟成が一番満足のいく結果を得られた。
    このアナウンスに私の頭の中は急に点と点が結びつき線に
    なり、面が出来上がり、そこでようやく美味しいと言う結論が
    導き出された次第です。
    1990年代の、このワインの記憶は欠片すら残っていませ
    んが。南イタリアのブドウの底力はワインに姿を変えた時の
    表情から垣間見え、自然な感じでその力強さが表現されるか
    らです。現実にはブドウの表現力はワインを造る人達により、
    その方向性が決められる。だから、素直な気持ちでブドウの
    声を聞く事の大切さと時代に流されない信念を、ワインを
    通して感じさせてくる嬉しさは、替え難い感じがします。
    そして、他社のチロを調べると一部に樽での熟成をしている
    ワイナリーがあるので、チャンスがあれば味わってみたいと
    思っています。

7月16日、敗軍の将、兵を語らず。
  • サッカー ワールドカップ ドイツ大会は日本が決勝に進めな
    っかただけに残念な気持ちはあるが、イタリアワインに関わ
    った仕事柄、イタリアが優勝した事で、もやっとした気分が
    どこかへ飛んで行ったような気にさせられます。
    中田選手の引退は個人的な事にしても、日本のサッカーに
    関わりを持ってくれる事を期待すると同時に、日本のサッカー
    が未来につながる結果を出し続ける事を願わずにはいられま
    せん。
    それにしても、決勝への進出が出来なかった後に、読売新聞
    には「日本人、一番戦っていない」(日本人2審判、代表を
    辛口批判)と書かれたコラムを見つける。文章は一方的に
    非難をしたのではなく、叱咤激励をした内容になっていまし
    た。そして、ジーコ前監督の最後の会見にはがっかりさせら
    れる思いがしました。「敗軍の将、兵を語らず」と言うことわ
    ざがあります。やはり、選手の個人技が試合を左右しても、
    結果として「勝利」は指導者の能力が重要な鍵を握っている
    のかな?   ニッポン、チャチャチャで次回を楽しみに。
    最近、ワインへの心境の変化は、カベルネ、メルローに段々
    と抵抗感が薄れつつある事です。店を再開するまでの7年間、
    時間が止まったままの頭の中はオープンすると同時に、まる
    で浦島 太郎が玉手箱を開けた状態で、あらゆる事があっと
    いう間に変化しました。
    私は80年代の激しく変化していたワイン事情を目先の事で
    あると決め付け、変化に対応をせずにいたのですが。ふと我
    を見ると取り残されている事に気づかされ、あたふたと頭の
    中の書き換えに舌のリニューアルをしていましたが。最近に
    なって、ようやく少し余裕が生まれスーパー トスカーナや
    ハプスブルグ家の影響下で造られたワインを冷静に味わえる
    環境が少しづつ現れ。美味いものは美味いと素直に心境の
    変化を受け入れています。
    その中でつい先日に、スペインワインの展示会があったので
    覗きに行きました。イタリアワインにも同じように感じる事
    があるのですが。一部の赤ワインに色が濃くて甘味がある。
    しかし、充分な果実味があるのに骨格が貧弱に思える事です。
    背景が同じで顔が違う、本来であれば環境が違えば、個性の
    同じようなワインはあり得ないと考えているからです。売り場
    での数量が見こめる、売れ筋の価格帯のワインに、この傾
    向があるような気がします。これにちょっと関連した事で、
    ある番組の中でレポーターが白ワインをコメントした一部に
    「渋くないですね!」としていたのには、どうもにも違和感
    がありました。ワインはタンニンと酸を味の基本に考えるか、
    甘く感じるような果実味を重要視をするのかは、どちらでも
    よいのだが。へそ曲がりな私は、色も味も薄いとても下品な
    赤ワインを冷やして飲みたくなりました。
    料理人を紹介したテレビ番組で魚が食べた餌からインスピレ
    ーションを得て料理が始まるというのがあった。平目は艶々
    してヌメリがない(生け〆や活〆ではないはず)、鱗が引かれ
    ていない(平目の鱗は小さく深く重なっているので尾から頭
    に向かい、包丁で鱗を皮から切り剥がしていく)、魚の胃の
    内容物は臭いはずである。他にも私が教わった魚の扱いとは、
    随分と違う作業が見受けられ。新鋭の料理人というのは技術
    やメンタリティーが昔と違いとても斬新な仕事をするのに驚
    かされました。私に魚の選び方や扱いを教えてくれた人達は、
    今は身近にいないので確認をする事は出来ないので、何とも
    言えないが。和食の職人さんにどのように映ったのか気にな
    ります。

6月16日、アマローネが決まらない。
  • テデスキー社のアマローネ2001年ビンテージのストック
    を考えていたのですが。輸入業者が3年前に変わり、それに
    伴う流通の経路と対応が変化した事、そして、ユーロ安の
    ために価格が上がった事などがあり、思うように私の考えて
    いる納入価格に成らずにいます。
    同時に他のアマローネを試飲はしています。しかし、果実味
    だけが目立ち、酸の綺麗さがなく、気に入ったアマローネが
    見つかりません。八方手を尽くし納入業者に価格の折衝を
    続けているのですが。希望小売価格プラス1,000円に合う
    納入価格の条件を満たしてくれる納入業者が現れない、この
    ような現状が続いています。
    その中にあって、5年前から事あるごとにチェックをしてい
    たサンティ社と最近知ったサンタントニオ社は満足のできる
    レベルなのですが。5,000円以内の抜栓価格を希望してい
    るので、直ちに切り替える事が出来ないでいます。色々と
    思案しながら、私の意図を理解してくれる納入業者を見つけ
    出そうとしているのですが見つからずに、手を変え品を変え
    ての卸価格の問い合わせは輸入業者の担当者から「しつこい」
    と言われそうです。しかし、テデスキーのアマローネは価格
    と品質のバランスを品質が上回るワインであると思っている
    のでグズグズと変えられずにいます。
    既存で機能していた今までの流通を直ちに、変更させられな
    い事は理解をしているが。飲食店への対応を変えなければ、
    販路の拡大は出来ないのではと思われます。わずかな期待で
    はありますが。テデスキー社のワインの輸入に関わっている
    上層部の人が、このページに目が触れる事があるならば、
    是非にして頂きたい事があります。それは業務店を主に扱っ
    ている業者を参考にしてください。よろしくお願いします。
  • 価格が手頃なボルゲリのワインを見つけました。スマイル社
    扱いの “ カンポ アル マーレ (Campo al Mare)” です。
    葡萄品種の構成はメルロー60%、カベルネ ソーヴィニヨン
    20%、カベルネ フラン20%を熟成はフレンチオーク樽で
    12ヶ月間のワインです。予想される小売価格は3,500円、
    この価格帯でセカンドクラスまでとは言いがたいが、サード
    クラスよりかなり上等であると思っています。
    リコリスを含まないクローブ、シナモンの甘い香辛料の香り、
    コショウなどの清涼感のある香辛料の香りとクランベリーな
    どの森の果実、作られたような感じはするが干しブドウの香
    りは圧倒するような深い印象はなく、ありがちなスモーキー
    な香りやビターな香りを強く感じないために、印象が素直で
    好感が持てます。酸とタンニンは柔らかく、2週間ほどの
    コンディショニングで落着いてくれます。直ぐに飲めるし、
    将来性もチョットだけ感じられ、多めに買い置きをして楽し
    もうかなと思っています。

5月17日、※、それは*では?
  •  日曜日の夕方にカーラジオから聞こえてくる麺を食べる音、
    この音というのは表現の方法が実に難しい事だなと思われた。
    このコマーシャルをプロデュースした人にとって、麺を食べ
    る時の美味しい音がこの音なのだろうが。私には、この類の
    音がどうしてもなじめない。
     いずれにしても、音のニュアンスはビューティフルノイズ
    になるか聞くに耐えない不快感を与えるかは、紙一重に思え
    ます。オープン キッチンの当店もその事には注意をしなけれ
    ばいけないと、そう思いました。
     次もラジオの番組に関することである。土曜日のお昼時の
    番組、そのコーナーの中で紹介されていた酪農家がつくる
    モッツァレッラ チーズについて、そこでは水牛の牛乳から
    一貫して製造している。さらに、循環型農業や環境に優しい
    農業を実行している。すばらしい考え方と、本物志向の取り
    組みをしている会社である事がわかる。
     しかし、その説明の中で牛乳から作られるモッツァレッラ
    をヴァッカ(Vacca)といい、このヴァッカは「まがい物」とい
    う意味であるといった。う〜ん、困った。北ヨーロッパから
    輸入され、シュゼット(細く短くカットされ非常に水分の
    少ない、安価で扱いが容易)されたミックス チーズを対象に
    するならば理解をするが、D.Jヤマヒツジさんの「ヴァッカ
    というのは馬鹿と言う意味ですか?」のツッコミも虚しく聞
    こえヤレヤレとの思いです。何かの覚え違いだろうと思うが、
    ヴァッカ=まがい物が広まらない事を祈るだけです。
     誤解のないように解説をしておきます。このヴァッカは
    雌牛という意味です。ですから原料乳が乳用牛ならヴァッカ、
    水牛ならブファラ(Bufala)の表示がしてあります。また、
    モッツァレッラとだけ表示してあるものは、ほぼ牛乳です。
    モッツァレッラ(Mozzarella)はMozzare(引きちぎる、切り
    取るの意味の動詞)に由来しています。チーズを作る最後の
    形成の段階でムニュと掌から押し出されるように、丸く分割
    されて行く様からきています。
     イタリアに限らずE.U 内でのD.O.P(原産地呼称)の規制
    は厳格です。農産物は産出される地域の規定や規格、さらに、
    加工食品は原材料の規制があります。農産品、そして加工品
    の名称に関するルールを知っていれば惑わされる事はないの
    だが。どうも日本ではまだまだD.O.Pの意識が低く、相変わ
    らずスパークリング ワインはシャンパンが用いられ、白カビ
    のチーズはカーマンベールで売られている。これらは、商標
    登録された商品名のような物であり、本来は勝手に使用して
    はいけないはずである。
     道内で良く見かけるモッツァレッラもより水分の少ない
    スカモルツァとの区別を曖昧にしている。この事は日保ちを
    少しでも長くするための苦肉の策であるのは仕方ないとして。
    ピッツァのように火を通した時にはモッツァレッラはシャキ
    シャキと歯切れがよく、スカモルッツァは伸びの良い仕上が
    りになります。安価に売られているピザ用のチーズはさらに
    伸びが良く、この事を知っていれば良いと思います。
     イチャモン コーナー パート2。これも毎週日曜日のお昼
    時ラジオの中で、問い合わせの手順の方法を説明する時に。
    電話番号の後に、コメ〇〇〇〇にプッシュをしてください。
    このアナウンスに、妻と2人で、「はぁ〜」の一言、受話器の
    表示の中にコメ印(※)てあったっけ、ホシ印(*)の間違いでは
    ないの。揚足を取るつもりは毛頭ないが。何かを伝えるため
    に言葉なり文字がある。しかし、あやふやなイメージだけで
    説明が伝わる事は、言葉が持っている本来の力をどうにでも
    よい事にしているのではないでしょうか。私が考えるに文字
    や言葉は時代や地域の中で生まれ、そして流れていき変化し
    ていく、その遍歴とそれを背景にした情緒を無にする事は
    いけないと思う。私も反省しなければいけない事ではあるが、
    記号に至っては何気に使っていて、正しい意味を理解して
    いない事に気づかされる。と言いながら、最近はあれ、これ、
    それが増える傾向にある、言葉を超越した自分がいる。
     料理を食べる人、それを作る人とサービスをする人、その
    間でキャッチボールされる料理、そして皿の上に込められた
    無言のメッセージを感じる心。料理を作ることの楽しさは知
    っていても、ワインが美味しい事は解っていても、他に何か
    を伝える事は難しい事である。

4月15日、モンテプルチアーノ種のワイン。
  •  先月、ウマニ ロンキ社のワインの講習会があり。内容は、
    従来のワインの補足説明と7月に新しくリリースされる、
    モンテプルチアーノ ダブルッツォ コッリーネ テラマーネ
    "モンティパガーノ"、このワインはアブルッツォ州で初の
    D.O.C.G規定のモンテプルチアーノ ダブルッツォで州北部
    のマルケ州との境に位置しているコッリーネ テラマーネ地
    区から産出されます。ブドウの品種はモンテプルチアーノで
    隣のマルケ州のロッソ コーネロと同じ品種になります。
     1990年中頃まではトスカーナのサンジョヴェーゼの影
    に隠れるように、印象の薄い低価格のワインが主流でしたが。
    日常飲まれるワインに高価格でも評価の高いワインが増える
    に従い全体のレベルが上がったように思えます。また、価格
    が上昇しない理由に土地の価格が上がっていない事もあるよ
    うです。評価が高くなるのは良いのだが、内容が変わらない
    のに価格だけが上がってしまう事は心もとない気がします。
    気軽な価格で高品質なワインが味わえる南イタリア、このま
    まの状態が長く続く事を願わずにはいられない気持ちです。
     このモンテプルチアーノ種はマルケ州とアブルッツォエ
    モリーゼ州の以外ではあまり良い結果がでない品種でもある
    ようです。ここ以外の産地を見渡しても補助的に少量を混醸
    されるくらいで主力の品種ではなく、特にアブルッツォを広く
    見渡すと、熟成用の樽の大小や材質、醸造技術の発達に伴
    うそれぞれの考え方が結果として良い方向に進んでいるよう
    な気がします。この品種は濃くボデイのしっかりしたワイン
    に仕上げようとすると、南イタリア ワインに在りがちな構造
    だけが大きい、厳ついだけの輪郭のはっきりしない寝ぼけた
    香りと味わいになるのだが。1990年代の後半からロッソ
    コーネロならば海岸に近くなだらかな斜面から由来する、と
    ても穏やかな酸と柔らかなタンニンを特徴として感じられ。
    モンテプルチアーノ ダブルッツォならば海岸近くの丘陵地帯
    から内陸の山間部に至る、標高差や畑にもたらされる特徴
    的な条件が、心地よい酸と表現が豊かで嫌味の無いタンニン
    を基に細部のディテールに作り手の思いが感じられ、また
    其々のワインに土地の個性が与えられていると考えています。
     今まで、モンテプルチアーノ種とマルケ、アブルッツオ、
    モリーゼ州にある、各々の産地と品種から来るワインの特徴
    の微妙な関係を頭の中で整理できずに、品種の特徴から来
    るワインの印象を何気なく思い描いていただけであったが。こ
    こに来て、このあやふやで散らかった知識を刷新できました。
    しかし、課題が新たに二つ表われました。それは、モリーゼ
    とアブルッツオ州を一つの括りにして良いか否かと、マルケ
    州内の二つの産地、ロッソ コーネロとロッソ ピチェーノの
    関係です。サンジョヴェーゼ種を補助品種として混醸し続け
    るロッソ ピチェーノと1990年代中頃よりモンテプルチアーノ
    の単品に衣替えをしているロッソ コーネロです。

3月17日、心に迷いが。
  • ピノ ネロから造られるワインの在庫が少なくなり補充した
    いのだが、輸入がストップしていたり代理店が変わっていた
    りしているために入れ替えが思うように行かない。それに、
    この種のワインに段々と興味が無くなっている事も原因の
    一つでもあり、さらに、価格と品質がアンバランスに感じられ
    る事とブルゴーニュへの憧れが以前ほどの強いわだかまり
    から解けるように薄くなっている思いと。フランスワイン
    至上主義に対抗するかのように、イタリアワインの優位性を
    説いたところで、その先に見えてくるものがとても楽しい事
    だとは思えなくなっているからです。この頃、読んだ数冊の
    本の影響かもしれません。ワインへの興味と情熱、そして、
    ワインへの純粋な思いに変化はないのだが。年末年始より
    読んでいる、川頭義之著「イタリアワイン最強ガイド」、
    ワインガイド誌「ワインナート31号」から考えさせられる事、
    三島由紀夫の小説に出て来る膨大な漢字と描写力の細かな
    一言一句に。頭の中は出口の見えないスパイラルに巻きこ
    まれグルグルと目を回している状態です。人には様々に純粋
    だけではいけない思惑があり、そのための行為は辱める事で
    はないと思っているが。しかし、一生懸命に汗を掻く事を
    忘れては欲しくないとも思っています。
     今回のワインはモンテファルコ サグランティーノです。
    以前に、アルナルド カプライ社を扱っていたのだが。これが
    1995年ビンテージのためか、タンニンと酸がリリースさ
    れてから5年経っても柔らかくなってくれない。その次の
    コルペトローネ社のサグランティーノはリリース時に飲んで
    も問題はナシ、つい先日に1997ビンテージが抜栓され、
    お客様とご一緒させて頂いた感想は見事に果実味は洗練され、
    タンニンと酸は角が取れ若々しくハツラツとしていました。
    私の予想をはるかに越えた出来映えに思わずニンマリさせら
    れ、サグランティーノの熟成された味わいの一つの形を見せ
    られる思いでした。カプライのサグランティーノが最後まで
    馴染めなかった訳ではなく、つかみ所を未熟な私が理解をす
    る事が出来なかっただけで、今の頭の中には、いつでも導入
    をする体制が出来ています。もう一つは大樽で熟成された
    トリンチィ社のサグランティーノです。これも未熟な私が
    その良さを理解するまでに相当の時間をかかったワインです。
    サグランティーノの香りはドライ フルーツとフレッシュ
    フルーツの香り、スパイシーな香りのバランスによさがあり
    ます。そして、他のイタリアワインには無い個性だと思って
    います。乾燥した果実もフレッシュ感が無ければいけないと
    思っていますし、乾燥され水分が飛ばされていく過程が香り
    にその痕跡を感じさせなければいけないと考えています。
    スパイシーな香りとフルーティな香りの関係もお互いが確か
    な存在であるのではなく、スパイシーな香りの中にフルーテ
    ィさで在ったり、その逆も感じられなければいけないと思っ
    ています。これらは私が受けている大まかな香りの印象です。
    果実味は凝縮された味わいに骨格の豊かさを感じさせ、ゴツ
    ク大きいだけでスケール感のない構成でないところがいいと
    思っています。

2月18日、2冊のワインガイドブック。
  • 今回の「リアルワインガイド」第12号は、「ワインのREAL、
    新常識」。ワインの保存をテーマにいままでに検証した結果を
    お知らせするという内容です。ワインの取り扱いや保存に
    ついては、データーを蓄積して分析をする。それに基づいた
    解析は長い時間と根気を要する事であり、検証は客観的でな
    ければいけない。その事を始めて活字にしたのではないでし
    ょうか。しかしながら、ちょっとイチャモンを一言、最後の
    ところで「ワサビは欧米人にはわからない文化」とあるが、
    西洋ワサビ(ホースラディッシュ)「イタリア語ならRafano」
    と山ワサビは同品種である事を考えると、鼻にツンーとくる
    事では同じで、必ずしも日本人だけのものとは限らない。私
    は今までは、イタリアでラファーノを使った料理を食べた事は
    なく、イタリアでその物を食べ物と扱うか香辛料として使う
    のかは解りませんが。ローストビーフに添えられているのは
    ホースラディッシュであったと思います。それにしても、
    この本は参考資料として購入しました。
    もう一冊は、「ワインの基本」を特集にしたワインガイド本を
    内容も見ずにタイトル買いをしました。その中にフランスの
    土地が優れている理由として、いくつか書かれてある。その
    一つに、ローマ帝国時代の逸話として、紀元90年以降に
    経済が停滞する。その一つの元凶としてフランスのワインが
    イタリア半島のワインを圧迫するようになり、時の皇帝で
    あるドミティアヌス帝がフランス(ガリア)のブドウの引き
    抜きを命じた(実際には守られなっかたようだが。の注釈が
    付く)とある。ちょっと疑問に思い、書棚から塩野七生さん
    の「ローマ人の物語8」を取り出し、塩野七生さんがしらべ
    た資料を通して書かれた歴史小説に出てくるドミティアヌス
    帝の箇所を読み直すと、そこには、経済に関してならば、
    歴代の皇帝の中でも多いほうに分類されるほどインフラの
    整備と公共事業を行っていた事。兵士の給料を110年ぶり
    に値上げをした事。ライン川とドナウ川を結ぶ上流の地域に
    ゲルマニア防壁なる土木工事に着手し蛮族の進入を困難に
    した事。これらは、先々代のヴェスパシアヌス帝が息子の
    ティトゥスと共同で行った国勢調査によって可能になった、
    「税率は上げないが取るべきところから取る」式の税制が
    国税の増収につながたのだろうとあり。後世の国家財政に関
    してもドミティアヌスの後を継ぐネルヴァも、そしてすぐ後
    につづくトライアヌスも、税制に苦労をした形跡がない事が
    何よりの根拠のようだ。この歴史小説の中には経済が停滞す
    る事による不都合は書かれていない。しかし、元老院にはす
    こぶる不評な皇帝ではあったらしい。
    優等生のフランスワインは、そのラベルを見ればおおよそ
    内容がわかるものらしく、その一方にある不良のイタリア
    ワインはラベルを見ても、よく解らないらしく地雷原を歩く
    ようなスリルに魅力があり。そして、イタリアワインがなぜ
    敬遠されている理由までが書かれてあり、ちょっとショック
    であった。文章全体を読んで行くと誉めているのか腐して
    いるのか良くわからない内容になっている。それにしても、
    フランスワインが完全無比にして真理の到達点にあるような
    書き方は、それはそれでよい。チョイワルなイタリアワイン
    は鼻腔と口蓋を刺激しヴイヴイとうならし、喉と胃袋を熱く
    唸らせ、やがて全神経を官能の世界に埋め込んで行く。感じ
    るための感性、表現力、見たいと思う事を見たいと思う真理、
    夢はいつか叶う、そういえば、チョイワルオヤジも最近は
    聞かなくなったような気がする。バイナラby清六

2006年1月19日、飲んだくれの正月。
  • 正月休みにあれこれ飲んだワインの印象から。先ず最初は
    ラ スピネッタ社のピン(monferrato rosso PIN)97、最初の頃
    のコメントと比較するとカベルネソーヴィニヨンの存在を感
    じさせない構成になっていて、00以降のネッビオーロ65%
    とバルベーラ35%のセパージュになっている現在のワイン
    と比べても、その継続性が充分に感じられます。フルーティ
    な印象の名残の中にタンニンの存在感があり、まさにブドウ
    ジュースからワインに作り変える作業を畑の表現力と人の
    創造性の産物である事を垣間見る思いがします。イタリアの
    ワインは果実味と酸をより複雑にするために時間をかけての
    保管であって、タンニンと酸を慣れさせるために時間を費や
    すのではない事を新ためて確認させられました。そう言えば
    去年行われた。ラ スピネッタ社の講習会でリヴェッティ氏に
    「フラッグシップのワインは何ですか。」の質問に「君に沢山
    の子供がいたとして、一人一人の子供に対し好き嫌いは無い
    はず」の返答に、確かにその通りだと思った。愛情に隔たり
    があってはならないし、まして、望んで手に入れた一つ一つ
    の結晶はその個性を育てなければ結果は見えてこないはず。
    農夫は土地に根ざし、農作物と共に生きる。彼はその事に
    プラス付加価値をさらに付け加える。そこまで聞こえるよう
    な気がしました。そんな理由でピンのコメントは加筆修正を
    施しました。
    メリーニ社の"ラ セルヴァネッラ"キアンティ クラッシコ
    リゼルヴァ00このワインはガンベロ ロッソ(ワイン評価本)
    でトレ ビッキエーリを取得したワイン、ショップでの価格は
    3,000円以下だと思います。畑はラッダ イン キアンティ
    のエリアにあり、標高が高いために熟成が遅く、硬い酸の
    処理に工夫がいる所です。ここでサンジョヴェゼ種100%
    から、このような柔らかなタンニンと酸を造り出せるのは、
    やはり醸造の方法が進化しフレッシュ&フルーティの手頃な
    ワインから、その次にあるニュアンスの表現を窺い知る事だ
    と思います。つい先日の試飲会で同社のサンジョヴェーゼを
    主体にして造られる5点のワインは多少の収斂性を感じるが、
    コンディションを整える事で解消されると思われ、希望小売
    価格が1,400円から2,200円である事を考えると、
    ちょっと美味しいワインを手頃な価格で飲みたいという、
    ニーズに充分に応えられると思います。これはメリーニ社に
    限られた事ではなく、他社にも言える事で1,000円前後の
    ワインが近年、随分と様変わりしたような印象を受けます。
    この事は、一部のマニアのためにワインがあるのではなく、
    日常に飲んでもらう事を前提にラインナップを考えている
    表われであると思っています。
    年越しにかけての2日間は、スプマンテ(スパークリング
    ワイン)、フェルゲッティーナ社のフランチャコルタ サテン
    とフェッラーリ社のマキシアムブリュット。前者の00は
    期待を外したが、99は喉をなでて行くような泡、果実味の
    華やかさと酸の上品さが良かったので、それまでの、モンテ
    ロッサ社のサテンから切り替えたのだが。00は当初より99
    を彷彿とさせることなく、それぞれの胃袋に収まり、今回99
    を思い返して飲んでみると記憶の印象と同じ、むしろ36ヶ
    月間のエージングは全体のまとまりを良くしているような
    気がします。現在は99が1本、00が1本の在庫があり、
    残りは私のお楽しみにし、01のチェックをするところです。
    マキシアムは追加のアイテムと考えていたのですが。あえて
    増やす理由が見つからずに保留にしました。
    残念な事があります。それは、ほし野京うどんが閉店してい
    た事です。あの汁でうどん屋を開いていくのは難しい事なの
    か?。以前にも思いを書いた事があるが。安易に化学調味料
    やかつお風味の何とやらを使っている方が高い評価を受ける
    ご時世である。愚痴になるのでこれ以上は書かないが、何か
    やるせない気持ちが込み上げてきます。

12月20日、卵がけ御飯。
  • 巷で最近、卵かけ御飯が流行っているらしい。内容について
    はよく解っていないのだが、ともかく卵である。ノレソレや
    白魚を、卵黄とオリーブオイル会わせ掻き立てコロイド状の
    ソースにして乗せてオーブンで焼く料理をするのだが、立た
    ないし、つながらないのが最近の卵である。卵かけ御飯する
    と、気になるのが生臭さと硫黄臭さ、醤油である程度は消え
    るのだが。基本的な部分が美味しいと思えない食べ物は、
    どこか誤魔化しているような気がしてすっきりしない。当店
    では色々試した結果、新篠津村の妙護寺さんの卵を使用して
    います。この卵は遺伝子組換えのされていない穀類などを
    自家配合した発酵飼料と青菜を与えているために季節により
    黄身の色が変化します。また、鶏はストレスの配慮から平飼
    い(鶏舎の中で放し飼い)をしています。この卵を使うように
    なってから生臭さと硫黄臭さがなくなり、カルボナーラは
    半熟状態の卵の美味しさを表現できるようになりました。
    マヨネーズは言うに及ばず、神経質にならずともつながって
    くれます。
    読みたいと思いつつ、手を出せづにいた、三島由紀夫の小説
    を読み始める。時期が11月という事もあり、文藝別冊で
    保存版が出ていたり、春の雪(豊饒の海一)が映画化されて
    いたりと見る物が盛沢山。春の雪は映画を見た後に小説を
    読んでいるが(この時点で半分ほど進行中)幕開け後のシーン
    に出てくるフワフワしたボタン雪は、この季節でも相当寒い
    はずなのに吐く息が白くないなど、原作と進行の仕方の違い
    は、おそらく小説の中から一つの題材を映像化したのだろう
    と思われるが。何か有意義な物を見出せなかった事が残念
    でした。しかし、この小説の中に2年間ほど頭の中に在った
    モヤモヤを解決してくれる一節が99ページの10行から
    15行の間に「官能の煮凝り」とあり、この1行の件に頭に
    パット閃いたのが。マージ社のアマローネ “カンポロンゴ
    ディ トルベ” (Campolongo di Torbe)のコメントです。この
    アマローネは諸事情で買ってしまい、何となく、気にいった
    ワインなのですが。同社のマッツァーノとの違いがどうして
    も思いつかづにいて、長らく空白になっていたので、思わず
    パクリをしてしまいました。こうゆう事があると、読む楽しみ
    が違う方に向いる自分に、「まぁ〜いいか?」と思わずには
    いられませんでした。
    もう一冊、同時進行で読んでいたのが。文藝春秋から発行
    されている [闘うワイン商] 川頭義之著 「イタリアワイン
    最強ガイド」 です。フランスワインとの優劣やレストランの
    高いワインにきつい注文をつけるなど、今までにない切り口
    のワインガイドですが。流通の簡素化と自由競争の流れに
    反して、酒販免許を利権化している業界全体の事について
    触れて欲しかった事と、ワインの保管について、重要性を
    解いてくれればと思いました。ちなみに、当店のワインの
    価格設定は、コンディショニングを整えるだけでいい、価格の
    リズナーブルなワインは希望小売価格にプラス1,000円を、
    エイジングが必要なワインは希望小売価格カケル1.7倍に
    経過年数により100円〜200円の加算をしています。
    また、グラスチャージに関しては色々なサービス状況や
    グラスの数に特別な対応を迫られる、以外は無い物としてい
    ます。そして、ワインの保管は店内のセラーと自宅のセラー、
    両方ともに温度管理をしています。私も川頭さんと同じで
    レストランのワインは高いと思っている一人です。それで、
    このくらいの抜栓価格にしています。

11月17日、ア〜ア目が。
  • ここ最近、遠くが見づらくなり、眼鏡を作り替えに眼鏡屋に。
    多少覚悟はしていたのだが、やはり遠近両用レンズのお世話
    になる。五十路を迎え、来るべき物が来たかの思いはあるが。
    ショック。
    もう一つは、久々に3.4kgのクエをおろす。この店にして
    は大き過ぎるのだが、つい買ってしまい。その後に、大変な
    思いで作業することになる。その中で、頭の梨割り(左右に
    切り分けること)の時、骨が大きく太いので、なかなか刃が
    入っていかない。なぜなら骨の中心に正確に刃が当たってい
    ないためである。普段の仕事が多少のずれを力任せの、いい
    加減な作業をしているからこのような事になる。目利きに
    食材の知識も大事だが、道具の手入れに手順と基本、初心を
    忘れるべからずである。ちょっと反省、そして、最近はフト
    振り返ることが多い今日この頃であります。
    最近、飲んだワインの中でキアンティ クラシッコが90年を
    前後して随分と変化しているような気がします。製造に関わ
    る規定が変わり、醸造所の設備の更新や醸造の方法の変化を
    見ると当然の事であるが、輸送の方法や倉庫の管理体制にも
    生鮮食料品のような環境が必要な事が当たり前になっている
    のではないかと思っています。他のイタリアワインも確かに
    いい方向に変化していると思う。しかし、最も変化したのは
    ヴィーノ ノービレを含め、キアンティ クラシッコではない
    かと思っています。私はこの方向の変換は大いに歓迎してい
    ますが。しかし、私の頭にあるキアンティ クラシッコの知識
    は常に更新を余儀なくされています。それと、ラクリマ ディ
    モッロ ダルバは、やはり1年間静置してようやく美味しく
    飲めるようになっています。焦げた砂糖の香りは砂糖菓子に
    安物のインクの香りは馨しいミネラル香やスミレの香りに、
    刺激的な味わいはすっかり落ち着き、個性的な味わいに変化
    しています。その土地に根付いた土着のブドウ品種から造ら
    れるワイン、それを楽しめるのがイタリアの面白く楽しい
    ところであります。
    1ヵ月前の事なりますが、常設のメニューを変えました。
    今までの抜き物料理から季節を通して変化しない食材の料理
    は常設のメニュに入れ、その都度に内容を口頭で説明する
    事にし、本日買出した旬の食材を黒板書きと口頭で料理を
    説明する事にしました。

10月15日、なんこ定食。
  • 先日、歌志内(札幌より北へ車で2時間半ほど)の日帰り温、
    チロルの湯に行ってきました。到着予定はお昼を少し過ぎる
    頃だったので、食事は館内で済まそうと思い車を走らせると
    手前に道の駅があり、寄り道をすることになる。しかし、
    ここの食堂の「かあさんのラーメン」に引かれ変更になり、
    ここで食事をする。お店に入り改めてメニューをよく見ると、
    短冊に「なんこ定食」なるメニューが店のあちこちに貼られて
    いるではないか。お店の人に「なんことは何ですか?」と聞く
    と「馬のホルモンです。」との返答でした。いまだに馬腸を
    食べる文化が生きている事に嬉しい思いがする。札幌では
    馬を食べさせてくれるお店は、せいぜい九州料理をウリにし
    ているか津軽出身の人がいるお店くらいで数も限られてくる。
    同じ空知地方の岩見沢で馬肉を食べる話は聞くが、産炭地と
    いう事では栗山と栗沢、そして、一つ山を越えて夕張で馬の
    料理は見たことがないので、歌志内だけなのかどうか、興味
    深い事を見つけ出した思いです。それにしても、店内では
    3人組みの若い女性客のうち2人が、この「なんこ定食」を
    ことなげに食べていました。以前に桜肉のカルパッチョを
    メニューに載せようと思い、あちこちと探し回っていた時に
    馬刺し以外の料理方法もついでに聞いていた中に、この馬腸
    の料理を教わった事があるが。馬腸は非常に個性的な味が
    あり、ここをいかに上手くマスキングを行なう事が料理の
    ポイントであると聞かされ。そして、始めて味わう事になる
    のは、今年の1月に主張料理を岩見沢のお客様さんに頼まれ
    行くと、お客様の持ち込んだ料理の中にナンコがありました。
    創造していた味と実際の味がまさに同じ、一つ食べただけで、
    その味わいを十二分に堪能する事が出来ました。そのことが、
    ことなげに食べている二人の女性を見ていると食べなれた
    味なのか料理の方法が上手く癖を取り除いているのかはわか
    らないが、その時は挑戦してみる気にはなれませんでしたが。
    しかし、次回は是非食べたいと思います。
  • リースリングはアルザス産のグランクリュー2本を含め数本
    を味わう。いわゆる、灯油臭、ケミカル臭についてだが、
    違った表現が在ってもよいのではないかと考えています。
    とてもマニアックな感じが特別な領域にいる事を誇示してい
    るようで違和感を覚えます。私には思い当たる香りがあるの
    ですが、絶対の確信がある訳ではないので、もう少し注意深
    く観察してから報告しようと思っています。あとは、ドイツ
    のリースリングは計5本を発注するも、諸事情で入荷が延期
    になっている。その間にチリ、オーストラリア、ニュージー
    ランドなどの2,500円以下の価格帯から試飲しています。
    アルザス以外は、1,000円前後の価格帯のワインが柔ら
    かな果実味に親しみやすい印象が感じられ、酸に面白味に
    欠けたところがあるが。しかし、不満な点がある訳ではない、
    私の希望をちょっと聞いて欲しくなる程度である。売れ筋の
    価格帯であることを考えれば、グローバルに受ける味わいを、
    そこから知ることになのでは。そして、今回は私にとって
    好印象のワインはありませんでした。価格を最初に決めてい
    るので、多く事を求める訳にはいかないが。価格だけの比較
    だが、やはり私にはイタリアワインのほうが美味い。

9月15日、ちょっとセンチに。
  • 積丹半島をドライブしながら、見慣れた風景をふと振り返る
    とトンネルが増え道路が直線化されて随分と走りやすくなっ
    ている事に気づく。バスがようやくすれ違うことが出来る
    小さなトンネル、出入り口がカーブになていて見通しの悪い
    トンネル、それが次々と広く長くなり道路が直線的になって
    いく。スイスイと走行が出来てストレスがなくなるが、同時
    に楽しさもなくなる。今でも、西積丹には素掘りのトンネル
    と崖にへばり付くように作られた道路の名残があります。
    ここをバスが走っていたかと思うとギョッとさせられます。
    若かりし頃を思い出し、運転免許を取り立ての頃に仲の
    良かった友人達と走り回った道路は思いでといっしょに過去
    のものになっている。車窓から見える風景は、見捨てられて
    いるものに、消えていくもの、そして、妙に立派な食堂。
    さあ、一生懸命に稼ぎましょう。
    ちょっとセンチメンタルになり、他界した友人や音信不通合
    の友人と遊んだことや、足繁く通った釣り道具屋の仕立てる
    釣りバスに空きがあると無料で乗せてもらい行った札幌近郊
    の海の風景。変わっていく風景と思い出を振り返りながら、
    周りを見渡してつくづく思うのがトンネル掘りの速さ、以前
    はかなりの歳月を費やして、ようやく開通したかという感じ
    であったが。最近は始まったなと思うと1〜2年で開通して
    しまう。時は流れ風景が変わていく積丹半島、そこに繰広げ
    られるエンジニアの弛まぬ技術革新と商人の飽くなき商売、
    思い出と現実が交差しながら、もう少し貪欲にならなければ
    と思いました。

2005年8月13日、ビックリマンチョコ。
  • 先日、店の裏のゴミを片付けていると10個のビックリマン
    チョコが封を切られて捨てられているではないか。もったい
    ないことをするなと思っていると、次の日も10個捨てられ
    ていて、よく見ると20周年記念でキャラクターシールが
    初代サイズに復活と書かれてあり。このシールがお目あてな
    事がわかる。ロッテという会社は高価格なシールを売るため
    に食えない菓子を付けるような会社だったかな?そして、
    皮肉にも袋に印刷されている一言は「チョコは楽しく食べま
    しょう」でした。
  • 何となく気になっていたリースリング、試飲会場でチェック
    だけはしていたが。今までは、南イタリアのワインを飲むこ
    とで手詰まり状態。それにしても、毎年のように造りが変わ
    っているような気がするのは私だけでしょうか。サラパルー
    タ社の01ビンテージのドゥーカ エンリコを試飲する機会
    がありました。その印象は以前より味わいの構成がすっきり
    としていて、余計なニュアンスを脱ぎ捨てたかのようにスリ
    ムで隙のない、しかし、飲み手に挑戦的でない包容力が感じ
    られ押しの強さが消えていました。アリアニコからネグロ
    アマーロへ、また、アリアニコに戻り次にプリミティーヴォ
    を物色し、白ワインをあれこれ味わいながら、アリアニコの
    ビンテージ違いを飲み返すと以前の記憶とメモは役に立たな
    くなり書き換える事になる、しかし、改めてチェックをする
    と私の多少オーバーな表現が期待にこたえるかのように変化
    していると、とても嬉しい気分にさせられます。南イタリア
    のワインは押しなべて良い方向へ変化していると思われます。
    万人を受け入れてくれる、おおらかさと包容力は他にない
    特徴だと考えられるからです。それと、これは予感として
    美味しいワインになると思っているのが、シチリア州の
    ネレッロ マスカレーゼ100%、飲んで見たくて仕方がない。
    今は、ネロダーヴォラから造られる経過年数を楽しめる
    ワインを増やそうかなと思っています。
     リースリングの話に戻ります。ドイツ品種には、さほど興味
    がなっかたのですが。毎週土曜日にテーマを決めて試飲会を
    してくださる、ワインショップ フジヰさんでご馳走になった。
    アルザスの2種類のリースリングは酸味がビックリするほど
    美味しかった。こうゆう酸味をイタリアワインで経験したこ
    とがなかったので、思わず見入ってしまったほどです。ワイ
    ナリーの名前は覚えていないのですが。リースリングの酸を
    押さえるのではなく、特徴を美味く引き出す醸造元だそうで
    す。私の感じた味わいの特徴は、八朔柑のなでられるような
    苦味と一本芯の通った果実味に夏蜜柑のような素朴だがしっ
    かりとした構成の酸と果実味です。30年前に伊豆で食べた
    甘夏柑や九州(所在地が確かでない)から送られてきた甘夏
    柑の酸っぱいのだがドンドン食べられる美味さを思い出され、
    どこかに甘さがワンポイントあれば、酸味というのはこんな
    に美味しいものかと思い知らされたものです。しかし、先ほ
    どの南イタリアの白ワイン、この中のフィアーノやトルバー
    ト、ファランギーナは似て比なる味わいであるが酸の味わい
    が良いですよ。

7月6日、調合でだまされる味覚。
  • ここ二ヶ月間の読売新聞の切抜きから、まずは調合でだまさ
    れる味覚。これは「プリンに醤油をかけると、ウニの味」
    上手くブレンドできたときは確かに同じ味が再現できる。
    このことは、「味覚センサー」なる測定気を使い。アミノ酸
    成分や食塩を生ウニの味の応答パターンと合うように調整
    すると同じ味が再現できたそうだ。
    これは人間の舌はだまされやすく、それには理由があり、
    食べるときに「甘味とうま味は栄養、苦味は毒、酸味は腐敗
    を示し。塩は体に必須。」の基本形が瞬時に判断できないと
    生死に関わるが複雑な味はわからなくても困らない。要約
    すると以上になると思います。
    確かに味覚だけを考えれば、そうなのかもしれないが食感や
    香りなど五感を使えば所詮はプリンに醤油であり、ヴァニラ
    エッセンスの人工的な匂いは消しようがない。たとえば、
    ウニ入りの出汁巻き卵焼きに濃い口醤油をチョイと付けて
    食べる、どうしたものかな?
  • 味覚というのは、個人的な主観が優先されると思っています。
    過去に出会った味の経験が雑学になるのか知識になるのか、
    はたまた思いつきであっても、意識をすることが大事である
    と私は考えています。
    五味にはもう一つの側面があり。苦味は毒であり薬でもある。
    酸味は腐敗であり発酵でもある。塩は必須であるが取り過ぎ
    ると障害になる。甘味は栄養であり癒しであるが取りすぎる
    とこれも障害になる。辛いは痛覚であり味覚ではない。あと
    は脂身である。マグロのトロのように脂の乗った魚に人気が
    出てきたのは、第二次世界大戦後だそうである。脂の乗った
    魚や霜降り肉、この脂にはうま味成分がないそうである。
    しかし、脂は食べると舌から脳に送られる信号に、ある種の
    興奮を覚えるという現象が確認されている。そのため、繰り
    返し食べたくなるようである。
    甘味をストレートに表現する砂糖や脂を蓄えた肉と魚に麻薬
    的な魅力があるのなら、それに漬かった生活も人其々であり、
    辛味という痛覚と合成された調味料で過多に味蕾を刺激する
    食べ物に埋もれた生活も個々の問題である。五感を使った
    食事や複雑な味は解らなくても困りはしないし、この味覚と
    いうのは十人十色で様々な側面があるのことが面白いと思う。
    しかし、何度となく繰り返し書いているが、何のために食べ
    るのか。美食の追及なのか、食道楽なのか、それとも健康。
    いずれでもよいが。トホホでトンチンカンなコメントだけは、
    自戒の念も含め、聞き苦しい。
  • もうひとつ気になる記事が、「苦味感じる遺伝子 人類、急速
    に退化」総合研究大学院大学の郷康広研究員らが霊長類の中
    で人類は、進化の過程で急速に退化をさせていると、米遺伝
    学会誌に発表された。
    苦味をかじるセンサーを作り出す遺伝子は人類では25個が
    働いている。ほかに機能を失った残がいのような遺伝子が
    11個ある。12種類の霊長類では残がいの遺伝子は人類
    より少なく。一個の苦味遺伝子が機能しなくなるのに霊長類
    では780万年かかり、人類は約200万年と退化が3.9
    倍も早かった。これは、人類が発達した脳で毒を学習し実際
    に食べなくても見分けられるようになったことが原因らしい
    とある。
    200万年かけて一個の遺伝子が残がいになる事の意味する
    ものを理解する事は出来ないが。これこそまさしく、「人類は
    頭で食べる」ではないか。知識だけで美味い不味いを語るも
    無味乾燥なこと、単純に胃袋を満たすのではなく豊かさと
    楽しさを食べるに見出せるのが人類であるなら、やるべき
    仕事は手を抜かずにしてある食べ物なり食材を見分ける力が
    必要であるのだが。なぜ、この事が必要なのかも不思議でも
    あり「何かヘン」な事でもある。そうこう言いながら書き
    終えようとしているところに、最初の新聞ネタの続編に
    「ウマ味について」とあり、日本から始まったウマ味という
    味覚を理解するために、「欧米のシェフはグルタミン酸の
    溶液を味合うことで訓練している」とある。真偽のほどは
    別にして、こうゆう事を言えるのは味覚を頭の中でガチャ
    ガチャと計算をし、分析をしてから、レシートに書かれた
    結果をトヤカク言ったいるだけに見えてしまう。昆布のウマ
    味成分はグルタミン酸であるが、味の素がイコール、昆布の
    ウマ味ではないと考えるのは私だけでしょうか。

6月2日、小言に始めての反応が。
  • カポ ターヴォラよりに始めてのメールが届く。今までは、
    食材に関しての問い合わせはありましたが。私の小言に反応
    してメールをくれたのが始めてなので、世の中に同じような
    感じを抱いている人が居る事に勇気づけられる思いがします。
    私は書き出しの所で書いてあるように、有り余る才能で料理
    を創造して作るのではなく、普段使いの食べるにわずかで
    あっても非日常のエッセンスを加えるです。この原稿を書い
    ている最中の5月28日、2名様ご予約の献立表は、
           とりあえずの3点前菜盛り合わせ
    鶏レバーペーストのブリスケッタ
    自家製コッパ
    留萌産 平目のカルパッチョ
       自家製ピクルス添え(山独活、パプリカ、茗荷)
    2皿目 富山産 白海老の香草香り揚げ
    3皿目 厚岸産 白魚の掻き立てた卵黄乗せオーブン焼き
    4皿目 ウチハ海老 バルサミコのゼリー寄せ添えと
        蝦蛄海老のレモン果肉入りのビネグレットソース
        サラダ仕立ての盛り合わせ
    メイン 青森産オコゼのベーニエ
        お頭、カマ、ハラスはセモリナ粉を叩いてフリット
        ライムとモンゴル産岩塩をお好みで
        焼いたパープルアスパラガスと空豆の付け合わせ
        脇に、キモ 水袋 ボッタルガ
    パスタ 甘海老で作ったアメリケーヌソース入り
                     トマトソース合え
    ラ フランスのシャーベットにエスプレッソ
             (〆のコーヒー、これが重要なのです。)
    ワインと今時期の食材あれこれを楽しんで頂ければいい、
    「今日は美味しい料理をありがとう」の一言を聞きたいが
    ために仕事をしているようなもの。つい先日も会員向の無料
    の雑誌に紹介されていたレストランのコメントに、古平産
    真ダコと伊達地鶏を使った自慢の料理とあるが。北海道に
    真ダコは生息していたかな、地元の漁師が雌の蛸を真ダコと
    呼ぶらしいが、流通するときは水ダコで出荷されるはずで
    ある。地鶏の定義はJAS規格で決められているはずである、
    私の記憶に間違いがなければ、これも使えないはずである。
    何を目的に料理を作る事を生業にしているのか解らない人達、
    しかし、支持をされお客様が満足をしているのだから、私が
    とやかく言うべきではないと思っています。
    メールをくれたNさんは家族のために料理を作っている。
    私はこの事が一番大切な事であると思っています。誰かの
    ために、美味しく食べて欲しいと願い料理を作る。だから、
    素材の目利きは磨かれ、下準備なり処理が念入りになり技術
    が向上していく。コダワリを否定するつもりはないのだが、
    主たる側が作る人なのか食べる人なのか。私が考えるように、
    食べる側にあるとすれば、サディスティクなオヤジを目の前
    に黙々と食べなければいけない店や当店の蕎麦は「湯練り」
    ですと平気で公言するトンチンカンな技術や食材の知識を
    ひけらかしている店に比べれば、Nさんのように私より年上
    にも関わらず、料理に対して謙虚で真摯に向き合っている
    姿勢は、レストランであろうが家庭であろうが料理の基本的
    な心の在り様は同じであると考えさせられました。
    と言いつつも、トウシロさんに負けているわけには行かない
    のである、何が勝ち負けなのかはよくわからないが、少なく
    とも、さすがプロのコックさんと言われるように精進しなけ
    ればいけない。普段使いにも関わらず非日常的な、北海道で
    出来るイタリア料理(モドキでもかまわない)をテーマに
    もっとアンテナを高くしなけれが行けないと思っています。
  • 4アイテムの白ワインを追加しました。カンパーニア州の
    フィアーノ、グレコ、ファランギーナとサルデーニャ州の
    トルバートです。これらのワインは華やかさが特徴的だと思
    っています。フィアーノ、グレコは一部分マロラクティック
    発酵させているためか、おおらかな豊かさが感じられる果実
    味と美味しい酸があります。

5月7日、白ワインの試飲会。
  • この度の冬は、雪が多く当店の前は4月15日にようやく消
    えました。しかし、郊外に行くと、まだまだ沢山の雪が残っ
    ています。春の芽吹きは清々しさを感じさせられるのだが。
    先日、某メーカーの内覧会に出されていた。輸入の白ワイン
    は香料を入れたような、単調で重苦しく、私には不快な感じ
    がする。このようなワインが、いわゆる美味しいワインであ
    ると出まわる事に違和感を覚える。これも、キンキンに冷や
    して飲むならば酸や果実味をつぶてしまうわけであるから、
    このような作りになり、道理がわかる。イタリアの白ワイン
    に最近感じることは、スタートは10℃で限りなく20℃に
    近づきながら味わいが変化して行く事に美味しさを感ること
    である。セオリーを無視していると取られても仕方がないが。
    どうにも誉めようのない苦味が柑橘系の苦味のような好まし
    い味わいに感じられるし、酸も穏やかになり、香りは複雑さ
    を増してくるので、私はお客様にとりあえず進めています。
    濃い味、強い香り、日本人の身の回りにある繊細な感覚を
    忘れ去り、感受性を養うのではなく、常に刺激を受け続ける
    だけの生活は、なんとも味気がないような気がする。
    食育をテーマにしたテレビ番組に出ていた有名なシェフが
    味覚は経験であると言っていた、私も同感である、しかし、
    沢山のホヤ(甘、苦、酸、辛が揃っている食べ物らしい)を
    食べていたことが味覚の発達に関与しているとは、どうして
    も考えにくい。素材その物の味わいに甘さがあれば、それを
    生かした料理をすれば良い、甘さに支点を置き砂糖で甘くし
    た料理というのは、限りなく真味から遠ざかり、素材の味を
    食べるのではなく甘さを食べるだけになってしまう。素材の
    味はそれぞれに個性があり、食べることに喜びを見出すため
    には、経験を積み記憶の糸を縦横無尽に結び付け、感受性を
    養い、日頃から本質に触れようとしポジティブなる。逆に
    刺激を食べるものは段々とその量だけが増えていき、質を
    置いてきぼりにして量だけを追い求める。果たしてどちらが
    楽しい事かは、人其々である
  • ワインリストの構成を2回に分け変えました。コメントを
    別窓にするためです。しかし、窓の大きさを決めるHTML
    がわからず、不要な大きさの別窓が現れます。バージョン
    アップをすれば解決すると思われますが。予算がそこまで
    行きません。トホホのホです。

4月4日、ワインリストの見直し。
  • 店で使用しているワインリストは6年前のノートパソコンで
    作っています。コメントを入れたものとイタリア語の表記
    入りの二種類あります。ワインが増え、ページも増えるごと
    にアップダウンの動きが悪くイライラしながら変更の作業を
    していたのだが。原因がようやく判明しました。それは、
    使われていない多数の書式設定が混在しているために、動き
    が阻害されいたのです。なぜ判明したかと言うと自宅にある
    最新のデスクトップにデーターを移し印刷やその他の作業を
    しようとしたところ、設定の細かなズレで上手く噛み合わな
    い場所があり、字ズラが合わせられなっかたり、文字が飛び
    出し改行をしていたり等々、修正が困難を極めていました。
    しかし、1月の上旬に何気なくスタイルを表示すると在るわ、
    在るわ、過去に設定した書式が文字と文字の間に在ったり、
    改行のところに在ったり、何から手をつけて良いのかわから
    ないはど沢山の不要で統一性のない書式設定、思えば6年の
    間に文章の構成を大幅に変更したのが5回、分離や統合を
    したり一部を独立させたりと、作り変えるたびに書式設定
    だけが残り知らないうちに、垢になり徐々に溜まり動きづら
    くなっていたのです。そこで、ページの設定から見直し、
    見出しとスタイルの設定を決めてから当てはめていく作業を
    3ヶ月間もかけ、途中で何度かやり直しをしながらようやく
    完成、動きはスムーズになり、メモリーはわずかに小さく
    なり苦労の甲斐がありました。合わせてコメントの見直と、
    ページの中のカンティーナへのアクセスアドレスを大幅に
    増やしました。

3月7日、いよいよ車が。
  • 愛車のVivioは何時、動かなくなるか心配しながら乗ってい
    るのだが。次の車が見当たらない。朝の買出しにチョイ乗り
    が主の使い方のため、私の車は軽自動車で充分であると考え
    ています。道具はシンプルに使いたいのだが、これがどうし
    てスイッチ一つでほとんどの物が動く、たとえば、手動で鏡
    だけを調整するドアミラーは位置が決まれば、あまり動くも
    のではないし、窓の上げ下げも毎日のように乗っていても
    ほぼ動かすことがない。使い勝手の良い事が機械仕掛けで動
    くことではないと思う。気の効いた装備やオプションがある
    にもかかわらず室内に入ってくる騒音対策がなおざりにされ
    ているのも気になります。それと、シガレットライターに
    灰皿が標準装備されている車種がある、これこそオプション
    にして欲しい。あれこれと思案した結果は低グレードのバン
    になるが、メクラ蓋と物入れと称した穴凹だらけになり、
    さらに、細くグリップ感のないハンドルに鉄板が剥き出しに
    なっている内装は空虚な寒々とした空間に取り残されたよう
    なさびしい気持ちにさせられます。どうでもいい様に低価格
    にするための精一杯の努力は認めるが。物を作る人は、その
    物の後ろ側にある気持ちや技術をどこかに感じさせなければ
    いけないと思う私は、どこかやり切れない気持ちにさせられ
    ます。世の中にこのようなニーズがないから車種の設定が
    ないのは仕方がない、どこかで妥協しなければ思いつつ、
    騙し騙し乗っています。
  • 2月のニュースに種ジャガイモの偽装事件がありましたが。
    私の豆知識をひけらかすと種芋として流通させるには、省庁
    はわすれましたが、申請をして線虫と細菌検査その他を数回
    受け、合格しなけれがなりません。誰でも出きる訳でなく、
    コストが高く、そして管理が難しく大変であるために、食用
    より高価格です。それと、食用のジャガイモはLサイズが
    一番高いが種芋はMサイズほどの物が多く、市場に出しても、
    Lサイズの半分か3分の2くらいの価格しか付きません。
    そこで、収益を高めるために、種芋として流通させたと
    思われます。

2005年1月31日、南イタリアのワイン。
  • この数ヶ月の間は、アリアニコから造られるワインを中心に
    試飲しています。南イタリアのワインといえば、パワフルな
    味わいで酸が少なく、濃厚な印象は残るが、しかし、近年は
    数ヶ月から1年間のコンディショニングをすることで、
    しっかりと酸が引き締まり、全体のバランスが良くなります。
    一番手頃なアリアニコ ロッカモンフィーナですら味わいの
    印象は5年前より今のほうが美味しく感じられ、造りの変化
    を感じます。カンパーニャ州のタウラージとファレルノ デル
    マッシコも数年前よりきりりとした酸が感じられ、不快な
    苦味が消え、柔らかなタンニンと濃厚な果実味のバランスが
    整い快い感じのするものが多くなっています。色々と試飲を
    繰り返しているとカンパーニア州でピエーデロッソを20%
    加えられるファレルノはアリアニコ100%にはない、
    柔らかさと透明な味わいがあり、11月にリストアップした
    ほどです。アリアニコ デル ヴルトューレ"ロイノス"の
    思いのほか重厚な瓶に作り手のやる気が伝わって来ます
    が。ビンテージが2002年のために、今はまだ飲める状態
    ではなく、未開封のバラバラにされたパズルのような印象を
    受け、バランスの悪さと締りのない酸ではあるけれど、
    難解さがなく、おおらかな味わいには、万人を受け入れて
    くれそうな懐の深さが感じられます。シチリア州のファーロ
    "パラリ"も豊かな果実味に素直な酸は、素朴ではあるが
    洗練された豊かさを感じさせてくれます。それともう一つは
    ネロ ダーヴォラから造られるワインにデューカ エンリコが
    あります。以前は保存していたのですが心境に変化があり
    全部を飲んでしまいましたが。ガンベロ ロッソで久しぶりに
    トレ ビッキエーリが付けられた事もあり、今一度エージング
    して完璧な状態にしてから、新たなワインをリストに加え
    るために、あれこれ飲み比べをするつもりです。全体の印象
    を後から思い返すと南イタリアのワインは気難しい所がなく、
    ほのかな体温を感じさせ、見知らぬもの同士でも囲炉裏端を
    囲みワインを味わえる、気さくな雰囲気を感じました。

12月13日、男の作法。
  • 池波正太郎の著書「男の作法」を読んで。美味しく食べるため
    の方法や作法は、若い頃に日常生活の中であれこれを、
    厳しく言われた事と同じようなことが書かれてあり。改めて
    男の作法とはを考えさせられます。今このようなことを言う
    人が少なくなったような気もしますし、当節どれだけ通じる
    のか、やや不安でもあります。そもそも、なぜ作法や礼儀が
    必要なのか、私は、いかに美味しく快適に食べるかにあると
    考えています。セルフサービスで足早に食べるのも良いが、
    気持ちの良いサービスを受けての食事は、美味しい料理を
    引き立て充分な満足が得られる。とにかく欲求不満になる
    から、詰まらない食べ方だけはしたくないと考えています。
    それに、もう一方の店側も利益を得るための方便で口当たり
    の良い料理の説明をする者がいる。これには注意が必要で、
    最近見聞きした中に「840円のバイキング料理を美味しく
    たくさん食べてほしいので、すべて手作りにしています。」
    これも疑ってしまえば、料理は人件費の占める割合が大きい、
    賃金の安い海外の工場で作り冷凍し商品になり流通された
    食べ物も、確かに手作りである。もう一つは「1ヵ月かけて
    作ったデミグラスソースのお肉の煮込み料理が1,000円。」
    これも、1ヶ月間も掛けてソースを作るということは作り
    掛けのソースが複数存在するはずである。そのためには、
    広い厨房とたくさんの鍋釜が必要になるり、ガス代もかかり、
    人手も必要になる、手間隙をかけて作ったデミグラスソース
    が、たったの千円とは激安であるし、採算が合わないと思う。
    食べる側にそれなりの知識があれば大丈夫なのでしょうが。
    ほとんどの場合は、私でも自分の感を頼りにお店に入ること
    になる。玄関先だけで判断するのは今ほど難しい事はないと
    思うのだが、皆さんはいかがでしょうか。それと当店には
    私を上手に使うお客様が居ります。このことも、池波正太郎
    の「男の作法」だと思います。男女を問わずに。こう考えると
    私に、とやかく小言を言ってくれた。他界した明治生まれの
    バーちゃんに師匠、そして、胸を貸してくれた数多の道楽者
    に感謝、感謝。

11月4日、12〜13日はピッツァの日。
  • ぎりぎりの報告になりますが。5日より実習生を受け入れま
    す。そこで、12〜13日は井ノ口さんのモッツァレッラを
    用いたピッツァを焼きます。
  • 遺伝し組替えをした大豆を長沼町の企業が来年栽培をしよう
    としています。ローコストで大量生産される大豆を否定する
    つもりはないが。しかし、効率重視の表情がまるでない、
    無味乾燥な大豆にならないようにと思っています。美味しい
    物を作る努力やコストに、方法や考えの違いは理解するが。
    気持ちの伝わらない食べ物を私は不思議に思います。

10月15日、井ノ口さんのモッツァレッラチーズ。
  • イタリアチーズを食べるというイベントが日伊協会であり、
    その時に来ていたのが、酪恵舎の井ノ口さん、チーズ職人で
    ある。彼が試食のために持ってきた自作のチーズが美味しか
    ったので、一泊の温泉旅行を兼ねてモッツァッレラチーズを
    白糠町まで買いに行きました。工房に到着した時、運良く
    モッツァッレラチーズの作り立てを頂くことができ、美味し
    いモッツァッレラチーズの記憶を思い返されるようでした。
    井ノ口さんに感心させられたのは、理論を把握しているから
    です。工場生産されるチーズを基礎にしているのではなく、
    イタリア(他の国でもよいのだが)で修行し理論を習得した
    者にしか知り得ない真理があり、技術を習得した土地の
    空気感や文化が肌身に着いているような気がして、ちょと
    だけ羨ましい思いがありました。それと原乳の生産者、
    消費者と綿密に関わりを持っている。このことは、
    インターネットの検索の方法にもよるが、検索の結果が白糠
    や近隣を巻き込んでいるように表示されている印象を私は
    強く受けているからです。もう一つは、イタリアのチーズの
    良さを再認識させられたこと、この数日前にポーク ロースの
    ソテーにレモン風味のクリームソースを添えてを作ったとき、
    ソースを作り過ぎてしまい、馴染みのお客様であったので
    別に、ゴルゴンゾーラを加える要領でフランスのブルー
    チーズで作ったのですが。これがアクセントのつもりが厨房
    の中が大変なことに、一口だけ食べて頂いて、後は儚く。
    このような経験をした後だけに、料理に使えるチーズ、パク
    パクと食べられるチーズはイタリアのチーズの良さである
    ように思えます。

  • 11月4日から数日、実習生の受け入れをする予定でいます。
    モチベーションがすごく高く、来年の就職先(夏休みに東京で
    アルバイトしながら捜す)はイタリアへ行くために、まずは
    厨房が全部イタリア人のいるレストランにアルバイトとし
    て入り、そこを足掛かりにイタリアへ修行に行こうという、
    じつに高潔な若者です。そこで、北海道ですてきな仕事を
    している。井ノ口さんのモッツァレッラチーズを用いた
    ピッツァを限定で焼こうと思っています。イタリアでは
    当たり前の00番の小麦粉と天然酵母、水、塩を手練りで
    作ります。決まりしだい告知しますので、出来ることならば
    予約をください。

9月13日、高いワインを調子に乗って飲んじゃいました。
  • アテネオリンピックはメダルの数もさることながら、見返り
    の少ない、むしろ名誉のために戦い抜く姿は武士道の精神を
    見せられたような気がします。それより、駒大苫小牧校の
    甲子園優勝こそが最高!北海道人バンザイ、君達は実力で
    頂点に上り詰めた勇者、おめでとう。アマ・プロ問わず
    スポーツそして、舞台鑑賞にストリートでのパフォーマンス、
    これらが盛んなことが、どれほど普段の生活を豊かにするか
    計り知れない。このことに触れ、話題にしワインを飲む
    ひと時が格別であると私は考える。それと、日本初のWRC
    北海道を観戦できず残念、ライブで見たかった。しかし、
    スバル車のペタ ソルベルグが優勝したので、DVDが発売
    されれば購入しようと思っています。

  • 最近飲んだワインは、ソライア 99、サッシカイア 97、
    サン レオナルド 99とビービ グラーツ社のカーザマッタ、
    リカーゾリ社のカンポ チェーニです。前者の3本はやはり、
    時のユリかごの中で変化する姿を見てもらうために在るよう
    なワイン、ソライアの欠点のない研ぎ澄まされたふくよかな
    ボデイ、サッシカイアの物語の巧妙な展開に心奪われ、目の
    前に映像が現れるような感じのサン レオナルドのマッタリ
    とした時間に引き込まれる。稚拙な表現はさて置き、どの
    ワインも充分なフィネスを感じさせてくれ、酔い心地の良さ
    は抜群である。そして、後者の2本がクセモノのような気が
    する。カーザマッタは去年、話題になったテスタマッタの
    6分の1価格設定の近隣からの買い桶のサンジョヴェーゼ
    100%で造られるワイン。カンポ チェーニは不作だった
    2003年のカザルフェッロとカステロ ディ ブローリオの
    ブドウから作られた今年だけのスペシャル キュベ、この二本
    には共通している所が在る、構造がしっかりしていて果実味
    がよくジャミーでない、全体に脹らみはあるが、強いて言え
    ば奥深さがない。造りのうまさが感じられるし、この価格帯
    に多くのものを要求するのも酷である。しかし、造りが巧妙
    なのか受けを狙ったのか、それとも私の所見が出来ていない
    のかが解らないが。カーザマッタは扱いを始めようと思って
    います。

8月15日、映画『トスカーナの休日』を見て。
  • トスカーナの文字につられて映画を見てきました。邦題名は
    「トスカーナの休日」です。家族の在り様が色々な形で描か
    れているが。それより、衝動買いをした築300年の屋敷の
    価格は幾らなのか、主人公のダイアン レインが中庭で一人飲
    んでいたワインは何、それが気になります。コルトナで牛が
    2日間掛けて耕せる土地の広さは解らないが、よくある話は
    古びた別荘を購入したらブドウ畑があり、ワイン作りを始め、
    成功するというお話は雑誌の中の物語であると思っていた。
    しかし、映画ではあると解っているが夢見るオヤジの空想は
    留まる事を知らずにどんどん脹らんで行く、オリーブの木が
    あれば、ブドウ畑ぐらいは在るだろうと勝手に決め付け、
    ワインを造り自給自足の生活を、お肉は在っても無くても良
    いが、ちょっと足を伸ばせばトラジメーノ湖があり、魚には
    不自由しないだろう。労働と天から与えられ得た報酬、その
    糧を工夫する技術で身を養う。アグリツーリズモをするのも
    悪くはないな、などと取り止めのない事を考えながら見て
    いると映画は終盤になり、冒頭より出ていた、出の悪い蛇口
    から一気に水が溢れ出しオ〜シマイ。内容はともかく、日本
    のご当地映画のように、もう少しトスカーナの風景を映し出
    してほしかった。
  • 先回、ヤフーのページ検索から漏れているので再度申請を
    行っていると書きましたが。なんと、サイト検索に乗っている
    “嬉し〜い” !

7月10日、ページの再検討。
  • ジャイヤンツの清原選手の2000本安打に、ホークスの王
    監督1000勝、F1レーサー佐藤琢磨の3位入賞、万歳。
    しかし、ファイターズはそこそこの成績、コンサドーレは
    低迷中、がんばれ。今こそ応援するのが野球ファンであり、
    12番目の選手であるサポーター、試合になかなか足を運べ
    ない人達のために、気軽に応援を出来るようなシステムを
    作ってくれれば良いのに、たとえば、電話をかけると千円
    位の募金が出来る、わずかな金額ではあるが参加する事が
    出来る。野球にサッカーの話題でワインを飲む、良いでは
    ありませんか。
  • ページの中を再検討する。HTMLで見ると不要な命令文に
    終了文など結構無駄な文章があることが判明し、同時に読み
    づらい文章や構成を直しました。大幅なリニューアルで見易
    くなっていると思います。私のプロフィールを追加しました。
    ヤフーでのページ検索が出来なくなったために、再度申請し
    ているのですが思うように行かずちょっとイライラしています。

6月15日、今月の試飲
  • 1本目はシチリア州、コッタネーラ社の"ラルデンツァ"
    南イタリアのワインは甘さが第一印象に来るものが多く、
    この甘さがフィニッシュまで続けられると幻滅させられるの
    だが。このワインには粗野な所のない上品で洗練された酸と
    優雅な果実味に骨格のしっかりとした力強さを感じます。
    香りも同様で、華やかで満ち溢れるような力強さは、押しが
    強いだけの傲慢さがなく、実に爽やかである。そういえば、
    去年、帯広ワインクラブのワイン会をして頂いた時に同州の
    プラネタ社のシャルドネがあり、厚ぼったいというイメージ
    があったのが、会長の将来性を感じているんですよの、一言
    が強く印象に残っていて、以後試飲する機会があり、その時
    に感じたことは、酸に雑みのない洗練された上品さがあり、
    全体に押しの強さが無くなっていて、個人的に好きな味わい
    と香りになっています。南イタリアの個性を無くしているの
    か方向を変えたのか解らないが、私としては歓迎であります。
    2本目はマルケ州、ウマニ ロンキ社の"フォンテ デル レ"、
    ブドウ品種はラクリマ種、「これは奇跡的に現在に残存する」
    と言うコメントが付けられている。個性的と捕らえるべきか
    はっきりとわかる香りと味わいが初心者向けなのか、良く
    解らないワインである。テクニカルシートの香りのコメント
    にスミレとあるが、私にはインクに近いような強く真直ぐに
    くるような印象があり、腰の座りの悪さが気になるが、手元
    に置いて観察をすることにする。それと、この原稿を書いて
    いる最中に、サグランティーノ ディ モンテファルコを開け
    る機会があり、この2つのワインに2つの共通点を見つける。
    スミレの香りがインクのような印象であった事と、和三盆糖
    のような甘さと清涼感を感じ、全体の基本になっている部分
    に共通しているような気がします。しかし、ブドウ苗の関係
    がどのように成っているのかは解らないし私だけがそう感じ
    たのかもしれないが?そう思う人が居たのなら嬉しい。
  • 今年の春、ジュネーブモーターショウに参考出品されていた。
    フィアットのトレピウーノ、このサイズがいいな、ついでに
    電動で動く物は一切なし、装備はスピードメーターに燃料計、
    そしてラジオ(FM付きの高性能なスピーカー付き)ちょっと
    贅沢をしてUVカットガラスにエアコン、これで充分である。
    便利なことは決して悪くはない。しかし、忘れ去られた事や
    物があることを知らなければいけないと思っています。

5月15日、先月の試飲。
  • トスカーナ州チーマ社のマッセレッタ(マッセレッタ種100%)、
    フリウリ ヴェネツィア・ジュリア州イエルマン社のピニャコルッセ
    (ピニョーロ種100%)の2本を今月は試飲をしました。狭い地域
    に生育している地場品種で造られるこれらのワインはイタリア
    の地域の多様性と地元意識の高さの有り様を見ることが出来
    ると思います。一本目はマッセレッタです。最初はスパイシーな
    感じがシラーに似ているような気がするが、旺盛に湧き上がる
    力強い酸の味わいを一瞬に感じ始めるとやはり別物であること
    に気づくのだが、思い起こすとフォントーディ社のカーセ ヴィア
    シラーに似ているとも思った。味わいの骨格はしっかしていて
    粗野な所がなく、力強い。厚みのあるたっぷりとっしたタンニン
    は見かけと違い繊細な味わいがしました。しかし、一見の客を
    見定めるような印象を感じるのだが、3分の2を過ぎる頃から
    香りは落ち着いた華やかさと上品さを感じ始め、味わいも照れ
    くさそうに次から次と“はいこれ”“はいこれ”と丁寧に手渡され
    るように感じました。2本目はピニャコルッセです。酸の印象を
    形容すらなら「山椒は小粒でもピリリと辛い」です。刺すような
    酸ではなく、当たりは小さいがしっかりした構造とすらりとした
    骨格が特徴的で、このように個性的な酸の味わいは始めての
    ような気がします。タンニンも控えめなのだが存在感が記憶に
    残り、主張する所は主張すると言った感じです。味わい全体に
    最初は閉じていると思われたが、耳をそば立てるように聞いて
    始めて答えてくれるような気がするくらい控えめと言うよりは
    デリケートな面を粗雑に扱うことを嫌っているような気がします。
    ベリー系の果実とミネラル、皮、インク、の香りは、際立った
    個性を感じる事はないが清楚な上品さもインパクトに成りえる
    ような感じがしています。
  • ピッツァの生地をイーストから天然酵母に変えました。
    パン屋の中川さんとの会話の中で星野の天然酵母を中種法
    ではなく、、ストレート法でも練ることが出来ると言う話を聞き
    調べていると星野ではなく、別の会社の天然酵母を見つける。
    小麦と塩、水にイーストでの作りは、イーストの香りが鼻に付く
    時があり不満であったのだが、この酵母を使うとパンとしての
    うまみを感じます。今までは塩味のきいたモチモチしたパンが
    程よいコシのあるナチュラルな香りと味わいに変化しています。
    イーストと酵母では、噛んでいる時の食感までも違いがあり、
    少々戸惑はあったが、噛んでいて美味しさがあります。酵母と
    塩を小麦粉に加え練って発酵させるとパンになる、当たり前で
    はあるが、その中に自分が居ることを始めて感じました。

4月7日、ピノ ネロの試飲。
  • 店の前の雪もすっかり解け、草花は芽吹きの準備する季節に
    なりました。今年、今までのワインの試飲はピノ ネロでした。
    “サンクト ヴァレンティン”ピノ ネロ 99はリリースされたときの
    試飲ではのっぺりとしたタンニンとさえない酸にがっかりと
    させられたのですが。後日ふと頭の中を過ぎるものがあり
    買い置きをした内の1本の試飲は、思っていたとおりに
    優雅で柔らかな酸とアタックの柔らかなタンニン、それよりも、
    香りがここまで変化するものかと感心させられます。雑踏の
    中から急に静寂の香りだけの世界に引き込まれるような、
    錯覚を感じさせ、ひとつ下のピノ ネロ リゼルヴァを数倍膨ら
    ませ、なお且つ、まるで別世界のワインであるような印象を
    与えてくれます。これと似たような第一印象のワインが、去年
    から売り出し始めた三笠の山崎ワイナリーのピノ ネロです。
    2回の試飲の結果は香りは開いてくれないし、のっぺりとした
    タンニンはそのままでどうにも精査の欠いたものでした。
    1年くらいの瓶熟成が必要なのか?、手元にないので今年、
    リリースされるワインを少し多めに買い置き、1年以上の
    エイジングをしてから試飲をすることにする。3種類のワイン
    を1ヶ月おきに合計6本の試飲をするがニュアンスの違いに
    どきどきするような戸惑いを楽しめるのが、ピノ ネロの
    不思議であり魅力なのかもしれない。もうひとつは、アーマの
    ピノ ネロ イル キウーゾ 00はヴィッラ ディ バニョロと大きな
    違いを感じられない、香りと味わいでしたが、北イタリアの
    ピノとは、また、違うテイストがあり。力強さと華やかさは
    これはこれでとても魅力的です。
  • いつものパンやさんが3月末で閉店し残念に思っています。
    24軒にあるエマーブルなのですが、しっかりとした角食は
    昔ながらの重量感とパンの香りがします。人工の香料の
    香りがする粘着多糖類で膨らませるだけ膨らませた
    柔らかいパンと違う、小麦を練り、発酵させ、形成し、焼く
    だけの素朴で甘くないパンを焼ける頑固な職人がいる店が
    一つ減りました。

3月1日、3月27日土曜日トマトソース作りの見学会を開催します。
  • 3月27日午後2時30よりトマトソース作りの見学会をします。
    以前より料理教室を開くよう要望されていたのですが。私一人
    で切り盛りをしている店で不可能な事であると考えていたの
    ですが。見学会ならレシピはあらかじめプリントをしておけば
    数量的な事を間違えることはないし、仕込み作業中に注意
    しなければならない事やコツ、そして、ポイントをお教えすれば
    よく、私への負担がそれほどでありません。私は北海道の
    風土に根付いたイタリアを考えて料理を作っています。斬新な
    料理であるとは思っていませんが。巷を見ているとパスタの
    ゆで方や基本的なことが意外と出来ていないことは、お客様
    と話をする中から見える時があります。手の加え方や注意を
    しなければいけない事など、参考程度になるかと思います。
    なお、7名様ほどのスペースしかありません。Eメール、もしくは
    電話にて予約を入れてください。当日は手ふきとペンをお忘れ
    なく。次回よりトップページにて開催日時を予告します。
    参加お待ち申し上げております。無料です。

2月16日、ガクちゃん先生。
  • 2月のある朝、テレビの特集に脳性まひの中学教師「ガク
    ちゃん先生」という題名の番組を見ていて、体が不自由で
    あるが相手に伝え教える術に、一週間で飽きられる
    コンビニの商品に、場面を短くつなぎ、切り替わる演出の
    テレビや映画など、せっかちに動き回る現実の中にあって
    改めて「スロー」と考えさせられる。彼の場合はゆっくりに
    しか出来ない、だからこそ、自ら作る教材に工夫をして、
    授業の進め方にも彼なりの方法がとられている、そこに、
    数学を教える一人の表現者の姿を見て捕ることが出来る。
    しかし、一番の問題はハートであるような気がします。
    勉強を教えることと料理を作る作業は同じではないが。
    健全な生活のために食べる料理にも、たとえ些細な
    食べ物であっても同じことが言えるのではないでしょうか。
    近頃目にするTVのCMに「チンする生活に幸せを」とある、
    相手の見えない食生活にどれほどの幸せがあるのか
    少々の疑問はあるし、なんちゃてインスタント食品に
    自身を見るスピード感が麻痺している安らぎが本当に
    あるのかが不明瞭であるとしか思えない。
    私は料理を作る表現者になりたいと考えているだけに、
    心豊かに食べて頂くは心豊かに作る。物理的に限られた
    時間であっても心豊かには、ガクちゃん先生のように
    ゆっくりと噛み締めるように吐露に教え諭すように、
    料理を作り食べて頂くことであるのかもしれない。

04年1月8日、久しぶりのコンサートで。
  • 12月は久しぶりのコンサート、それもエリック クラプトンを
    聞きにいったのですが。オーディエンスの世代の幅広さに、
    いい音楽は世代を超えるものだ思わされたのですが。私の
    ようにクラプトンのギターを聞きにいった者としては少々雰囲気
    の違いに世代間ギャップを感じ、それとわずかにずれた
    手拍子に「俺はおまえの手拍子を聞きに来たのではない」と
    言ってやりたかった。人それぞれの楽しみ方があってもいい、
    と思うばかりである。私はイタリアワインのことを考えているだ
    けで、他のワインをあれこれと探索する余裕を今は持てない、
    もう少し気持ちの余裕がほしい、と考えると他人のことを
    とやかく言う前に不器用なりに一生懸命やるしかない。
    最近はサンジョヴェーゼ100%で出来ているワインを試飲
    しているのだが、高価なものばかりに目が行き、5千円前後
    までの価格帯に収まるワインにめぐり合えません。それに
    しても年々そこそこの価格で楽しまさせてくれるワインに
    めぐり合える機会が少なくなりました。

11月21日、白ワインに思わず目に鱗。
  • 白ワインの入れ替えと追加(一部未入荷あり)、そして、リストの
    内容を変更しました。昨年から今年の春頃までは南のワインの
    試飲と資料を集め、検討の繰り返しに舌が疲れ果てボロボロ、
    そこに、この夏ロエーロ アルネイス 97(熟成は樽とステンタンク
    を半分づつ)の栓を抜いていただける事になったのですが。
    しかし、少々の不安が、6年の経過がどうなっているのかが
    見当が付かない。とりあえづ抜栓、コルク臭は合格、味わいは
    樽香がすっかり消えポテンシャルが見事に開花され思わず
    感動しました。知っている人は知っている、思い知らされま
    した。白ワインは樽臭いかシャボシャボ、4千円も出すなら赤の
    方が美味いと思っていた私、目から鱗である。心を入れ替え、
    白ワインリストの再考を始める。赤白に関わらず、自らの
    考えが反映しているのがワインリストである。リストは店の
    方向性と伝えたい事が見えてくるようでなければいけない。
    そのように考えている私にしては、白ワインをレイオフにした
    ままでいた事は、なんとも情けない。あれこれと試飲しての
    絞込みでしたが。まだ加え足りない白ワインもあります。
    甘口の白に樽熟をしたソーヴィニヨンとあれこれ思い悩むと
    また在庫が増える、が、とりあえずここまで。それにしても、
    この機会をもたらいして頂いた東京のYさんには感謝を
    しています。
    今回は地域の歴史的な背景を私なりに考慮しながらの
    リストアップと私なりに感じた繊細でしっかりとした果実味、
    落ち着いた、鮮やかで艶やかな香りをテーマに選びました。

10月27日、不味い。
  • 新潮社版、小泉武夫著書「不味い」を読んで、書き出しには
    不味いを題材にした本に出合わないが。美味しいものというの
    は、逆説的に考えれば不味いものがあるからこそ、味覚文化の
    中に在っては大切なことのひとつと言えなくもないのである。
    不味いものを自らすすんで求める人などいない。興味本位で
    はなく、さまざまな不味さとの対決を通して、一体、その本質は
    どこに宿っているのか、その原因や要因は何であるのかを知る
    ことにより美味しさと何であるのかを知り、考えてもらえれば。
    から始まり不味いものの出会いが書かれてあります。前に
    読んだ「食べるアメリカ人」の著者の加藤裕子さんの感じていた
    ことと重なるものを感じられます。美味しい、不味いは人それ
    ぞれでいいが、明らかに作為の食べ物が出回っていることが
    問題だと思っています。そう言えば、明治生まれのバアちゃん
    が「仕事が飯を食う」だから、沢山食べてしっかり仕事をしなさい
    と言われたことを思い出します。料理を作る人と食べる人の
    関係、好物を用意することと、思いのこもった料理を作ること、
    食るということの必要性をどのように捉えるかは様々でいい
    のだが。そこに作為があってはならないと考えます。売ること
    だけが目的の作為のある食べもを目利きをする知識を身に
    つける事で、豊かな食生活に結びつける、それには努力と
    コストがいるのではないか。訓練を受けていない者の料理
    評価に経歴詐称を平気でする者、力を抜いて純粋に美味しい
    ことをしようよと言いたい。本の中に書かれているいくつかを
    抜粋すると151ページ、155ページ6行目〜、不味い惣菜、
    164ページ7行目〜、不味いライスカレー、以上の箇所に、
    私が普段から感じていることが書かれてあります。

9月13日、食べるアメリカ人。
  • 大修館書店発行、生活文化ジャーナリストの加藤裕子さん
    著書の「食べるアメリカ人」を読み感じた事は、世の中には、
    胃袋を無闇に満福にする種族と栄養を補給する為に食べる
    種族、そして、五感を使って食べて美味しいという感情表現に
    喜びを感じる種族に別けられる。「価値観の違い」の一言で
    片付くのだが、それも人其々である。アメリカが開拓時代から
    食べる事の変化は良し悪しは別として考えなければ行けない
    ことが「食」という身近な切り口から書かれています。
    その中に[甘いもので癒される]というのがあり。コンフォート・
    フード(心を癒す食べ物)があり様々に色々な食べ物がある。
    その中に、アイスクリーム、チョコレート、ドーナツなどの
    甘い物も一角を占めていて。このお菓子の類が2001年の
    同時多発テロ事件や不況に苦しんだ1992年に消費量が
    増えたとあり、困難を抱えている時や大変な時に甘いもの、
    という図式があるのではないかと書かれてある。私は
    ドルチェを簡単に済ましています。あの、デザートは別腹の
    感覚が良くわからないのです。会話が弾み、味わって食べる
    事で血糖値が少しずつ上がり、胃袋の満足感は頂点に、
    あとは頭の中の満足感を得るため、さらにデザートを胃に
    押し込め安心しているような気がします。癒しは他から与え
    られる物でリラックスは自ら作り出す事であると考えている、
    私はお節介な料理は好きになれないし、誤魔化すような
    料理を食べる気にはなれない。ちなみに、トレ ペッシィの
    デザートは季節の果物のシャーベットにアイスクリームを
    素材の味わいを損なわない程度に、ほんのりと甘く感じる
    くらいに作っています。しかし、コーヒーが食事の締めくくり
    という位置付けにしている私は、なんといってもコーヒーで
    ある。デザートがなくてもコーヒー、このような味わいを
    他所では味わう事が出来ないと思っています。
    コーヒーだけでも味わいに来てください。

7月30日、トレ ペッシェ改め、トレ ペッシィ。
  • 店名をわずかに変えます。チョット恥ずかしい話なのですが、
    複数形にしなければいけない所を見逃していました。語学力
    のとぼしさが露呈してしまい、恥ずかしい限りです。

7月9日、気に入った車がない。
  • 我が愛車のVIVIOも11年が過ぎオイル漏れに始まり、修理を
    しなけばならないのを、応急手当ですましています。フィアット
    のチンクェチェントにローバーミニのようなシンプルな3ドアHB
    が見当たらず、使い勝手の利便性を優先する4ドアが支流で
    あり少々残念な思いがします。遊び心やセンスを感じさせる
    道具には使いこなす楽しさと所有している喜びがあるのだが
    便利さと効率を追求していくと、どれも同じに見え、つまらなく
    なります。
    BSE(狂牛病)騒ぎの後に、一部の酪農家に安全性に対する
    意識が変わり、今までの効率重視から粗飼料に切り替える、
    その事で搾乳量は減るが、一方で飼料代や獣医師代が減り、
    経営は黒字になるのだから皮肉な事である。本来は季節に
    より食べている草が違ってくるので、味わいや色が変化する。
    この変わるが自然であると思うのだが? わたしは新篠津の
    妙護寺農園の卵で料理を作っていますが。これも季節により
    餌が変更するので黄身の色が変わります。こうゆう事から
    季節や相手のメッセージが伝わってくるのも料理を作る喜び
    だと考えます。無味乾燥な大量生産の売る事だけが目的の
    料理や説明がなければ成立しない料理の美味い不味いの
    評価を見るとボキャブラリーのセンスや見識に「それ変」と
    言いたくなる。

6月12日、受動喫煙防止。
  • 受動喫煙の防止義務に関する話題が少しづつ出てくるように
    なりました。飲食店も防止措置が必要な場所ですが。新聞の
    中に丸の内ビルの現状が書かれてあり、3月のまとめでは、
    41店舗のうち全面禁煙は5店、昼食時のみは5店だけ。
    東京ですらこのありさまでは、地方都市の状況は苦労が多い
    のも当たり前。売るためのマネージメントが、喫煙OK方向で
    なければ売上が達成できない現状では仕方がない。食べる
    ための環境を考えれば、喫煙はあくまでも個人の趣向の
    問題である。一人だけでジックリ味わって欲しいものである。

5月21日、ウッドベースをいただく。
  • 懇意にして頂いているお客様が有線ではなくCDが音源である
    事に気づき音楽の話題になる。私は比較的にリズムラインを
    聞いているので、ウッドベースが一番お気に入りの楽器です。
    何やかやと音楽談義をしているなかで、倉庫に眠っている
    ベースの事を思い出し、使うなら譲っくれるとの事になり、店で
    頂く事になりました。スタンドを買い、セラーの前に飾り、
    その日はつい嬉しくなり、ジャズを聞きながらワインを片手に
    ウッドベースとワインを眺めながら、一人で悦に入っていました。
  • 私はウッドベースやワインで、癒されたいとは思っていません。
    幸せな気分を味わうための努力は惜しまないし、料理を作り、
    食べる喜びを味わう方法も知っているつもりです。しかし、
    知識と思考は次から次へとどまる事を知らない。覚えては忘れ
    の繰り返しに業が煮え、物の裏側にある真意を探れずに悶々と
    する。私の中にある、類を見ない非凡な才能は・・・・・・・・?
    癒しは他から与えられるもの、私は自ら充実感を得る事の方が
    大事であると考えるのだが。しかし、流行が嫌いなヘソ曲がり
    オヤジが「癒し」に抵抗して、やかましいことを言っている。

4月7日、アトムの誕生日。
  • 移転をしてから3ヶ月が過ぎました。不具合の調整に、追加の
    工事がほぼ終わり、コーヒーの焙煎は香りのパフォーマンスが
    もう少し欲しいぐらいのレベルになりましたが、よりいっそうの
    改良を思案中です。無理をしての移転でしたが、大きな窓と
    南向きの店舗なので、日々のうつろいや季節の変化が感じられ
    気持ちよく仕事をしています。前の店は隠れ家的な雰囲気で
    それはそれで良かったのですが、精神的に今の店のほうが
    楽です。しかし、お客様の支持がなければ何も意味がない
    のですが。
  • 北・中部のワインリストもほぼ出来あがり、後は、ネッビオーロと
    サンジョヴェーゼで5千円位までの抜栓価格の充実をしたいと
    思っています。最近は南のワインの試飲をしているのですが。
    ジャミーなワインが多く、赤玉ポートワインの味わいを思い出し
    てしまいます。中には、ブドージュースにアルコールが添加して
    いるのではと感じさせられるのですが。しかし、残存糖分が
    ゼロでドライなワインになっています。果実味が濃いと表現を
    すれば良いのでしょうが。野太いパワフル感はうまいと
    思わせるが飲んでいて楽しいとは感じさせてはくれません。
    悶絶しながら、しばらくはワイン選びを楽しむことにします。
  • この日は、私の心の中に残っている人の命日です。アトムとは
    何も関係がないのですが、二十歳前後のまだ、青臭い事を
    信じていた自分を勇めてくれる人でした。心を通わすにはとても
    時間がかかる事と、事の真偽のあり方は自分に嘘をつかず、
    素直に進めば良い。このような事を、まだ、小さかった彼に
    教えられた思いがします。彼が思いをうまく伝えられない事と、
    理解できない私との間にある、溝は埋める事が出来ません
    でした。ロボットならば、燃料を充填すれば動き出すのですが。
    食べる事を単純に食らうとは考えていない私は、美味しいの
    一言ぐらいは言わせたい。せめてそれぐらいは伝えたいと
    思うのだが、難しい、しかし、感情と意思の疎通これがあるから
    料理は面白い、ファーストフードやコンビニ弁当にはない、
    味わいがそこにある。彼との意思の疎通はうまくはいきません
    でしたが。只に食うでは人生に面白みがない、しかし、そこを
    もう一つ深く考えさせられるのが、彼なのです。

3月6日、レストランの格付け
  • 先月のニュースに『仏の三ツ星シェフ自殺 格付け落とされ?』
    著名なシェフが猟銃で自殺しているのを発見された、フランスの
    レストラン・ガイド「ミシュラン」と「ゴー・ミヨー」の評価の格下げ
    で落ち込んでいた。その事が原因ではないかと憶測されるが、
    夫人は「過労が原因」と説明し、真相は明らかになっていない。
    評価のために料理を作っているわけではないと思うが、ガイド・
    ブックの内容はやはり気になると思います。一方でパリ市内の
    数あるレストランから値段の手ごろさと、彼らの舌で選んだ千店
    を並べた特別号を出す雑誌が注目を浴びている。才能で料理
    を作っているシェフを創造性や斬新さを見極められる人達が
    評価し知らしめてもよい。しかし、一方で素材の良さと工夫を
    考えた料理を日常の中で作っている料理人を、それはそれで
    見い出しても良いではないか。食材を買出し、下ごしらえをし、
    自らのソースで料理を作る、一連の作業は特別の事ではない。
    ミシュラン信奉の片方にあっても良い、基本をわきまえた手を
    抜かない、うまいと思える料理を出す食い物屋を選び出す。
    基本的な美味しく食べるという感覚が根付いているからこそ、
    スローフード運動やフーディング〔食[フード]と感覚[フィーリング]
    を合わせた造語〕といった活動が始まる。これらの食べるという
    執念にも似た行動力には、敬服するばかりである。
  • [ミシュラン][ゴー・ミヨー]などのガイド・ブックは長年かけて作り
    上げてきた信頼性が支持されていると思う。そして、雑誌ノバの
    編集者たちも今の閉塞した現状を的確に捉え、新しい提案を
    打ち出している事が読者の支持を得られているのではないか。
    そして、日本にもこのようなムーブメントが起きてくれることを
    願わずにはいられません。

2月14日、増える肥満児。
  • 知らない間に文字の大きさと段落を変更したようで修復に
    手間取りましたが2月13日ようやく復旧しました。
    自分で変更した覚えがないのですが。自らのチェックを
    怠らないよう心がけます。
  • 新聞の一面記事に”増える子供の肥満”について書かれてあり
    それは、小さい頃からファーストフードを食べる習慣があると、
    小学4年生で肥満にある確率が、規則的な食習慣を持つ子と
    比べると最大で倍近くにのぼる。子供は弱い分、社会の歪を、
    まともに受けやすい。このような内容なのだが、私の体験の
    中から一つ、未就学児童一人に親二人があるラーメン屋で、
    子供が「このラーメン美味しいね」の一言に親は満足げでいる。
    しかし、味の素ティースプーン2杯に、塩辛くて飲めないスープ、
    一面に張り詰めたラード、今時の流行りの味であるが。
    高脂血症、塩分の取りすぎから、高血圧になり、脳卒中に、
    これでは生活習慣病になる危険性が高くなるばかりであるし、
    味の素の強い刺激で味覚音痴になる可能性があり、本人の
    自覚に問題がある。しかし、四季折々の野山や海の幸に
    恵まれた日本に暮らしているのに、季節感や素材の味わいを
    無視するように塩辛く、そして、うま味調味料で手抜きをする。
    食育という、美味しい物を食べる教育をしなければいけない。
    言われ始めているのが、わかるような気がします。それに、
    無知な食生活は、結果として食べる楽しさの一部に制限を
    受ける。自ら食べる楽しさを放棄する事が私には理解が
    できない。

1月13日、TVタックルを見ながら。
  • 今日のTVタックルは”食卓の安全危機”、番組のトークの中で
    無農薬に有機栽培のことに触れた場面で、「コストが高く、
    ほとんどありえない」 と発言があり、そのとうり
    と思いました。
    オーガニックに関しても、どこで保証をしているか不思議な物が
    あるのには、今だ驚かされますし。減農薬に関しても基準が
    どこにあるのか解からないのも困ったものです。そう言えば
    三笠の山崎さんとワインに関する話の中に消費者に対する
    生産過程の説明責任を果たさなければいけない。しかし、
    スタンダードがないと、それには私も同感である。それならば、
    農薬の使用理由と使用量を明確にする、単純に減農薬ですと
    表示するよりよい、しかし、基準がないだけに少ないのか
    多いのかが一般に解からないのが困った事である。
  • テッレ ディ ズヴェーヴィ社のアリアニコ 99を飲みながら書き
    込みをしています。味わいは、今の私には評価しようがく、
    それはまだ渋く未来を予想させてくれるもを見い出せない
    からです。しかし、心は揺すられマッタリとした時間を
    楽しんでいます。

2003年1月4日、コーヒー豆とアマローネの試飲
  • スペリ社とマージ社のヴァイオアルマロン、2つのアマローネの
    試飲を終えての感想、バリック(225L)で熟成させたワイン
    はヴィヴィアーニ社のアマローネもそうであったが、とにかく
    すぐ飲める状態である。しかし、フスト(700L)そして、大樽に
    なるにしたがい瓶熟の時間が長くなり、私の記憶にある大樽で
    熟成された味わいは、樽が小さくなるにしたがい貴腐菌の
    影響が元々あるナッツのような香ばしさに花を添えたような
    印象からシナモンやクローブのような香辛料の複雑で優雅な
    柔らかさが加わりそれぞれのアマローネに独自な個性が
    展開されています。
  • 店舗移転の間に多少の時間があり、三笠の山崎さんにワイン
    の話を聞きに言ったりと普段の平日に出来ない事をしていた
    中に、藤の蕎麦を食べに行ったことがあります。ご主人は
    年齢を重ねていることは当然として、蕎麦の味わいが変わった
    ような気がします。挽ぐるみの蕎麦はボソボソした味わいに
    なりがちなのだが、円熟した蕎麦打ちとはまさにこのことでは
    ないかと思いました。しなやかな歯触りに喉こし、無駄のない
    味わいは枯れていて、なお、輝きを失っていない感じを受け、
    ここにも職人の息吹を感じ取ったのは言うまでもありません。
  • コーヒー豆の焙煎には去年、都市ガスから天然ガスに変わり、
    今までの技術が通用しなくなったことである。これには本当に
    悩みました。現在はプロパンガスで今でも多少悩んでいます。
    ガスが燃えるのは、酸化燃焼をさせることです。天然ガスは
    都市ガスより水素の数が多く、燃焼するまあでの時間が長い、
    プロパンガスは炭素の数が都市ガスより多く二酸化炭素を
    多く排出する。これが焙煎する時のプログラムに影響を
    与えるようです。とにかく香りが立たない、しかし、自然な
    甘さとココアのような味わいがぶれなくなりました。この香りは
    私の焙煎するコーヒーの特徴で、他では真似の出来ない
    味わいであり、多分このようにコーヒー豆を焙煎している所は
    ないと思っています。しかし、この悩みは当分続きそうです。

12月30日、今年の営業が終わって。
  • 今年は食品に関わる事件が多い年であったにもかかわらず。
    スーパーやコンビニに並んでいる加工食品に明らかな変化が
    見られないのは少々残念な気がします。 その中で、私の
    ワインアドバイザー的な存在の菅原氏の紹介による、三笠市
    で農業を営んでいる山崎さんが今年からブティックワイナリーを
    稼動させ、初年度にもかかわらず天候に恵まれ穣嬢の滑り出し
    を迎えることが出来たとの知らせに、おじゃまをすることに
    なりました。山崎さんはブドウを作って売るだけではなく、
    先にあるワイン作りにまで関わり合いを持ちたい、ワインという
    結果に自ら責任を持ちたい、その思いがどんどん大きくなり
    ワイナリーを始めたと語っていた。私が感じた事は、
    このブドウはワインになるために育ているにも関わらず、
    こうゆうワインになってこれでいいのかとの思いと、色々な
    疑問を抱いたことが言葉の隅々に受け取られました。料理に
    関わる者としてレシピの内容や使う食材の目利きには、
    いつも自分の力量が出ると考えています。しかし、市販の
    ソースに出来合いの食材をただ合わせたものを料理を
    作ってますと言えるのか?芸術的なセンスで料理を作り
    演出している一部を除き、人間はなぜ食べるのか、なぜに
    美味しい思いをしたいのかを考えると、私は手を抜かない、
    勝ち組みに入るだけが目的ではないからとしか言えない。
  • 山崎ワイナリーでは、2003年4月よりワインを売り出す
    予定でいるそうです。 ピノ ネロ(ピノ ノワール)のワインが
    好きな私が、山崎さんに興味があるのは、まさにこのブドウ
    から造られるワインがあるからです。 それも補糖せずに発酵を
    出来る糖度がブドウに備わっているとの説明に、思わず
    嬉しさがこみ上げてきます。バレルからの試飲はたいへんに
    満足できました。4月の売り出しが待ち遠しいほどです。
    8月にはバリックで熟成をしたワインも出来上がるそうです。
    待ちに待った北海道のワインをリストに書き加えることが
    出来そうです。

12月23日、24日オープンできます。
  • なんとか24日オープンできます。後半に色々なトラブルが
    重なり一日ほどずれるのではないかと思われたのが、
    昨日今日で香辛料ラックにビネガーとオリーブオイルなどを
    入れるかごをうまく納め、使い勝手を以前の状態に近づける
    ことが出来ました。これからも、なお、いっそうの努力を
    重ねていきますのでよろしくお願いいたします。

12月15日、一時休業の翌日。
  • 四年半の営業を昨日終える。しかし、新しい店舗も大工仕事が
    終わり20日には引渡しが行われる予定です。確認作業や
    移転のための作業に追われ、感傷に浸っている間もない
    くらいです。今まで、当店を支えて頂いたお客様には感謝の
    気持ちでいっぱいです。これからも、 自分らしさを忘れずに
    美味しい仕事をより楽しく、そして、伝えていきたいと思います。
  • オープン予定は24日です。変更があれば、書き込みをします

12月3日、大江氏の講演とラーメン、うどん。
  • 11月27日の読売新聞に大江健三郎氏とアマーティア・セン氏
    の講演の記事が書かれてあり。その内容は■自立した精神と
    モラリティの再建-人間の尊厳のためのに■である。日本人は
    自立した精神とモラリティの危機あると大江氏は意見を言って
    いる。自立した精神にモラリティは確かに少ないと思う、売る
    ためなら嘘も平気でする人たち、辻褄の合わない能書き、
    スペシャリストでない所からの情報など孤立無援なものは
    山ほどある。これ以上書くと自分の仕事の愚痴になるので
    やめますが。最近来てくれたお客さんとの会話の中に、
    なちゃてイタリアンという話題に、味の素ティースプーン2杯の
    ラーメンとカップ麺は体力勝負で食べられるというもの、
    少数でしょうがこうゆう風に感じている人もいることも事実
    なのである。
  • 東京は恵比寿にある九十九ラーメンが最近札幌にオープン
    しました。知り合いからトンコツラーメンが美味しいと聞かされ
    ていたので食べたのですが、最初はトンコツ臭さが目立つの
    ですが、高菜漬けを入れるとこれが美味い、スープをほぼ飲み
    尽くすが不必要に水がいらないし、うまみ調味料の不快な
    後味がない。しかし、某雑誌のランキングには上位には
    入らないだろうな。
  • うどん屋さんを一軒、ここもお客様に教えていただいたお店で、
    2条市場の近くにある”ほし野”京風うどんを出しています。
    不用意にお湯のようと感じた出汁は、後から徐々にその上品な
    味わいと香りを楽しませてくれます。2回目は心構えが出来て
    いたので五感を十二分に刺激されました。

11月19日、移転が決まる。
  • 移転先が決まり、本日契約を済ます。色々と問題がありました
    が、ここは、前向きな考え方しようと思い、ワインが増えすぎた
    ため、店内にワイン保管場所を設けること、通りに面した1階で
    店を探すことを条件にした結果です。駐車場は現在は
    ありませんが、確保はしたいと考えています。
  • 一番頭が痛い事は、たばこです。今までも、禁煙と言う事で
    帰られたり、2度目の来店がないことはありました。今度の
    店舗は煙草を吸えるスペースを作れとか、喫煙席を設けると
    お客の入りが違うのにと忠告をされるのだが、
    心中は複雑です。
  • 移転場所は中央区南4条西9丁目です。4条通りに面した
    中央消防署の東側の中ほどに位置しています。
  • 現在の店舗は12月14日まで営業をし、移転先では
    12月24日オープンを予定しています。
  • それにしても喫煙、個人の権利に嗜好品、そして喫煙の「害」、
    自ら美味しく食べる権利を放棄したような気がしてなりません。
    ようやく、歩き煙草を禁止する条例が施行されたり、先生の
    学校での禁煙を和歌山県の公立の小、中、高校と宇都宮市の
    小中学校で実施される、このようなに新聞に載っていたのを
    読むと時代の読み違いをしている自分がいるのか、
    どうかが解からなくなります。

11月6日、ワインの試飲。
  • ヴィヴィアーニ社のヴァルポリチェッラ クラッシコ SPLは
    アマローネが事のほか好印象であったので、その下に位置
    するワインへの味わいの興味と、双方の位置付けを確認する
    事が目的です。モルガンティ社のネロ ターヴォラは南部の
    ワインをリストに加える目的でした。南部のワインは果実味の
    大変豊かな香りと味わいに重点をおいた作りに変化している
    とは感じていたのですがネロ ターヴォラも今風の色も濃く香りと
    味わいが共に濃厚です。バリックでの熟成は、果実味の押しが
    強く残存糖分が多いワインの熟成には向いているような気が
    します。ステンレスタンクや大樽で熟成したワインを試飲した
    記憶と照らし合わせてみましたが。定価は500円ほど高い
    設定で当店での抜栓価格は2,600円を予定していますが。
    価格と品質のバランスを考え合えてリストアップしようと
    考えています。それとヴァルポリチェッラなのですが、
    アマローネ トゥリパーノ ネロの思わぬ出来にアマローネに
    対する考え方を多少変更したくらいです。結果は予想したより
    全体の構成が上品で無駄がなく、とてもすらりとしていて
    優雅な印象です。ワインは特徴的なナッツの香ばしさ、
    クローブのようなスパイシーな香りが印象として強いのだが、
    これらは全体の中で強く主張することなくバランス良くまと
    まっていると感じさせられました。しかしながら、一番強く
    感じたのは、アマローネとヴァルポリチェッラのこれからの
    方向性を暗示しているような気がするのと、テデスキーや
    マージのアマローネに以前ほどの気持ちの高鳴る感じを
    覚えづらくなっていたので、その事からも、造りが変化して
    いる事に気づかされるます。
  • この2本のワインは偶然に二日間空けて試飲したのですが。
    南部のワインのアマローネ化とアマローネの時代の変化を
    感じさせられたのは私だけでしょうか。

10月30日、暮らしの手帳のリニューアル。
  • 暮らしの手帳が来月の301号から「商品テスト」は食の安全
    重視にリニューアル、消費者の立場に立ってきちんとモノが
    言える雑誌が必要とされるはず、原点に返り誌面を刷新する。
    これまで、食品のテストは単なる食べ比べにとどまっていたが、
    今後は安全性に注目し、消費者の目をごまかす商品を
    告発する。逆にきちんとした作り方をしている商品を
    企業名入りで紹介するという。
  • 勇気ある内容の雑誌がいよいよ出てきますね。添加物の
    使われ方に、目先のことにとらわれたとしか思えないような
    商品があり、アミノ酸や香料にもっともらしい○△エキス、一つ
    一つ上げると切がありません。製造する過程で、なぜ添加物
    が使われるのか、どうして混入するのかを検証することで、
    食品の成り立ちと意図が解かり、美味しい食べ物を売って
    いるのか、売れる商品を作っているのかが解かる。たとえ、
    大量生産された食品にも、作り手の気持ちが伝わってくる
    ことがある。だから、私は些細な食べ物であっても「美味しい」
    と心の中で聞く、すると、不思議と答えてくれるものです。
  • 添加物に関することでもう一つ、うまみ調味料(味の素など)も
    立派な添加物である。昆布のうまみ成分の主要な部分で
    あるが、その他の遊離アミノ酸との結合やミネラル質の影響が
    味わいを左右する、だから、利尻昆布、真昆布、羅臼昆布の
    味の違いがあり、料理人の考え方や味の方向性の持って
    いき方により使い分けをしている。-ある店での客と主人の
    やり取り「今日の出汁は昆布が利きすぎて味の素臭く
    なっちゃた」、堂々と言う主人に素直に聞いている客に、
    私は食べながら、おもわず、味覚音痴と心の中でつぶやく。
  • 新聞の記事の中に「ものづくり大国」復活へ長い道のり、
    この中で技能五輪のメダルが70年をピークに獲得数が減少し
    ている。これは、一時ものづくりを軽視したため、その反省から
    技能五輪での実績は、その技術の裏付けである。そこで、現場
    作業を強化し競争力を高め、技術を伝承していく、そのことが
    いい製品を作り出すことにつながる。 おおよそ、このようなこと
    が書かれてあった。食品卸売りのカタログには、最終加熱を
    するだけで出来あがる商品が実に沢山あります。料理の
    構成や組み立てを考えても料理そのものを作らない料理人。
    まさに、技術を磨くことより売上目標ありき。あるテレビ番組に
    難波のご飯焚き名人の紹介の中に、そこのご主人は「私は米を
    炊くしか能がないから、あたりまえの事をするだけ、
    「何もコダワリはない」と言っていた。米を炊くだけでほかの
    仕事は一切しない、それには意味があり、お米を研ぐときに
    他の臭いを付けたくないとの配慮からが本心ようである。
    ご飯一つで気持ちを伝えられる。私も、このような職人に
    ならなければと思いました。
  • スローフードがどうした、こうしたの話題が増えてきました。
    その中に、スローフードの意味を理解しているとは思えない
    ものがあります。流行り文句のキーワードとして使っているの
    ならば、その事で売上が上がるのでしょうが。スローフードの
    考え方の原点を考え合わせればこれでいいのか考えさせられ
    ます。私はスローフードの協会員ではありません。多少の本を
    読んだくらいと、ホームページを年に数回チェックをする程度
    ですが。運動が始められた経緯と内容ぐらいは理解している
    つもりです。食べ物に関わる人間として、売るためだけの仕事
    (料理)には、これでいいのかと考えさせられます。

10月15日、リンク集を作る。
  • 少しづつですが、リンクをしていただけるサイトが増えました。
    そこで、10月に入ってからイタリアに関する情報や資料として
    役立つサイトを探してリンクを張ることをお願いしたところ、快く
    応じてもらいテーマページを一つ増やすことが出来ました。
    それにしても、探すと沢山の情報を公開しているサイトの
    管理者には頭が下がる思いがします。こうした充実した内容の
    ページを見せられると、このページがきっかけでイタリアワイン
    に興味を持ちましたと言われるような充実した内容にして
    いかなければと思いました。
  • お、このページからリンクしていたURLは
    リンク集へ移動をしました。

10月6日、アマローネの試飲。
  • Viviani Amarone della Valpolicella Tulipano Nero
    (ヴィヴィアーニ社 アマローネ トゥリパーノ ネロ)の試飲をする。
    アマローネは魅惑的でロマンチックな印象が私は好きです。
    ヴェネト地方にも凄惨な出来ごとがあったにせよ、どこか全体
    がロマンチックなラブストーリーや貿易がもたらす異文化の影響
    が中世にそのまま止まったようでいながら、コンテンポラリーな
    印象があり、ワインにロマンチックなストーリーを私はつい求め
    てしまいます。アマローネはアルコール度数が高くそれを、
    嫌う人もいますが、むしろ、私には独特のほろ苦さと、甘く感じ
    る印象とのバランスがアマローネの個性だと考えています。
    トゥリパーノ ネロとは「黒いチューリップ」の意味で、
    科学的にも作り出せない色だそうです。私がチューリップから
    想像することは、語源の由来である回教徒のターバン、そして、
    盛んに栽培しているのはプロテスタントの国、オランダ、と
    なれば、カトリック者としてのアマローネのグローバルな
    味わいを追求しているのかな?香りはエーテル香のアタックが
    まだ強く、1年ほどで落ち着くと思われる、始めは洋ナシと桃の
    香りがカシス、桑の実の香りへと変化していきます。それらは
    ゆっくりと徐々に上品な優雅さを携えていくようです。シナモン、
    アーモンド、クルミなどの香りは、微笑みかけるような上品さが
    あり。アマローネらしい味わいは冷静さを伴ってけして熱く
    なりません。試験的に色々な試みをしているようで、これからが
    楽しみです。どうも、クインタレッリの弟子と伝え聞いているの
    だが、ならば、ダルフォルノ ロマーノのアマローネを
    味わってみたい。しかし、札幌にはない。

  • スペリ社のアマローネ88は私としては期待はずれでした。
    97を少し多めの在庫を考えていたので、新ためて
    アレグリーニとスペリの試飲のし直しをすることにする。

9月28日、週刊誌の気になる記事から。
  • ある週刊誌の巻末の特集記事のテーマは二週間に渡り食に
    関わること、先週は飽食の危機について、今週は自分の
    舌よりTVの情報であった。コンビニ弁当、ファースト フードに
    人工的に作られたうまみ調味料で味付けされた料理、たくさん
    売って多くの利益を上げることを否定をするつもりはないが、
    食べるという本来の目的から逸脱していると感じられ、考えさせ
    られます。情報は正確に、そして、一方に組しては行けない
    のに、それらを発信している側に取材したままを文章に書く
    ことは出来てもスペシャリストとしての知識、意見や問題提起に
    首を傾げるものがあるのに、今回のジャーナリストとしての
    山下柚実さんの記事には、同意が出来るし、このような内容
    にはもっと多方面からたくさんのアプローチがあってもいいと
    思っています。私は食べる事は楽しさであると考えています。
    どんな簡単な食事でもその場で出来うる最善の料理を考える
    ようにしています。だからこそ、目に映るもの、香り、手に
    触れる感覚、皮膚に伝わる感触、音、舌触り・口の中の
    ボリュームに喉越し後味と鼻腔に戻るアフターティストに至る
    食感それらを大切にすることが豊かな食事と考えています。
    最近の私は胃袋ではなく頭で食べている事が多く、たとえば、
    相生坊の二枚のセイロは満腹感はなくとも満足感と幸せな
    気持ちにさせてくれます。
      ついでながら、先ほどの山下柚実さんが主催している
    五感生活研究所なるものがあります。「五感/感覚」を
    生き生きと使 って生活していく情報や生活術を発信して
    いる所です。アドレスは「www.yuzumi.com」です。

9月7日、分煙社会をめざす会。
  • 先日、北海道・分煙社会をめざす会の札幌担当の方が
    「空気の美味しいレストラン」北海道編への掲載を申し込ま
    れる。私としては、大いに賛成なので承諾をする。このような
    ボランティアには頭が下がる思いがします。
  • 新聞のコラムに「日本人に肥満の怖さと予防を説く」
    *ステファーノ レスナーさん*生活習慣病をもたらす肥満。
    太るのは、基本的には脂肪の取りすぎが原因で、脂肪には、
    食べつけると癖になる面があるという。「脂肪や糖分の多い
    食品に課税するのも一つの方法」と乗っていました。
    ファスト フードの人工的に作られた濃い味付けと過剰な塩味、
    ラードでコクを作り、フラットな味のスープにティースプーン二杯
    のうまみ調味料で仕上げられるラーメン。お腹を満たす物

    なのか料理なのか、食欲という欲望を満たされた時の幸せな
    気分を感じたい。能書きはどうでもよいから、うまい料理を
    食べたい、どうか煙草の煙よ幸せな気分を壊さないで。

8月30日、賞味期限切れと偽りの産地。
  • 昨日の新聞に人気ラーメン店「スープや具 産地偽る」、黒豚の
    味と国内豚や冷凍の輸入豚の味の違いがわからないとは
    情けない。私の実家の家業は八百屋、その日の仕入れには
    ことさら神経を使います。隣り合わせの産地なのに評価が
    違っていたり、天気の状態で名産地から出荷されるものでも
    高値がつかないことがあります。その年の作付け面積や
    天気の長期予想、収穫の天候、品種の変更、下見その他の
    色々な情報を整理しながらセリに参加します。とにかく
    目利きがどれだけ出来るかは、情報の整理と直感力に
    あると思っています。だから、拡充をしていくならば、食材を
    どう確保するか、常に新たな食材をいかに探すかに
    苦心しなければいけないのに、安易ですね。
  • 雑誌や新聞などにある、ショップの紹介の中に出てくる食材の
    内容に疑問を感じるものがあります。取材をする側に専門的
    な知識を持っていれば正しくない情報が、あたかもそうで
    あるかのように伝わらないはずですし、結果的に間違った
    情報が伝わるのではないでしょうか。しかし、いまだ私も
    食材の知識や目利きは教えられることがあります。職人は
    一生涯勉強であると、言われるのもこのことだと思います。
    技術的なことも付け加えて。

8月28日、禁煙サークルより。
  • 禁煙にしている店のデーターベースを作っている会より登録の
    お誘いがあり承諾をする。こうした活動は、今後も益々盛んに
    なってほしいです。
  • 会の名称は「禁煙サークル[CLEAN-AIR] 」といいます。
    そこからリンクされているページには廃煙、嫌煙権から
    禁煙サポートなどの見所があります。それにしても
    嬉しいですね。
  • 美味しく食べる環境、それに、食べることと健康であること、
    このページの中で何回か、取り上げました。そういえば、
    師匠に言われた一つに「プロは結果がすべて」このことは、
    出来上がった一枚の写真に評価がどうされるかにある。
    作者の思い入れや苦労話は自分の中にあり、写真の中に
    ある被写体が映し出された姿がどのよにして見られるかに
    あると、私はそう理解した。こだわりを色々と言うのは結果
    責任を少しでもカモフラージュするための言い分だけで
    あると私は考えます。美味しく食べて頂くために、材料を
    吟味する目利きを養い、料理をする腕を磨き、綺麗に
    しつらえたテーブルを用意し、気持ちよく食べて頂く、
    これらを持続し、より確かなものにしていくのが料理人の
    仕事であると考える私です。

8月21日、札幌は喫煙率が高いですね。
  • 少しづつ広がる禁煙場所、確かに愛煙家にしてみれば肩身の
    狭い思いをしていると思うのだが、少し考えて欲しい、
    不特定多数の人たちが集まる場所での煙は避けることが
    できないということである。嗜好品であるならば特定の場所で
    楽しんでほしい、それに、本当に喫煙を趣味にしている愛好家
    がどれだけいるのだろうか。吸い初めの動機を考えると、
    かつての私もそうであったが、たいした理由はなかった。
    タバコで困難を乗り越えるアイデアや新しい発想が生まれる
    だろうか、すべて否定をできいないが、今の私なら美味しい
    一杯のコーヒーが気持ちをリラックスさせてくれたり、気分の
    転換を図ることが出来る。タバコは百害あって一利なし、
    病気にはなっても人生は変わらない、と考えるのは
    私だけでしょうか。
  • 喫煙に関わることがもう一つ在ります。店の場所を移ろうかと
    考え、とりあえず、この場所を紹介してくれた不動産業者に
    相談した中で「まだ、そんなことしているのか。」の一言、認識の
    ズレを感じずにはいられないのだが、美味しい食事に煙草の
    煙、この取り合わせはどう考えても一致しない私。
  • マナーとは、エチケットとは、ポイステに唾吐きは何気に在る
    風景?。犬や猫と一緒に生活が出来るのに、これらの人とは
    私は同じ場所にいられない。いや、少しは我慢が出来ます。

7月30日、ちょっとうれしい出来事、そして。
  • 最近来店してくれるお客様との何気ない会話の中から、
    当店のエスプレッソがおいしいのでマシンを買ったとのこと、
    コーヒー豆を自家焙煎していることを知らずにいたために、
    当店が、どこの豆を使っているのか気になっていたようである。
    過去にも2名のお客様がエスプレッソマシンを購入したことを
    知らされれていたので、嬉しい気分にさせられます。それと
    コーヒーが飲めない、もしくは、飲まないという人にも、ここの
    コーヒーなら飲めると評価されるのは、もっともっと工夫を
    重ねてより多くの人においしく飲んでもらう努力をしなければと
    励まされる思いがします。しかし、わざわざコーヒーを飲みに
    来るお客様がいないのも事実です。 さびしいな
  • このお店も、オープンして5年目を迎えました。相変わらずの
    低空飛行でこのままでいいのかという思いでいます。それと、
    冷暖房費の値上げを一方的に通告される、しかし、一部は
    応ずる必要がないことがわかったのだが、貸主側から何も
    返答がなく、やむなく12月に契約解除をする方向で次の店を
    探そうと動き出したところです。このまま営業を続ける道を
    一応残しているのだが。でも、がんばるぞ

7月17日読売新聞の食品表示の裏側シリーズ
  • 読売新聞の生活欄のコラムに「食品表示の裏側」という連載が
    あり、私なりに思うことを書きます。6回目の香料に関する、
    缶コーヒーの香りは殺菌などの工程で、香ばしさが失われる
    ため香料で香りを再現している「香料なしに製品はできない」
    という。ここがおかしい、ぜひ、コーヒーの銘柄を表示して
    欲しい。コーヒーの品種にはアラビカ種とロブスター種があり、
    前者は産地により味わいや香りに個性があり、カフェインが
    少なく、後者は味わいや香りが乏しく、カフェインが多く、病気に
    強く収穫量が多い。ロブスターはブレンドされる時に用いられ、
    単品で飲まれることはなく、せいぜいアフリカロブスターを
    ドライな感じに仕上げるために5%〜10%混ぜるくらいです。
    私が考えるにロブスターから抽出したコーヒだから香料や
    砂糖を過多に入れた製品に仕上がるのではないだろうか。
    「自給自足の給食 注目」の中にある、冬場の野菜に
    ついても、単調になることを色々と工夫しながら献立を
    考えてる様子が伝わる思いがする、ここの小学生は
    幸せである、それと、考えてくれる人と作ってくれる人たちに
    感謝の気持ちが書かれていなかったのが残念。

7月4日どっちの料理ショーを見て。
  • この日の「どっちの料理ショー」は塩ラーメンとトンコツ醤油
    ラーメン対決、いつもながら見事な手さばきと食材に食べて
    みたいと感じさせられます。そのなか、背脂についてですが、
    食べ物が溢れている状況で肥満や生活習慣病に注意しなけれ
    ばいけないのに、あの背脂の量には驚かされました。脂の
    カロリーは1gあたり9キロカロリーあり、スナック菓子のように
    油で加工された菓子は一袋でほぼ一食分のカロリーに相当し、
    これは油が高カロリーであるからです。動物性の脂は中性脂肪
    ですから、摂りすぎは健康に悪いのに、背脂をあそこまで
    食べる理由がわからない、むしろゼラチン質から由来する
    食材でコクを与えた方がより健康に食べられるのでは
    ないかと思いました。
  • ラーメンの街札幌、その中にいて、私のように生に近い
    ニンニクに胃が焼け、ラードで胃が重くなり、ウマミ調味料
    (味の素)にめまいを感じ、塩辛いとアタマが痛くなリ、顔色が
    青くなる。しかし、このようなラーメンが多いですね、そこで
    ウマミ調味料を使わないスープにわずかなラードでコクのある
    ラーメンを提供しているお店を募集しています。私のような
    少数派が美味しく思えるお店を公開していきたいと思います。
    自薦他薦は構いません。本来であればこのようなことは私の
    ような立場にいる者がやるべきではないのだが、このような
    趣旨でのお店を紹介している雑誌やホームページがないので、
    とりあえず私が始めます。出来ることならば消費者の中から
    このような運動をしていただければいいのですが。私は
    美味しいと安全は等しいことであると考えています。しかし、
    まだまだ知らないことがあるのも事実です。食材に関すること
    ラーメンに限らず色々な料理の情報お待ち申し上げております。
    なおEメールはトップページからおねがいします。

6月22日、サッカーワールドカップの後、食品添加物。
  • ワールドカップの成績はベスト16でしたが、TVにこれほど
    までに日の丸と君が代が誇らしげに出てくるのが始めての
    ような気がします。巷の様子と言えば、国全体が老若男女を
    問わず盛り上がり、なんとなく暗い世の中に一筋の光が差し
    込んだような気になりました。海外の報道や見物客の日本に
    対する見方が好感の持てる内容が多いことも、私にとって
    嬉しいことです。ただの馬鹿騒ぎもよいが、前フランス大会で
    日本人サポータの人々の取った行動を忘れないで
    欲しいものです。
  • 世間を騒がしている食品添加物、なぜこれほどまで添加
    しなけば製品にならないのか、理解に苦しみます。食べて頂く
    お客様がいて、そこから色々なアイデアがあるはずなのに、
    最大公約数の中で作るだけ作って、ばらまくように売る、事の
    優越は数と金額だけの企業の損得勘定で成り立っている
    ようで、顔の見えない作り手と客の関係には寂しい物が
    あります。日本の食文化はもてなしの心、季節感と素材の
    持ち味をどう料理するかにあると私は考えています。合成して
    作られたウマミ調味料と香料で作られる料理は、ただの餌に
    しか感じません。豊かな味わいを楽しむ味蕾を潰し、塩分の
    取り過ぎとミネラル不足による生活習慣病の危機、食べる
    ことは生きていく為、ならば、楽しく食べたいものです。
  • 先回はタバコについて書きましたが、HTBテレビ番組の
    「情報ワイド夕方DON!DON!」では5月31日の世界
    禁煙デーの日から一年間、タバコの煙からタバコを吸わない
    人を守る分煙推進、名付けて「空気もごちそうキャンペーン」
    をするとのこと、自らタバコを吸う司会者が、愛する家族の為に
    “卒煙宣言”を呼び掛ける。タバコの健康被害は副流煙でも
    見られるくらいですし、食事する空間でのタバコの煙は料理を
    台無しにされる思いがあるのは私だけでしょうか。

6月9日金婚式のお祝いで食事会、そこでタバコが。
  • 今日は妻の両親の金婚式のお祝いをする為に、鮨を食べに
    行くと決めていたので、当日予約でしたが、さる有名店に予約
    をするが禁煙でないので煙には迷惑しました。タバコに関する
    エピソードと言えば、28年前にカメラマンを目指していた私に、
    ある縁で東京にアシスタントが決まり、そこでお世話になった
    のが菊川康男(料理を作る仕事に変化していったのはこの人の
    影響です。今でも師匠と呼び、お付き合いが続いています。)
    さんです。ある日、田舎者の私に新宿でお酒を馳走してくれ、
    最後に寿司屋へ、私は入るなりタバコに火を付けると、そこの
    ご主人がいきなり「こらボンズ何しにきた」と怒り出します。
    私は何のことやら判らずにウロウロしていると回の人が教えて
    くれタバコを外に捨てに行くこになる、後から判るのだが
    タバコの煙が鮨ネタに付くのを嫌うのが理由の一つ、それに
    食べ物の香りを大事にする心配りからと判る。その日は怒られ
    たのにもかかわらず、なぜか、鱈腹食べたことと、気分よく
    酔わせてもらったことが記憶に残っています。私は11年前に
    一念発起してタバコはやめました。それから、ここのムラサキは
    出汁割の香りもなく生醤油のように塩辛かった。
  • 8時30分からはサッカーのワールドカップ日本対ロシア戦、
    日本が有利に試合運びを進め勝ったのではないでしょうか。
    特別なサッカーファンでないが、日本人を強く意識している私に
    とっては、ただ単に勝ったと言うだけで嬉しい気持ちがこみ
    上げてきます。前のフランス大会の時、我ら日本人サポーター
    の仲間がゴミ拾いをしながら会場を後にしたことに、
    感動を覚えるし誇りにさえ思います。
  • テレビのこの日の最後は、喜劇女優の藤山直美さんを扱った
    番組を見ていた中で彼女が語っていた「お客さんを笑わせる
    為に出来ることを最大限にやる、媚びていては見透かされて
    しまう」。なるほどと思わずに入られませんでした。

5月31日、6月5日より実習生が来る
  • 某調理専門学校の生徒さんがこのホームページを見て実習
    させて欲しいとお願いされ、やむなく了承したのだが、気ままな
    一人仕事に入ってこられることが少々邪魔でもあり、面倒くさい
    思いがある。朝、卸売市場に買いだしに行くのがどうも楽しみ
    にしているようなのだが、まあよいか。
  • 本人はピッツァに多少の興味があるようなので、10日間ほど
    ホカッチャのような焼きたてのピッツァ生地をサービスで
    お出ししたいと思っています。
    興味のある人のご来店をお待ちしております。

5月30日、新聞の経済欄、増収益の秘訣味の素
  • 「世界の味」追随許さず味の素、東南アジアでの経済の
    高度成長が日本に見られたような食生活の多様化と簡便化が
    進んでいる、そのために味の素製品が売上を伸ばしている、
    企業が成功する為の戦略の秘訣がなんであるか
    書かれてあるのだが。
  • 家庭は地域社会なり、国家の最小単位であると私は考えて
    います。経済活動が活発になれば料理が簡便になる、しかし、
    手軽に本格料理が楽しめる味の素、これならば家ごとに
    違っていた味噌汁の味がどこに行っても同じになる、
    私はこれほど無味ことはないと考えています。
  • 違うからこそ相手を認められるし違う価値観を共有を出来る。
    人の手が作り上げる料理、だからこそ気持ちが伝わり作る
    満足感と食べる満足感がある、この快楽のひと時を売上の
    為なら、あらゆる戦略を駆使して取り上げて満足している集団、
    さらに食文化までも捻じ曲げてしまう、生活水準が向上すると
    レトルト食品が売れる、これでは経済活動が活発になれば
    食文化が貧困になる。料理という崇高な労働から生み出される
    「絆」を少し忘れかけていた私は眼が覚める思いがしています。
  • 味の素を悪く書くつもりはありません。私が言いたいのは
    ウマミ調味料(化学調味料)使い方に疑問があるということ
    です。料理人がウマミ調味料で作り上げた料理に自負を
    どれくらい持ているのか、それと、これが家庭の味になって
    しまうことに危機感をおぼえるのです。
  • サッカーワールドカップがまもなく始まります。色々な
    ローカルスタンダードがひと時、札幌に集まります。
    色々な習慣に色々な食生活、その違いに出会えるだけでも
    楽しみです。料理の裏側にあるあらゆる思いや工夫を感じら
    れない、鈍感な感性を持ちたくない。

4月29日、早食い大食いTV番組の顛末
  • 中学生が給食の時間に級友と早食い競争をしパンを喉に
    詰まらせ死亡、このようなニュースがありました。TV番組に
    早食い大食いを競う内容のものがありますが、特異体質を
    競うことが番組の視聴率を上げる、そのことは見る側の判断で
    よいのだが、視聴者の中には、勝ち残った人がカッコいいと
    感じる人がいることに、私は残念な思いがします。
  • より楽しく、より美味しく食べる事にこそ情熱と努力をはらう、
    そして、飽くなき探究心こそが幸せなひと時の結果に
    結びついていくものであると私は考えています。

4月18日、ラジオの中で若者の奇怪な食べ物について
  • 18日朝、あるラジオ番組の中で最近の若者の奇怪な食べ方に
    ついてコメントしていました。内容はそれぞれでよいのだが、
    最後のところでカレー蕎麦やカレーパンは昔なかった、奇怪な
    食べ物もそれにならされ、いつの間にか当たり前になると
    コメントしていたのですが、このDJの想像力のなさには
    呆れます。これは美味しく食べて頂くための工夫の一つだと
    私は思います。あるいは、想像力を膨らませ新しい料理を
    作っていく挑戦者ではないでしょうか。料理はありふれた
    テクニックでも斬新なテクニックだあったとしても一つ一つ
    積み上げていくもの、その上に料理を完成する為に食材の
    目利きがあり技術の向上があると私は考えています。人間は
    生きる為に食べる、しかし、人間には楽しくしようとする
    想像力が働く、するとそこから新しい料理が生まれ、今まで
    ある料理にも注意深い下処理を施すことで料理が見違える。
    食べなければならないのならば、美味しく楽しく食べる、
    そのための努力ではないでしょうか。どうでもいいような
    ジャンクフード以下の食べ物を評価す方がよほど奇怪に
    見えるのですが、いかがでしょうか?
  • 今週のある料理対決TVのプログラムは赤飯と散らし寿司の
    対決でした。その中に出演していた「ささ鮨」のご主人の
    掻きこみ飯の食べる仕草は江戸っ子ならではのサラサラ
    カミカミゴックン、なんとも軽やかで早食いをいているにも
    かかわらず素振りもない、歯切れの良く潔い、このように
    きれいな食べ方を画面を通して見るのが久しぶりです。
    それにしても、食べる仕草や音の質感は明治生まれの
    バアちゃんからうるさく言われたものです。

4月15日、食品の規格。
  • ようやく食品の不当表示に対しての罰則の案が出てきました。
    私が考えるに不当行為に対する罰則は見合うより重いほうが
    よい、罰金は最低額を企業の場合いは1億円にしたほうが、
    むしろやる者がいなくなると思うのですが。
  • この中には生産者の環境、飼育、生産の独自性と地域特性の
    違いによるブランド特性が盛り込まれていない、これでは
    横並び意識から来る独自性や個性は生まれてはこない。
    共通の環境を持った生産者が集まり、その集まり同士の
    考え方や仕事の取り組みで他のグループと競争をしていく、
    その土地で育つ独自な個性をアピールする事が生産者に
    意欲とプライドが持てるようになり、そのことで、魅力ある
    食材が生み出され、料理を作り出す喜びと、幅広い食べる
    ことの楽しみとなり、食文化につながて行く、私はこう考えます。

3月23日、食品の基準
  • 農畜産品の多数のすり変え事件が発覚し市場の中がかなり
    混乱していましたが、少し平静さを取り戻してきているようです。
    私がいつも感じていることは消費者が自ら安全で美味しい
    食材なり料理を食べるためのコスト負担を求めていないのが
    不思議です。TVや雑誌に紹介されている物の中にでさえ
    胡散臭い感じがすることがあります。生産者、それを仲介して
    売り買いをする業者と加工業者には色々な規制があり、
    表示義務があります。しかし、抜け道があるのも事実です。
  • 極上の一品、或いは、旬の食材を一年を通してアレコレ考え
    料理を作ることは非常に楽しいことです。この楽しい毎日の
    出会いをより確実なものにする為に、正しい知識を身に付け
    経験を積んでいくのではないでしょうか。専門の商店の
    ご主人にこのプロの目利きに信頼出来る人がいましたが、
    スーパーでの買い物では無理に近いものがあります。私でも
    まだまだ知らないことがあるのですから、消費者の立場からの
    基準造りをしなくてはいけないですね。

2月22日、待望の岩内産釣りタラコが入荷する。
  • 美味しいタラコを探して2年半、ようやく見つけました。
    スケソ鱈は日本海で延縄漁により漁獲され、岩内町で加工され
    ます。釣りタラコは船に上げるまで、ほぼ活の状態であり、
    加工場までの距離が短い為に胆汁が真子に付着しない利点が
    あります。生臭さが付いていないため甘口に加工できます。
    色はサーモンピンクで無着色です。見た目よりタラコらしい味を
    重視しているので明礬は最小限にしている為に苦味があり
    ません。タラコに香りがあります。唯一の欠点は甘塩の為に、
    冷凍保存しかなく料理の注文が入ってから少々時間が
    かかることです。
  • タラコのスパゲッティはイタリア料理に有らず、インターネットの
    中にこのようなことが乗っていた記憶があるのですが。
    シチリアにボッタルガというボラやマグロの真子を塩漬けにし、
    風干させるカラスミに良く似たものがあります。私は北海道で
    出来る仕事を一番に考えているので、有ってもいいと思って
    います。

2002年2月10日、牛肉のすり替えについて
  • 輸入牛肉を和牛と偽り、狂牛病の対策である政府買い上げ
    補助を悪用した詐欺まがいの行為、利益の為ならば、なんでも
    するという流通業者、お金の為に生きているなだから当然で
    しょうね? 以下書き出すと長くなるので要点だけ書き出します。
  • EUのようにDOP(原産地呼称)を取り入れることで、生産者の
    意欲と努力を価格に反映させる。商品を選ぶ目安にもなる。
  • 非営利団体による認定制度を充実させる、コストアップに
    なっても安心が買えるのだから構わない。
  • 以上の2点を早く整備して欲しいものです。一握りの悪徳な
    業者の横行を許さない為に、そして、安心して商品を選ぶ
    ことが出来、正しい情報や正確な知識を得易い環境を
    作ってほしいものです。

2002年1月19日、
今日の新聞の今月のテーマ、マナーはてさて食事について
  • 某新聞の1月19日朝刊の生活欄に”マナーはてさての”
    コーナーがあり、今月のテーマは食事でした。サブタイトルは
    外食 "個人の自由" 横行にムッ である。そこで私が
    バアちゃんやたくさんの人生の先輩に教わった幾つかを
    書きたいと思います。
  • ラーメン、いつの間にやら付くようになったレンゲ、右手に箸を
    左手にレンゲこのスタイル(サウスポーはこの逆)で食べている
    人が大半です。お店により、お盆に丼とレンゲを乗せて
    サービスしているところでは、レンゲが手前に置いてあるときは
    柄の方は右側、縦に置いておるときは全体を右に置いてあり、
    鍋焼きウドンもこのスタイル、水のグラスも右側に置かれ、
    サービスのしかたはこれで間違いはないはずです。左手で
    口に飲食物を運ぶ動作を私は教わったことがありません。
  • 私の蕎麦とウドンの食べ方は、一口分を摘み上げ先端を口に
    含み、次に、中ほどを箸で挟んで口に持っていきスルゥと
    食べる。もり蕎麦やざるウドンの猪口は置いたままにせず手に
    持ちます。麺の食べ方はまさに、タグルである。
  • 女優の岩下志麻さんが出演しているウドンのCMの中での
    食べ方、この方法だと汁は飛ばないはず、食べる形と音とが
    いいです。豪快に食べることと汁を飛び散らかすとは違うこと
    だと思います。
  • すすって食べるときのズッズッズという音は、私には不快な
    鼻水をすする音に聞こえます。茶道のなかで最後にわずかに
    残ったお茶は吸い切りということをします。そのときと同じ
    スゥと濁りのない切れの良い音と同じです。
  • お茶漬けと丼飯の食べ方、これが一番の問題です。江戸時代
    の庶民の食べ物から端を発し、この時代の気風が文化として
    定着していった過程があります。落語の中に、演目がわから
    ないのですが、お茶漬けを食べる場面に出てくる音は、沢庵を
    かじる音と掻き込む音、サァラサァラのポォリポォリといった
    具合だと記憶しています。また、箸をカシャカシャと器に当て
    たり、ねぶり箸(箸をなめる)はしない、これはこの時代の
    イナセな食べ方という時代の美意識だと思っています。しかし、
    この時代でも箸を持ったまま汁椀をつかみ、すするようなこと
    はしていないと思っています。最後に箸を口でくわえて片手で
    割る、これは場所や状況によりイナセになったり田舎モノに
    なったりするのでご用心。
  • 記事の冒頭に、専門家は「マナー違反は、ほかの人の楽しく
    食べる権利を奪うことになる」と書かれ、それに私が付け足して
    「食べている際中のタバコの煙も楽しく食べる権利を奪って
    いる」と続けたいです。箸の使い方に食べる作法は祝儀や
    不祝儀、吉凶など生活一般の習慣と密接にかかわっています。
    形が変わってもいい場合もあるが、積み重ねられた歴史の
    重さや美意識にまで持っていく感覚の楽しさを無視してはいけ
    ないと思っています。日本人としてのアイデンテッティーを
    大切にしたいですね。
  • 次の日の新聞に、浦臼町で農業を営んでいる折坂さんの話が
    乗っていました。ここでは合鴨農法による米造りをしています。
    合鴨は田んぼの雑草や虫と餌を食べお米と一緒に大きくなり
    実りの秋を迎え、お米は刈り取られ、そして、一年に1回の
    合鴨のごちそうを頂く日がきます。恵みを満遍なく食べ尽くす、
    無駄にしない精神と食べ物に感謝する心がいいですね。
    それにしても、都会の中のコンビニのビニール袋とファースト
    フードの袋のごみの山、食べ散らかされた料理の器の中に
    捨てられたティシュと吸殻、このような風景に出合ったことが
    あります。便利なのも良いし、自分の食べたいようにするのも
    良いが、見えなくしてください。こう考えるのは私だけでしょうか?

12月16日 T・Hさんからの紹介のラーメン屋さんに行く。
  • T・Hさんがお気に入りのラーメン屋さんにいってきました。
    住所は南37条西11丁目石山道リ沿いで、屋号は笑福です。
  • 私には、とても美味しく感じられるラーメンでした。店内に
    張られたメニュの横にラード抜きも出来ますと書かれて
    いました。スープのコクに相当の自信が伝わり、飲んでみると
    雑味なく、コクがあり味わいの全体の構成がとてもバランスの
    良いものでした。なにより、このバランスのよさが塩分を適正
    にし食べたあとに水を過度に欲しがることがありません。
  • うまみ調味料で味を作っていないのも、私には好感が
    持てました。(職人としての仕事なら当然なのですが)

12月2日TV、ダッシュ村の感想
  • この日の内容は米のもみすりと米をつく作業が映し出されて
    いた中に、太一君がこぼれたお米を大事そうに拾い集める
    シーンがありました。私の祖母にご飯ツブを残すと眼が
    つぶれると諭されたことが思い浮かび上がり、食べることに
    関する感謝の気持ち、それにまつわる色々な事柄が胸の中を
    よぎりました。一人歩きしている有機栽培の農作物や育て
    られえる環境や過程の見えない農畜産物、ただ単に捨て
    られる残り物、業務用のカタログに記載されている出来合いの
    ソースと冷凍食品、それらを使う店の考え方など。あらためて
    食べることの意味を考えさせられた日曜日でした。
  • 周りにある食材をあらためて見直すと、意味のない付加価値
    をつけた食材がいくつかあります。札幌産の伊勢海老と言うの
    があるとします。内容を見ると、影響を受ける環境のいくつか
    の条件がその物に、他にない独自性と稀な個性がありますと
    は知らせないで、イメージだけが描かれているのをいくつか
    見ることが出来ます。少しでも多く売りたいのは理解するが、
    粗末にされないような商品にしていくのが先決ではないかと
    考えますが、いかがでしょうか。

11月20日TV、鉄腕ダッシュのTOKIOの5人+1人、そして、狂牛病
  • 鉄腕ダッシュの企画の中のダッシュ村について、
    ある日の深夜、何気に聞いていたラジオからSMAPの中居さん
    の一言が気に入りアイドルタレントもまんざらでもないなと思い、
    以後はテレビも毛嫌いなく見るようになりました。しかし、
    SMAP SMAPの中での食べるシーンはプロデューサなんとか
    してください。
  • ここから以下は個人的な苦情や考えを書きたいと思います。
    • あるチェーン店のCMのなかに防腐剤と着色料を
      無くします。こんなコピーに一言、ならばパンや
      調味料に含まれている粘着多糖体を始めとした、
      肉加工品の発色剤、乳化剤や酸化防止剤を
      どう考えているのでしょうか。この時期の食べ物に
      対する不安を解消したいとの気持ちはわかるが、
      いかにも口当たりが良すぎるのではないでしょうか?
    • ワインはブドウから造られる飲み物です。今私の
      目の前には100%生ブドウで造ったと書かれた
      ワインがあります。????
    • 見ただけではわからない無農薬有機栽培の野菜と
      果物、食べただけでどれだけの違いを認識できるの
      かが疑問です。中央卸売市場の中でわずかに売ら
      れている減農薬もしくは無農薬の有機栽培野菜が
      ありますが、はるかに上回る量が市場に流通して
      います。私が疑問に感じるのは、自己申告をどこまで
      信用できるかです。
    • 仕事の内容はわからないのですが、
      北海道有機認証協会が1999年7月8日に
      設立しているはずです、相馬先生頑張ってください。
  • 狂牛病に感染した2頭目の牛が報告されました。それにしても、
    ニュース番組で国会議員が牛肉を食べるシーンを映し出して
    いましたが、それよりも情報として危険な部分と安全な部位、
    そして、その理由をわかり易く説明したほうが消費者に
    説得力があるのではないでしょうか
  • さておき、ダッシュ村の件ですが、この番組を若い人たちには
    どう見えているのか、どのように受け取られているのか気に
    なります。TOKIOの5人+1人の農作物に対する素直な気持ちに
    好感が持てるのと、無農薬栽培がいかに難しいことであるかが
    実際の作業の中でわかっていただけるかと思います。それに
    してもTOKIOの5人+1人を支えているアドバイザーの皆さんの
    経験と対処の仕方は私たちが忘れかけていたことを
    思い出させてくれるようです。周辺にあるもので自給自足の
    生活が出来るのも驚きです。

9月25日狂牛病を考える
  • イギリスから端を発した狂牛病、日本でも1頭確認され大変な
    騒動になっています。病気のことはさておいて肉骨粉のことで
    ある、牛が共食いをしているようですね。そこまでして
    生産効率を上げる必要性があるのでしょうか。
  • インスタント食品に含まれている牛肉エキス、
    これも肉骨粉から出来ているんですね。
  • 巷では半額の食べ物が溢れています。しかし、なぜ私たちは
    食べるのでしょうか、それは生きていく為です。牛は草から
    体内であらゆる栄養素を合成します。人の体はたんぱく質、
    糖質、ミネラル、ビタミンなどを体内で作り出すことが出来
    ません。だから、満遍なくあるゆる食品から摂取しなければ
    ならないのです。楽しいことは健康な体が有って初めて楽しめ
    るものだと私は思っています。
  • スローフードこの運動が意味しているもの、
    もっとたくさんの人に考えて欲しいものです。

8月19日札幌八行(とうもろこし)を食べに岩見沢へ
  • 昔ながらのとうもろこし札幌八行を岩見沢で売っていると
    お客様から教えられ、この日探しに行きました。駅を出て
    2つ目の信号機の左側に露天が店開きをしていて、そこで
    とうもろこしを焼いていました。焼きトウキビは 醤油を塗り
    ながら焼いていくものだと思っていたのですが、そこでは、
    塩水を塗りながら焼いていました。
    店の人に聞くと、この方法が一番美味しいとのことです。
    しかし、私の母に聞くと硬いので焼く以外ないとのことです。
    島村菜津”スローフードな人生”の本の中にこれと同じ八列の
    とうもろこし話が書かれています。そこにはおいしいポレンタの
    材料を確保する、それと地域の伝統を守るために、生産効率
    が悪い為に消えかけていたとうもろこしを復活させる運動を
    する、そのことがほかの地域との文化の違いにつながり食べる
    楽しさが増えると考えている。食べることへの情熱も
    ここまでくれば言うことなし。
    このポレンタの話を覚えてえいたので興味があり、何かに
    加工して食べていたかを聞くとドン(和製ポップコーン)にして
    食べたとのこと。これはポレンタにすると美味しそうと思い
    生とうもろこしを売ってもらえか頼んでみたけれどダメでした。
    昔の懐かしいとうもろこしの味がします。岩見沢にお寄りの
    せつは一遍食べてください。1本400円です。
    期間は8月上旬より9月下旬までだそうです。

    岩見沢と言えば                          
  • 岩見沢から夕張まで行く途中に美流渡と言う場所があります。
    そこに薪の釜で焼くパン屋さんがあります。広葉樹の木で
    直火で焼いているためにその時々の木の香をりがします。
    道産小麦を配合して作られるパンは難しいにもかかわらず
    良くぞここまで仕上げていると言う感じです。ちなみに道産小麦
    は生地がだれやすく、焼きあがりのパンをつぶすとダマになり
    やすい欠点があります。モッチとした感触のパンに、よく
    見られるパンをつぶすと餅状になったり、もとの形に戻らない
    パンは一連の作業のどこかに技術的な欠点があります。
    私が美味しいと感じる食パンは入道雲のように一瞬のうちに
    延びきった様子をしていて重量感があり、つぶしても一瞬の
    うちに元にもどるパンです。新潟のじいちゃん
    (和菓子の職人だったそうです)が作ったアンコを使った
    アンパンは是非食べてください。
    私が注目しているもう一件のパン屋さんは、小樽の先にある
    エグ・ヴィヴです。そこはバケットやセミハードパンを中心に
    焼いています。ここでは薪を燃やして温度を上げてから焼く
    方法を取っています。今でもあるかどうかわかりませんが
    イタリアのパン屋さんもこの方法で焼いていました美味しい
    パンを食べたい人は是非どうぞ。電話0134−64−2800

6月22日山中牧場の黒豚が届く
  • パンチェッタ用の美味しい豚肉をかねてより探していた、
    そんなある日インターネットの中に赤井川村の山中牧場で自ら
    黒豚を飼育してハムやソーセージを作っているページを見つけ
    ました。さっそくEメールで問い合わせると快く分けてくれるとの
    返事、この日に納入が決まり、早速仕事に取り掛かる。塩の
    漬け込みに7日から10日間、熟成に2週間ほどで食べ始めら
    れますが、1ヶ月ほど過ぎた方が熟成香が付いて美味しいです。
  • しかし、私が捜し求めているのは北海道の大地の香りのする
    豚肉、パルマプロシュウートのようにパルメザンチーズを作る
    ときに出る副生物のホエーを餌にしていたり、サンダニエーレ
    のようにドングリなどを餌に育てられたその土地独特の味わい
    のする豚肉です。山中牧場の専務さんに飼育について
    聞きました。対処方でのみ薬を使用するが、予防のための
    不必要な投薬はしていない。過密飼いは極力避ける、放牧は
    ストレス解消の為にも導入をしたい。餌は現在は配合飼料を
    与えている、出来ることならば赤井川村だからこそ出来る
    飼育をして欲しいものです。私に是非、北海道でしか味わう
    ことが出来ないパンチェッタと生ハムのコッパを作らせて
    ください。

6月4日、ラーメンの紫雲亭移転オープン
  • 私にとって美味しいラーメン屋さんの一つである紫雲亭が
    西警察署の真向かいに移転オープンのお知らせをいただき、
    早速食べに行きました。味も以前より洗練された感じで、
    何より、うまみ調味料を使用しない独自のスープはとても
    完成度が高いと思います。色々と食べに行くのですが、
    どうしてこのような味の素だらけのスープを美味しいと
    いえるのか疑問を抱くことが多い中で、料理とは何であるのか
    きちっと考え仕事をしているご主人であると思っています。
         ラーメンと言えば
  • ラーメン屋さんで気になるのはレンゲの使い方です。左手に
    レンゲを持ってスープを飲み時には麺を乗せながら食べる、
    何でこんなに忙しくするのでしょうか。私の知る限り左手の
    所作はテーブルの上に乗せて置くか補助的に追加の動作が
    必要なとき動かされるものであると教えられました。それから
    箸を持ったまま左手でお水のグラスをもって飲む、新しい
    スタンダードと言ってしまえばそれまでかな。昔、お世話に
    なった恩人のお父さんに蕎麦をご馳走になったときに注意
    されたことは蕎麦はたぐるものであり、鼻水をススルような
    音を立てるなと注意されたこと、それ以来、守っていることは
    麺をたぐり寄せるように食べることです。
     
                      左手でレンゲと言えば
  • 当店ではスパゲッティにはテーブルフォークだけでスプーンを
    付けていません、短くなったスパゲッティや小さくなった野菜を
    フォークでスプーンにかき集めて食べる、私にとっては奇妙な
    食べ方に見えますが、これもニュースタンダードなのですね。
    ちなみにイタリアでパスタを食べるときに音を立てて食べる
    ことを嫌うのは食事中のオナラと同じだからです。
  • 犬食い、猫食い、ボッコの手、箸の使い方、食器の持ち方は
    他界したバアちゃんに口うるさく言われたものです。