- この店は平成10年5月28日にオープンしました。家業が
八百屋の関係で一人のシェフと出会い、それが後に、
サラリーマンから料理人になるきっかけになりました。
そのシェフとの交流の中で最初の数本のイタリアワインの
強い印象が、イタリアワインのファンになる始まりです。
70年代半ばといえばワラで編んだキアンティかソァーヴェ、
バローロなど10種類くらい、本の中に出てくるワインに
に思いをはせ、取り寄せては一喜一憂をして来ました。
もう一つ、1番の影響はプロのカメラマンを目指して放浪して
いた時に、J.I.C.C(宝島社の母体のような会社)の佐藤さんに
出会い、その後、この佐藤さんからの紹介でプロカメラマンの
菊川康夫氏に師事する事が叶い上京する。菊川さん
(生涯の師匠)に教わる写真以外のあらゆる事、特に食べる事に
関する影響はこの時から始まったといえます。その後、
紆余屈折の中、師匠の食道楽の影響がじわじわと現れ、
30歳の時に一生涯の仕事である事にふと目覚め、
料理人になる決意をする。
- このページを書いているのはオープンしてまもなく3年目になる
時です。オープンするきっかけは1997年度産のワインが
20世紀最高の出来になるとの情報がブドウの収穫前から
いわれていました。現地のニュースやインポーターのセルフ
レポートどれを取って見ても違口同音で出来のよさを報告され
ていて、いつかまたこの仕事に従事できればと漠然と考えて
いたのですが、このこともオープンをさせる出来事の一つでも
あります。
- 7年ほど違う仕事をしながら、イタリアで出会った人たちとの
出来事や日本での様々な人たちの関わりの中から、文化や
生活のことを色々と考えてきました。何より最初のイタリア
旅行は、日本に対する逆カルチャーショックから中々抜け出せ
なく。しかし、出た答えは簡単で日本人としてのアイデンティー
で料理を考えればよいというものです。郷土意識の強い
イタリア、であれば私もこの北海道で思い浮かぶ料理を
作ればよい、実に簡単明瞭なことです。
- ちょっとした出会いで見つけた素材としての昆布、
そこで真昆布、利尻昆布、羅臼昆布その中から
色々と試した結果、羅臼昆布を使うことにしました。
理由のひとつに納入してくれる漁師さんが
とても熱心に前浜の天然昆布に情熱的に
取り組んでいるからです。
- 羅臼産天然昆布のだし汁をベースに様々なソースを
作り、イタリアの塩、オリーブオイル、トマト、そして、
地元の食材でじっくりと丹念に料理を作っています。
- 旬の地元の食材を使って料理する、海老とスルメ烏賊
以外は冷凍を使わない。材料は自ら市場に仕入れに
行く。私の仕事は料理を作ること、だから変な妥協は
しない。ちなみに私の中央市場の買い入れ番号は
1−925 セリへの参加は青果だけです。
- 私にとって料理とは、材料を理解することだと思って
います。素材を完璧に目利きする経験と知識、そして、
独創的なアイデア、真似の出来ないテクニックを駆使
して作り出される料理を最良に気の効いたサービスで
整えられたテーブルで食事をしていただく、私の場合
はここまでは行かなくとも、こざっぱりとしたテーブルで
気の効いた素材で料理された食事を気軽にいただく、
今食べていただきたい素材をを美味しく工夫して食べて
いただく、笑顔と健康それが還ってくれば最高、だから
私にはコダワリはいらないと思っています。
- ベーコンについて、:イタリアでは保存食として豚ばら肉を
塩漬けにしたものがパンチェッタ、燻製にしたのがパンチェッタ
アフミカータといいます。料理の中で出てくるのは普通には
パンチェッタが使われます。塩漬けにして熟成します。ですから
プロシュートのように熟成香があり、生肉とは違った風味に、
脂身の部分もベタベタとしていません。店を始めるときに
添加物で味を作ってある食材で料理を作りたくなかったのと
市販のパンチェッタは高価格なために、自家製にしています。
- コーヒーについて、:私はコーヒー豆を自家焙煎しています。
エスプレッソ用のコーヒーがないの一言に尽きるからです。
イタリア人はエスプレッソをよく飲みます、どこで飲んでも
うまい、本当に美味しいのです。仕事の合間に1杯、休憩に
1杯、食事の後に1杯、生活の中にしっかりと根付いている
エスプレッソ。コーヒー好きの私にとって、その位置づけは
とても大きな意味があります。だから、自分のイメージした
香りや味わい、そして雰囲気にしたいからです。
- 豆の焼き方は、以前に、可否茶館でローストをした豆を
使っていた関係で、ロースターの吉岡さんと仲良くなり、
遊びにいっては門前小僧よろしく覚えていたのと、
フィレンツェで自家焙煎の店を見つけ、焼き方を教えて
欲しいと聞くと、見て幾分には構わないとのことで、
見学させもらったのがベースになっています。
豆はイエメン産を主にアラビカ種を4種類ほど焙煎しています。
特にモカ マタリに対して強い思い入れがあります
(詳しく書くと相当に長いので辞めます)。 色々とサンプルを
焙煎した結果です。
- このホームページがインターネットに開かれている頃は、
オープン3周年目です。それを記念して書いています。この
ページのタイトルの”トレペッシェのカポターヴォラより”は、
ブロンズ新社刊行の山根三奈さんのエッセイ本
「イタリアの食卓 シンプルで豊かな日々」の中に出てくる話に
ヒントを得ました。オーナーシェフですという柄でもなく、料理を
芸術の領域にまで持っていくことも考えていない、鍋奉行が
ピッタリではないかと思っている所にタイミングよく書かれて
いるのを見つけました。直訳すると「テーブルの頭」となります、
今時期の美味しい食べ物や取り合わせ、そして飲み物、
これからの食事のあれこれを考えながら市場の中を捜し歩き
料理をする。片意地張らずに美味しく、そして健康に食べて
欲しいと考えると、カポターヴォラがお似合いのような気に
させられたからです。それと、山根三奈さんの本ともう一冊、
新潮社刊行の島村奈津著「スローフードな人生・・・・イタリアの
食卓から始まる」を、読むとフムフムとイタリアの食のことが
わかりますよ。
2001年6月1日エラーを直して登録再チャレンジ!
|